カワサキ ニンジャ1100SX SE……198万円
カワサキケアモデル、2025年3月29日発売



純正アクセサリー追加で真のスポーツツアラーに変身

「パーソナルジェットファイター」をコンセプトに、初代となるニンジャ1000(欧州名:Z1000SX)が発売されたのは2011年のこと。欧州ではパニアケースを標準装備した「Z1000SXツアラー」や、トップケースを装着した「Z1000SXシティ」といったバリエーションモデルも販売された。また、2024年には初代ニンジャことGPZ900Rの誕生40周年を記念して、「ニンジャ1000SX 40th Anniversary Edition」という特別仕様も登場。そして今年は、ニンジャ1100SXの上位モデルとして「SE」が用意された。
STDモデルとの違いは、ブレンボ製のフロントブレーキセット(キャリパー、ディスク、ステンメッシュホース)とオーリンズ製のS46ショックアブソーバー、そして専用のカラーリングだ。パーツリストで単体価格を調べつつ計算したところ、差額20万9000円はお買い得と言える内容だった。



今回はSTDのニンジャ1100SXと同日に試乗し、SEの方は純正アクセサリーを装着したままとした。乗り比べて最初に感じたのは、基本的なハンドリングの差異が非常に小さいことだ。これだけ大きなパニアケースを追加しているのだから、多少なりとも操舵に影響がありそうなもの。もちろん、どれだけ荷物を入れたかによっても変わるが、バイクから降りる際に足がパニアケースにぶつかった瞬間、「あっ、こっちがSEだったか」と思い出すぐらいには違いが少ないのだ。これは純正アクセサリーも含めてハンドリングが煮詰められている証拠であり、特にこのパニアケースは実用性も込みで推せる逸品だ。

標準装着品と比べて24mmアップするラージウインドシールドについては、高さだけでなく面積もワイドになるので、体感的な防風効果は2~3割程度アップする。ただ、個人的には標準ウインドシールドによる前方視界の広さも捨てがたいので、ロングツーリングや寒い時期の移動など、シチュエーションに応じて付け替えるのが良さそうだと感じた。

STDモデルも優秀だが、より快適性を求めるならSEもアリだ

ニンジャ1100SXは、STDモデルでも前後サスペンションは優秀だ。荒れた路面を平滑に感じさせるほど作動性が良く、ワインディングロードではスムーズかつ自然に車体がピッチングする。これに対してSEのオーリンズは、より動きが上質であり、動き始めからしっとりと減衰力が発生するイメージだ。
試乗したSEは、パニアケースによる慣性ダンパー効果もあってか、ギャップ通過時にはバネ下だけがススッと動いてショックを吸収してくれるので、これも上質に感じさせる要因だろう。一方で、峠道でペースを上げても破綻を来すことはないことから、STDのリヤショックに対してよりワイドレンジに対応できるのがオーリンズと言えそうだ。
ブレンボ製のブレーキセットについては、STDモデルともまだ十分に慣らし運転が進んでいなかったようで、大きな違いは感じられなかった。それだけSTDのブレーキセットが優秀なのか、それともKIBS(カワサキ・インテリジェントアンチロック・ブレーキ・システム)の介入によって差が小さくなっているのかは分からないが、コントロール性は高いレベルにあるのは間違いない。
さて、ニンジャ1100SXと同SEにおける見逃せないポイントは、ドライブレコーダーが標準装備されたことだ。左ミラーステー付近のフロントカメラ、ナンバープレート右上のリヤカメラとも後付け感が否めないが、とはいえ製品自体はミツバサンコーワ製のプレミアムモデルであり、安心感は非常に高い。

ニンジャ1100SX SEは、グリーン系のカラーリングが好きな人にとってはマストであり、ブレンボもオーリンズも差額以上の価値をもたらしてくれるのは間違いない。今回、パニアケースを装着した状態で試乗したことで、スポーツツアラーとしての完成度の高さをあらためて実感することができた。
ライディングポジション&足着き性(175cm/68kg)





