Bugatti Brouillard

美しいサラブレッド「ブルイヤール」から命名

ワンオフモデル「ブガッティ ブルイヤール」のコクピット。
「ブルイヤール」という車名は、創業者エットーレ・ブガッティが最も愛した馬からネーミングされた。

ブガッティが導入するコーチビルディング&パーソナライゼーションプログラム「ソリティア」の第1弾として製作された「ブルイヤール」は、フランス語で「霧」を意味し、ブガッティの創始者エットーレ・ブガッティの愛馬にちなんでネーミングされた。

エットーレ・ブガッティが最も愛した馬「ブルイヤール」は初雪のような白く輝く毛並みに、夏の朝霧の淡い色合いが散りばめられた美しいサラブレッドだ。ブルイヤールはエットーレが求めた、スピード、美しさ、そして優雅さを備えていたと言う。

ブガッティのマネージングディレクターを務めるヘンドリック・マリノウスキーは、ブルイヤールについて次のようにコメントした。

「プログラム・ソリティアは、お客様が持つビジョンを具現化することが可能ですなコーチビルドプログラムです。長年培われてきたブガッティ・デザインに、これまでとは異なる解釈を追求する柔軟性を与えてくれました。今回もワンオフモデルでだからこそ、より自由なアプローチが可能となったのです」

「ブルイヤールは、ディテールへの絶対的なこだわりを追求しました。パフォーマンス、クオリティ、デザインにおいて妥協は一切ありません。その結果、唯一無二の作品にまで昇華したと自負しています」

現代に蘇ったコーチビルディングの伝統

ワンオフモデル「ブガッティ ブルイヤール」のエクステリア。
「プログラム・ソリティア」は、ブガッティが持つコーチビルドの伝統を現代に復活させた。

プログラム・ソリティアは、ブガッティが紡いできたコーチビルドの伝統からインスパイア。20世紀初頭、自動車メーカーと専門のコーチビルダーとの協業により、自動車デザインの世界に美しい花々が咲き誇ることになった。

このコーチビルドの世界に、ジャン・ブガッティは新たなアイデアを加える。コーチビルダーを自社内に取り込むことで「タイプ57 SC アトランティーク」のようなアイコンを生み出したのである。

タイプ57のシャシーは、ギャリビエ(Galibier)、ステルヴィオ(Stelvio)、ヴァントー(Ventoux)、アトランテ(Atalante)という、ブガッティ製ボディが架装され、4ドアセダンや2ドアクーペ、2ドアコンバーチブルまで、カスタマーに様々な選択肢を提供することになった。

W型16気筒ハイパースポーツの集大成

ワンオフモデル「ブガッティ ブルイヤール」のエクステリア。
ブルイヤールは、ヴェイロン、シロンと連なってきた、ブガッティのW16エンジン搭載モデルの集大成として製造された。

ブルイヤールは、現代版コーチビルド「ソリティア」の第1弾モデルとして、最高出力1600PSを誇るブガッティ製8.0リッターW型16気筒クワッドターボエンジンを搭載したアーキテクチャーをベースに開発された。ほぼ20年にも及んだW16エンジン搭載ハイパースポーツの集大成として、最高レベルのパフォーマンスを手にしている。

ブルイヤールのデザインは、古典芸術に関する手法が採り入れられた。これにより、それぞれのデザイン要素が、直感的な視覚的魅力を生み出すことになった。ボリューム配分を慎重に検討し、ロワボディには暗いトーンを導入し、車両の影と視覚的なつながりを表現。逆にアッパーボディは軽くダイナミックなシルエットを創出し、低くワイドに、そしてホイールが大きく見える効果が生み出されている。

ブガッティのデザインディレクター、フランク・ヘイルはブルイヤールについて次のように説明を加えた。

「エットーレとブルイヤールとの絆は深く特別なものでした。彼は愛馬を自身の創作の鏡と考えていたのです。馬体が持つ曲線、筋肉質な脇腹、完璧なプロポーション……。今回、これらすべてを鋼とアルミニウムで表現しています。ブルイヤールはあえて鋭いラインを排し、反射を基調としたサーフェイスを採用することで、サラブレットの筋肉を再現しています」

「要素をシンプルに見せることは、実は非常に複雑な作業です。1600PSを超えるハイパースポーツに必要なすべての技術的要素、クーリング、そしてエアロダイナミクスと統合させなければなりません。そして、私たちとクライアントが共同で作り上げた理念、尊厳を反映させる必要もありました」

アルミ製愛馬が収められたシフトノブ

ワンオフモデル「ブガッティ ブルイヤール」のコクピット。
コクピットは、エクステリアに合わせたグリーンがかったカーボンファイバーを採用、カスタムメイドされたタータン柄のファブリックが組み合わせられた。

コクピットは、独自のマテリアルを組み合わせることで、職人技と革新性を融合。パリから調達されたカスタム織りのファブリックにはタータンチェックがチョイスされ、グリーンがかったカーボンファイバーは、削り出しのアルミニウム製パーツと美しいハーモニーを奏でている。

ガラスルーフは開放感あふれる大聖堂のような空間を創出。中央部がエクステリアからインテリアへとシームレスに流れ込むようにデザインされた。

ドアパネルとシートバックレストに刺繍された馬のモチーフ、オーナーの好みに合わせてカスタマイズ成形されたシート、専用のレザーパッチレイアウトが施されたシートを採用。ギヤシフトはアルミニウムブロックから削り出され、エットーレが愛した馬と車名を冠した、ミニチュアがガラスインサートに収められた。

プログラム・ソリティアは毎年、最大2台のみのワンオフモデルを製作。今回、ブルイヤールをオーダーしたオーナーは、クルマだけでなく、カルロ・ブガッティの家具や、レンブラント・ブガッティの美しい青銅彫刻にも情熱を注ぐ、熱心なブガッティ・コレクターだという。ブルイヤールの専用ディテールには、ブガッティの歴史、ブガッティ一家、そしてエットーレが最も愛した馬との絆に対するリスペクトが反映されている。

「ブガッティ ブルイヤール」を動画でチェック!

エアロダイナミクスと、ブガッティが誇る伝統や美的感覚が融合した、「ブガッティ W16 ミストラル」のエクステリア。

最高速420km/hでオープン走行可能!「ブガッティ W16 ミストラル」が伝統を尊重しつつも向上させた空力のキモは?

8.0リッターW型16気筒クワッドターボエンジンのフィナーレを飾る「ブガッティ W16 ミストラル」。南フランスを吹き抜ける季節風からネーミングされた美しいロードスターは、その名の通り「風」を纏うような、エアロダイナミクスに特化した美しいデザインとは?