50cc〜250cc絶版名車カタログで蘇る黄金期

「月刊モトチャンプ」2025年9月号は、50ccから250ccまでの絶版名車約160台を一挙掲載する特集を40ページにわたって展開。70年代から2000年代にかけての二輪業界を賑わせたモデルが時代背景とともに紹介される。各年代の特徴や当時のユーザー層、レースシーンとの関係性、販売戦略なども解説され、単なるカタログではなく「時代とモデルが交差する記録集」として読み応えがある。
時代別の特徴を詳細に解説

70年代は、ソフトバイクの登場で若者だけでなく主婦層や高齢層にも二輪需要が広がった時代。街乗りを意識したスクーターや軽快なコミューターが多数登場し、生活にバイクが浸透していった。誌面では当時の広告写真や販売資料を交えて、初めてバイクに触れた世代の記憶を呼び起こす構成になっている。
80年代は、レースシーンでの活躍が販売に直結し、各メーカーが技術革新と開発競争に明け暮れた全盛期。レーサーレプリカや高性能スポーツバイクが次々と投入され、若年層の熱狂がピークを迎えた。原付にはヘルメット着用義務が課され、収納性を重視したモデルも台頭するなど、社会環境の変化も含めて描かれている。
90年代は、趣味性やデザイン性を重視したモデルが多く登場。バイク市場が成熟し、ユーザーは性能よりもライフスタイルや個性を求める傾向が強まった。誌面では、ファッションとの融合やカスタム文化の広がりも取り上げられている。
2000年代は、環境対応や法規制の影響で2ストロークが減少し、4ストローク化と燃費性能の向上が進む一方、ABSなど安全装備の普及も始まった。誌面では、現行車につながる技術的進化の出発点として、この時代の車種を再評価している。
元オーナーやライターによる証言

単なるスペック集ではなく、実際に所有していた元オーナーや長年取材を続けてきた二輪ジャーナリストの回顧録が豊富に盛り込まれている。購入当時のエピソード、カスタムの思い出、仲間とのツーリング体験など、文字通り“生きた証言”が特集を彩る。これにより、読者は単なる機械としてではなく「人生の一部」としてのバイク像を感じ取れる。
現行モデル比較:NMAX150 vs PCX160

特集の後半には、現行スクーター2大モデルの比較試乗記事も掲載。ホンダPCX160とヤマハNMAX150という人気車同士を、最新モデルで乗り比べ、その違いを明確化している。エンジン特性、ハンドリング、足回り、乗り心地、積載性、燃費といった要素を網羅的に評価。スペック表では見えない実走でのフィーリングが詳細に語られ、購入検討者にとって有益な資料となっている。
9月号は、50cc〜250ccの絶版名車を軸に、各年代のバイク文化と社会背景を鮮やかに描き出す特集が核となっている。読み物としての面白さと資料的価値を兼ね備え、現行車比較や豊富なビジュアルで最後まで飽きさせない。まさに「時代とともに走ったバイクたちのアルバム」と呼ぶにふさわしい内容だ。
