
金曜日の走り出しは好感触。しかし、土曜日から苦戦が始まる
オーストリアGPは、シーズン後半戦最初の大会である。小椋藍(アプリリア)は前半戦の締めくくりとなったチェコGPを終えて帰国し、日本で休養をとってトレーニングに励んだ。そして、サマーブレイクを終えて再びMotoGPのパドックに戻ってきた。
オーストリアGPが開催されるレッドブル・リンクは、小椋がMoto2クラスに参戦していた2024年、転倒を喫して右手を骨折した。こうした出来事があったレッドブル・リンクではあるが、小椋自身は好きなサーキットだ。ゆえに「このサーキットはポジティブな感情しかないですね」と前向きに週末を迎えていた。
金曜日午後のプラクティスは、12番手で終える。プラクティスは土曜日の予選におけるQ1とQ2を分ける重要なセッションだ。プラクティスのトップから10番手までのライダーは、この時点でQ2進出が決まる。Q2はQ1のトップ2を含めた12人のライダーによって争われる予選なので、Q2に進んだ時点で、スタート位置(グリッド)の12番手までに入ることが確定するのである。「予選の前の予選」とも言える、非常に重要なセッションだ。
12番手だった小椋はQ2ダイレクト進出を逃したものの、10番手のライダーとのタイム差は0.032秒だった。本当に僅差だったのだ。小椋も「いつもはかなり下のポジションですけど、(今回は)戦いのなかに入っている感じがあります」と手ごたえを感じていた。
ただ、土曜日には状況が変わった。通常であればいちばんタイムが詰まるはずの予選(Q1)で、小椋はプラクティスのタイムを更新することができなかったのだ。19番手からスプリントレースをスタートした小椋は、15位でレースを終えた。
小椋が土曜日から苦戦したのは、ブレーキングだ。
「真っ直ぐのブレーキング、減速に苦戦していて、ある程度のタイムまではいくけれど、そこから先は厳しいです。レースでもブレーキングでマージンがないとアタックもできません」
「昨日のレベルではある程度、戦いの中にいることができました。今日は僕のタイムがあまり上がらなかったのに対し、周りが上がりました。(自分の)限界値を上げるしかないですね」
日曜日は、数日前から雨の天気予報だった。実際のところ、当日の朝にはいかにも重たい雲が空に垂れこめていた。しかし、空は予報に反して時間が経つとともに晴れていき、決勝レースはドライコンディションで行われたのだった。
小椋は決勝レースも19番手からスタートして、14位でゴールした。マシンの車高を上げたことで、前日よりもフィーリングがよくなったという。
後半のペースは悪くはなかったが、19番手という最後列からのスタートでは厳しい状況だった。それでも確実にポジションを上げてゴールするあたりが、小椋である。
そんな小椋は、レース後の囲み取材で、「内容としては、今日はだいぶよかったと思います」と語っていた。
次戦のハンガリーGPの開催地であるバラトンパークは、MotoGP初開催となる。小椋は先だって行われたスーパーバイク世界選手権(SBK)のハンガリーラウンドの映像を見て、サーキットのイメージをつかんでいるということだ。
