Mercedes-AMG C 43 4MATIC
初代の誕生は2016年

まずは先代にあたるW205型をチェックしてみよう。2015年7月に登場した「C450 AMG 4MATIC」は、3.0リッターV6ツインターボを搭載。最高出力270kW(367PS)、最大トルク520Nmというスペックで、0-100km/h加速は4.9秒で到達する。
駆動方式はCクラス初採用となる「AMG 4MATIC」で、足まわりは「AMG RIDE CONTROL スポーツサスペンション」。14.2というクイックレシオの設定が特徴の「AMGパラメーターステアリング」や低背圧タイプの「AMGスポーツエキゾーストシステム」なども搭載した。

2016年8月の一部改良を機に改名して登場したのが初代となる「C 43 4MATIC」である。トランスミッションを9速ATの「9G-TRONIC」に変更。0-100km/h加速を0.1秒短縮するとともに、前後トルク配分を31対69とさらにリヤ寄りに変更した。
2018年7月のマイナーチェンジで後期型になり、ターボの大型化などを盛り込んだ3.0リッターV6ツインターボは、最高出力を23PS(17kW)向上し、最高出力287kW(390PS)に達している。520Nmの最大トルクは変わっていない。
3.0リッターV6からのダウンサイジング

2022年10月に発売された現行型(W206型)は、2.0リッター直列4気筒ターボにダウンサイジングしながらも最高出力300kW(408PS)、最大トルク500Nmを確保し、最高出力は18PSの向上を実現した。
技術面では、量産車世界初の「エレクトリック・エグゾーストガス・ターボ」の搭載がトピックスで、全域にわたってレスポンスを高めるとともに、アクセルオフや制動時にもブースト圧を維持できる。
また、BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)を使った48Vマイルドハイブリッド化も盛り込まれた。短時間出力を10kW(16PS)高めるブースト機能、コースティングや回生ブレーキによる高効率化も図られている。

トランスミッションは、C 63にのみ搭載されていた9速ATの「AMGスピードシフトMCT」になり、ブリッピング機能が備わり、スポーツモデルにふさわしい変速を可能にしている。
駆動方式は前後トルク配分が31対69の「AMG 4MATIC」で、リヤアクスルステアリングの標準化も見どころだ。100km/h以下では逆位相になり小回り性を向上し、100km/h以上では同位相になり操縦安定性を高めた。
そのほか、360度カメラシステムを使った「アクティブステアリングアシスト」などの「インテリジェントドライブ」や対話型インフォテイメントシステムの「MBUX」、拡張現実を使った「ARナビゲーション」なども採用している。
現行型は走行距離3万km以下で800万円を切る物件も

車両本体価格については、先代のC450 AMG 4MATIC登場時は863万円という値付けだったが、2018年7月のマイナーチェンジ版のC 43となって940万円に跳ね上がり、最後期では995万円に達した。だが一方の現行型は1116万円と大台を一気に突破している。このあたりは為替の変動もあるので輸入車の価格は軒並み上昇している。
2025年8月時点で、W205型C450 AMG 4MATICの中古車はほとんど流通しておらず、C 43 4MATICに改名以降のモデルが80台ほど流通している。一般的には、世代や年式が古くなるほど平均価格は下がる傾向にあり、W205型C 43 4MATICも例に漏れない。走行距離など個体差は当然あるが、なんと300万円以下の物件もあるほか、後期型の走行3万km前後で400万円という魅力的な個体もある。
W206型となる現行型は登録済み、届出済のいわゆる未使用車も多い。走行距離、現在の状態、装備などにもよるが、150万〜300万円ほども新車価格から下げている物件とも出会えそうだ。
単純に価格重視であれば、先代から選ぶべきだろう。しかし、既述のように、現行型はダウンサイジングしながらも最高出力を高め、トランスミッションも進化。走りの差は大きい。先進安全装備や「MBUX」、「ARナビゲーション」などの装備も現行型が上。現行型で走行3万km程度で800万円を切るケースもあり、買い得感でいえば現行型が上と捉えることができそうだ。
