熟成された性能をそのままに、新たなカラーリングを追加

欧州Hondaが2026年モデルとして発表したX‑ADVは、基本構造やエンジンを据え置きながら、新色と装備面の微調整で魅力を底上げ。注目は「Mat Pearl Glare White Special Edition」と銘打たれた新しいトリコロールカラーで、ホワイトを基調に赤と青のグラフィックを配し、Africa TwinやTransalpなどHondaの象徴的アドベンチャーモデルを想起させる意匠となっている。

ラインナップには従来の「Graphite Black」「Mat Deep Mud Gray」「Pearl Glare White」に加えてこの特別色が加わり、ビジュアルの幅が広がった。

エンジン・シャシー・装備はいずれも堅持

X‑ADV 2026は、745ccの水冷並列ツインエンジン(約57hp、69Nm)を搭載。DCT(6速デュアルクラッチトランスミッション)との組み合わせで、力強くスムーズな走行を実現する。

シャシーはパイプダイヤモンドフレームを採用し、前後サスペンションには41mm倒立フォークとPro‑Linkスイングアームをそれぞれ装備。ブレーキは前がラジアル4ピストンキャリパー+296mmダブルディスク、後が240mmシングルディスクという剛性感ある構成。

標準装備として、LED照明、クルーズコントロール、Honda Selectable Torque Control(HSTC)、5インチTFTディスプレイ(Bluetooth・RoadSync対応)、USB‑Cポート、スマートキーなど充実した内容だ。

走りの質感を向上させたDCTとアクセサリー強化

機構面の変更はほとんどないものの、2026年モデルではDCTのクラッチ操作や発進時のつながりがよりスムーズになるよう調整されたと報じられており、実用性が改善されている  。

さらに、新たにアクセサリーとしてAkrapovič製スリップオンマフラーやパッセンバーバッグ(背もたれ)などが追加され、カスタマイズの幅も広がる。

サステナビリティへの配慮と欧州での展開動向

2025モデルから引き続き、本モデルではDurabio™などの植物由来バイオプラスチックやリサイクル素材による外装部品が採用されており、塗装工程を省略することでCO₂排出低減を実現。Hondaの「2050年までに100%サステナブル素材使用」への取り組みの一端を担っている。

欧州市場では2025年秋以降、新色含めたラインナップで発売予定。日本での発売時期は未定だが、従来から人気の高いモデルだけに、国内導入への期待も高まっている。

Honda X-ADV 2026年モデルは、機構面では完成された設計を維持しつつ、新色のトリコロール特別仕様やDCTの洗練、アクセサリー追加、さらにはサステナブル素材の採用など、マイナーチェンジながら高い完成度が際立つモデル。ツーリング性能と日常性を両立するADVスクーターとして、その完成度はゆるぎない。

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