
バイク用品販売と開発を手掛けるナップスは、2025年9月上旬よりモトテラスベイサイド幸浦店にて、中国発オートバイブランド「ZONTES(ゾンテス)」の国内販売を開始する。これにより、世界71カ国へ既に進出するグローバルブランドの第一歩を日本市場へと踏み出す。
世界に広がる“ZONTES”の躍進
ZONTESは2003年に中国・広東省で創設された「広東大洋オートバイ科技有限公司」が展開するブランドで、総投資額26億人民元、従業員約3600名、そのうち1000名が研究開発に従事する大規模体制を誇る。高度に自動化された自社工場で精緻な製造プロセスを遂行し、厳格な品質管理を徹底。さらに「発明と革新」を掲げ、これまでに400件を超える特許を取得し、市場での存在感を示してきた。2010年代以降は欧州やアジア各国へ進出し、わずか8年で71カ国と販売網を拡張する実績を築いている。
国内導入、“ZONTES流クラシック×現代装備”の2モデル
ナップスが取り扱いを開始するのは、原付二種の「ZT125‑C2」と軽二輪の「ZT150‑C2」。いずれもボバースタイルのクルーザーで、存在感あるデザインを特徴とする。エンジンはブラック塗装された水冷4ストローク単気筒を搭載し、クラシックな佇まいの中に現代的な華やぎを感じさせる。
装備面では、TFT式カラー液晶メーターやキーレス操作システム、USB電源ソケットを標準搭載し、日常使用への配慮も万全。安全性についてもABS(アンチロックブレーキシステム)を備え、安心の走行を提供する。カラーバリエーションは「マットブラック」と「マットブルー」の2色展開となっている。販売価格は、ZT125‑C2が46万7500円(税込)、ZT150‑C2が50万6000円(税込)で設定されている。
ナップスの真価、“For all Riders.”を形にする取り組み
ナップスは1962年創業以来、オートバイ用品の小売・開発・店舗運営に加えて、プライベートブランド企画やウェブショップ事業など、多角的に展開する企業として成長を積み重ねてきた。現在、関東をはじめ東北から近畿、四国、九州、さらには台北地区まで含む33店舗と、「アップガレージライダース」7店舗を運営。店舗平均売場面積は約900㎡、取り扱いアイテム数は35,000点以上に及び、認証工場を併設したピットサービスや整備対応まで提供するワンストップチャネルを実現している。ウェブショップでは30万点超の商品展開を行い、幅広いライダーのニーズに応えている。
代表の望月氏は、縮小気味な日本市場や低価格戦略に偏りがちなコモディティ化の課題、環境対応の遅れなど、国内二輪業界の課題克服に向け、「Naps +E」および「Naps Sports」といった新たなブランドやプロジェクトを立ち上げることで、ライダー文化へ革新を起こそうとする意思を表明している。業界全体の共通価値を創造し、持続可能なオートバイ文化の拡張を視野に据えた取り組みである。
日本市場への問いかけと可能性
中国発ブランドの投入は、日本市場に新たな刺激をもたらす起点となる。ZONTESの技術力とナップスの販売力とを掛け合わせることで、価格だけではない、品質と装備、そして革新性を備える“選ばれるバイク”像の提示となる可能性がある。特に近年、多くの新興ブランドがコモディティ化した中で差別化を図るには、こうしたアプローチこそが鍵となるだろう。
技術面ではデザインと装備の現代化、安全性への配慮、日常での使い勝手といった点がユーザー目線で飛び抜けた選択肢となり得る。さらにナップスの整備サービスや販売網を活かすことで、サービス品質も担保できる点は、大きな安心材料だ。
ナップスが9月上旬にモトテラスベイサイド幸浦店で開始するZONTESの販売は、単なる新規取り扱い以上の意味を持つ。グローバルブランドと連携しながら、革新と品質、そして挑戦的価値を融合させる企業姿勢の現れであり、日本の二輪愛好者に対する新たな選択肢の提示でもある。未来のバイク文化のあり方を模索する上で、この動きは注目を集めそうだ。