Audi RS 6
アウディ RS 6とは


「アウディ RS 6」は、同社のEセグメント「A6」をベースにアウディ・スポーツGmbHが手がけた高性能モデルだ。A6は2024年にフルモデルチェンジが行われたが、現行型のRS 6は先代モデルをベースとするエンジン搭載車である。
心臓部の4.0リッターV8ツインターボエンジンは、最高出力630PS、最大トルク850Nmという驚異的なスペックを誇る。このパワーは8速ティプトロニック(AT)とクワトロシステム(AWD)によって効率よく路面に伝達され、0-100km/h加速は3.4秒。ステーションワゴンとしての積載性や日常生活における使いやすさをあわせ持ち、サーキットから市街地、高速道路まで活躍できるオールマイティなモデルである。
アウディ RS 6の外観・内装


アウディ RS 6の外観と内装は、強烈なスポーティさと高級感を兼ね備えた仕上がりが特徴。迫力あるエクステリアデザインは見る者を圧倒し、ラグジュアリーと機能性を高次元でバランスさせたインテリアは乗る者を魅了する。
外観:アグレッシブでダイナミックなデザイン
アウディ RS 6の外観は、一目で「特別なアウディ」であると理解できる迫力を醸し出している。ワイドなフェンダーや専用デザインが施されたバンパー、大径エアインテークが空力性能を高めると同時に、視覚的にも圧倒的な存在感を演出している。シャープな印象を与えるマトリクスLEDヘッドライトとデイタイムランニングライトが組み合わされ、フロント周りは先進的なイメージが際立つ。
サイドビューは低く構えたシルエットとバランス良く配置された大径ホイールがエレガントな印象を与えている。リヤのスポーツエキゾーストとディフューザーなどが融合することで、実用的なクルマでありながらスーパーカーに迫るダイナミックさを実現している。
内装:豪華かつ機能的なキャビン
キャビン内は、ラグジュアリーとスポーティさが共存する空間になっている。直感的な操作が可能な「アウディ バーチャルコックピット」を中心としたデジタルインターフェースは、ドライバーを主役に据えて配置されている。カーボン製パネルやアルカンターラが随所に使用され、乗員が触れる部分は高級感のある素材で構成されている。
スポーツシートは強力な横Gにも耐えられるホールド性を備える一方で、長時間のドライブでも快適性を損なわない設計が施されている。さらに、高品質サウンドシステムによって、質の高い音楽体験も楽しめる。インテリア全体が、ドライビングの高揚感とプレミアムな居住性を両立させている。
アウディ RS 6のサイズ


アウディ RS 6のサイズは、スポーツカー並みの走行性能とラグジュアリーカーとしての存在感および実用性をバランスさせるもので、堂々たるボディと広い室内空間が魅力である。
ボディサイズ:存在感と走行性能を支える
アウディ RS 6の全長は全長4995mm、全幅は1960mmと堂々としたボディを持つ。そのプロポーションはステーションワゴンの枠を超え、スポーツカーもかくやという存在感を醸し出している。ワイドトレッドと短いオーバーハングが力強いスタンスを生み出し、低重心をイメージさせるシルエットが安定感とスポーティさを強調する。大柄なボディではあるが、ADAS(先進運転支援システム)や360度カメラによって、日本の道路事情でも扱いにくさはあまり感じないだろう。
室内スペース:広さと快適性を提供
ラゲッジ容量は通常時で565L、後席を倒せば1680Lを確保できる。アウトドアレジャーや旅行、ビジネス用途に至るまで多目的に活用できる。後席のレッグルームにも余裕があり、大人4〜5人が快適に移動できる。
パフォーマンスを重視するRSモデルでありながら、日常使いの利便性を損なわない点は大きな魅力といえる。スポーツカーの走りを味わいつつ、ファミリーカーの快適性も享受できるという二面性を兼ね備えた室内空間となっている。
アウディ RS 6の走行性能・燃費性能


アウディ RS 6には多くの最新技術が投入され、走行性能と燃費性能の両立を図っている。
走行性能:圧倒的な加速力とオールマイティな走り
アウディ RS 6に搭載される4.0リッターV8ツインターボエンジンは、最高出力463kW(630PS)、最大トルク850Nmを発揮する。アウディ自慢のAWDシステム“quattro”と8速ATの組み合わせによって、 0-100km/h加速を3.4秒でこなす。さらに、AWDシステムと電子制御式ディファレンシャルが前後左右のトルクを最適に配分し、雨天時や雪道など悪条件下においても確実にトラクションを確保する。可変サスペンションシステム「DRC(ダイナミックライドコントロール)」やRS専用ドライブモードにより、街乗りの快適性とサーキットでの鋭い走りを切り替えることもできるオールマイティなモデルと言える。
燃費性能:コンベンショナルな技術で効率化
アウディが“DYG”と呼ぶV8エンジンは、大排気量・高出力ユニットでありながら燃費性能にも配慮されている。シリンダーオンデマンド効率システム(cod)は低負荷時に4気筒を自動停止し、燃料消費を抑える仕組みを採用。さらに48Vマイルドハイブリッドシステムがブレーキング時の回生エネルギーを動力として活用。高効率な走りを提供する。
WLTCモードで8.2km/Lの燃費は、600PSオーバーの高出力仕様としてはリーズナブルな数値だろう。ドライビングスタイルによって実燃費は変動するが、従来のV8エンジン搭載モデルに比べると燃費効率は進化していると言える。
アウディ RS 6の購入価格・維持費

アウディ RS 6は高性能モデルであるだけに、購入価格と維持費も比較的高額になる。車両価格だけでなくランニングコストも考慮する必要がある。
購入価格:アウディ最強のワゴンとして妥当なレベル
現在、日本で新車は「アウディ RS 6 アバント パフォーマンス」のワングレードのみ販売されている。メーカー希望小売価格は1933万円(税込)だが、“RSスポーツサスペンションプラス”と呼ぶDRCなどオプションを追加すれば2000万円を超えるだろう。競合する「BMW M5 ツーリング」や「メルセデス AMG E 53 ハイブリッド 4マティック+ステーションワゴン」と同等の価格帯で、ブランド力と走行性能を考慮すれば妥当な設定といえる。アウディの高性能モデルを象徴する存在であることを考えれば、この価格は「究極のワゴンを所有するための対価」として納得できるだろう。
維持費: “スーパーカー”に比べれば安価なランニングコスト
アウディ RS 6 は高性能かつ高価格帯の輸入車であるため、年間の維持費も国産車に比べると高額になる。パーツ交換やメンテナンス費用は乗り方や使い方によって変わるが、毎年120万円程度は必要と考えられる。特に都市部では駐車場の費用が高額になるが、保管場所を所有していれば維持費は抑えられるだろう。主な費用項目と金額の目安は以下の通り:
| 区分 | 項目 | 年間費用(円) | 備考 |
| 税金・保険 | 自動車税 | 6万5500 | 3996cc |
| 重量税 | 2万500 | 重量2.2t(2年間で4万1000円) | |
| 自賠責保険 | 8825 | 2年分1万7650円 | |
| 任意保険 | 10万 | 30代ゴールド免許の場合の概算 | |
| メンテナンス | オイル交換 | 5万 | 銘柄等により変動。年1回交換と想定 |
| タイヤ交換 | 10万 | 4年で交換と想定(275/35 R21) | |
| 消耗品 | 随時 | ブレーキパッド、ブレーキフルード、バッテリー等の交換・整備費用 | |
| 日常費用 | ガソリン | 25万 | 年間1万km走行、燃費約8km/L、ガソリン¥200/Lで計算 |
| 駐車場 | 60万 | 都内マンション併設タワーパーキング想定(5万円/月) | |
| 合計 | 約120万〜 | 注)税金・自賠責保険料以外はすべて概算 |
アウディ RS 6 モデル解説

アウディ RS 6は、ステーションワゴンの実用性とスーパーカーの走行性能を兼ね備えているのが魅力だ。最大の特徴は463kW (630PS)/6000rpmを発揮する3996cc V8ツインターボエンジンとクワトロシステムによる圧倒的な動力性能にある。外観はワイドなボディと専用エアロパーツによって、迫力満点の仕上がりとなっている。インテリアにはカーボンやアルカンターラといった高級素材をふんだんに使用。さらに最新のデジタル技術やADASも搭載し、ドライバーに高揚感と安心感を同時に提供する。
マイルドハイブリッド技術や気筒休止システムなどの採用によって燃費性能も改善されており、従来のV8エンジンと比較して効率性が向上している。カスタマイズ次第では2000万円を超えるが、一部に根強い人気があり中古車市場でも高値で取引されている。
初代RS 6は2002年に登場
アウディ RS 6は、2002年に当時のA6セダンおよびアバント(ステーションワゴン)をベースにV8エンジンを搭載して登場した。コスワースが製造した4.2リッターV8ユニットは、最高出力331kW(450 PS)を発揮した。サスペンションにも最新技術を備え、現在でもRSモデルのみに与えられる「ダイナミックライドコントロール(DRC)」(油圧によるピッチおよびロール制御システム)を採用したのもRS 6が最初だった。
進化を続けた第2・第3世代
2008年に誕生した第2世代の心臓部には426kW (580PS)を発揮する5.0リッターV10エンジンが装備され、当時、量産モデルのステーションワゴンとしては世界最強を誇った。2013年のフルモデルチェンジを機にセダンボディが廃止され、RS 6はアバントのみとなった。412kW(560PS)を発生する4.0リッターV8ツインターボエンジンには気筒休止システムが採用され、パワーと効率の両立を実現した。
現行モデルはマイルドハイブリッドシステムを採用
最高出力441kW(600PS)の4.0リッターV8エンジンを搭載して2019年にデビューした現行モデルは、初めて48Vのマイルドハイブリッドシステムを採用した。また、このモデルからベースのA6とエクステリアデザインも差別化が図られ、ルーフ、フロントドアおよびリヤゲート以外はRS 6オリジナルの迫力あるものとなった。現在、日本では630PSに出力アップした高性能仕様「アウディ RS 6 アバント パフォーマンス」グレードのみが販売されている。
| 発表 | 2019年 |
| 全長/全幅/全高/ホイールベース | 4995/1960/1485/2925mm |
| パワートレイン | 4.0リッターV8ターボ |
| 総排気量 | 3996cc |
| 最高出力、最大トルク( “performance”の場合) | 463kW (630PS)/6000rpm、850Nm/2300~4500rpm |
| トランスミッション、駆動方式 | 8速AT、quattoro(AWD) |
| 車両重量 | 2200kg |
| 0→100km/h加速 | 3.4秒 |
| 最高速度 | 305km/h |
アウディ RS 6の新車・中古車価格


アウディ RS 6 アバント パフォーマンスの新車価格はオプション無しで約2000万円から。中古車は年式や走行距離、車両状態によって価格差が大きいが、一般的には1200万円前後から取引されることが多いようだ。
| モデル | 車両本体価格(税込) | 中古車 |
| アウディ RS 6 アバント パフォーマンス | 1933万円 | 1700万円~(認定中古車)) |
| アウディ RS 6 アバント | — | 1200万円~(同上) |
アウディ RS 6について多い質問

以下では、アウディ RS 6について多い質問・疑問に回答する。
Q:アウディ RS 6の一番の特徴は?
A:ファミリー向けワゴンの形を持ちながら、0-100km/h加速はわずか3.4秒で高性能スポーツカーに匹敵する俊敏さを誇る。高出力エンジンを搭載しているため燃費は一般的なファミリーカーよりも劣るが、新技術の採用により8.4 km/Lの燃費を確保している。従来のV8モデルと比べれば格段に改善されているといえる。
Q:アウディ RS 6はファミリーカーとして使えるのか?
A:広いラゲッジスペースと快適な後席を備え、ファミリーカーとしても十分に機能する。旅行やアウトドア用途にも対応でき、日常と非日常を両立できる点が大きな強みである。
Q:BMW M5やAMG E 53 と比較した場合、RS 6の強みは何か?
A:BMW M5はFRベースの四輪駆動(M xDrive)、AMG E 53も4MATIC+を搭載しているが、アウディが生み出すFWDベースのクワトロシステムは歴史が長く、雪道や雨天での安定性に定評がある。また、スポーツ走行においても限界域でのトラクション制御がスムーズだと言われる。またマイルドハイブリッドシステムが搭載されているとはいえ、基本的には内燃機関がメインのコンベンショナルな高性能車だ。新世代になってPHEV化されたM5やE 53とは異なる味わいが楽しめるだろう。
アウディ RS 6の購入方法

アウディ RS 6 アバント パフォーマンスは、全国のアウディ正規ディーラーで新車が購入できる。数は限られるが、認定中古車プログラム「Audi Approved Automobile」ではRS 6の中古車も取り扱っている。厳しい基準で選定された中古車に保証や整備履歴が付帯しており、比較的リーズナブルにアウディの最高峰ステーションワゴンを手に入れることができる。なお、旧モデルのRS 6は中古車専業店などで500万円から800万円程度で販売されている。

