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CHEVORET CORVETTE C8

シボレー コルベット C8とは

1953年にGMがシボレーブランドで投入したアメリカンスーパーカーともいえるコルベット。
コルベットは1953年にGMがシボレーブランドで投入したアメリカンスーパーカー。

現行型となる第8世代「シボレー コルベット」、いわゆるC8は、1953年以来続いたフロントエンジンをやめて、シボレーが長年構想を温めてきたミッドシップ化を量産車として初めて実現したモデルだ。エンジンを車体中央に配置することで重量配分を最適化し、俊敏なハンドリングと高いトラクション性能を獲得した。

搭載される6.2リッターV8 “LT2” 自然吸気エンジンは最高出力502PS、最大トルク637Nmを発揮し、8速DCTと組み合わされることで0-97mph加速2.9秒、最高速312km/hを達成している。2021年に日本市場にも導入され、右ハンドル仕様や専用装備を備えたことでアメリカンスポーツカーを日常的に楽しむ環境が整った。

シボレー コルベット C8の外観・内装

シボレーコルベット C8はミッドシップならではの低く構えた迫力ある外観と、戦闘機を思わせる没入型コックピットのような内装が特徴だ。機能美と快適性を兼ね備えた空間が魅力だ。

外観:機能美と迫力が融合したミッドシップデザイン

C8は従来のロングノーズを一新し、戦闘機を思わせるワイド&ローのシルエットとなった。彫刻的で大きなサイドインテークは、冷却性能を確保すると同時に力強い存在感を与える。ミッドシップ化に伴ってボンネットを下げたことで、フロントからカーブを描いてリヤデッキに繋がる長いラインが優雅さを表現している。

リヤのクアッドエキゾーストやエッジの効いたテールランプはコルベットの伝統を継承しつつ、アグレッシブで先進的なイメージを体現している。上位グレードの“クーペ3LT”は脱着式ルーフパネルを標準装備。コンバーチブルは走行中でも約48km/hまで開閉可能な電動ハードトップを備える。

内装:操縦席のような没入型コックピット

ドライバーを中心に設計されたコクピットは、戦闘機を思わせる高いセンターコンソールと直感的な操作に配慮したコントロール系が特徴。高解像度デジタルメーターは走行モードに応じて表示が変化し、ドライバーはスポーツ走行時に必要な情報を瞬時に把握することが可能だ。

ナッパレザーを使用した“GT2シート”は、スポーツシートの外観と高級感を両立している。クーペ3LTとコンバーチブルに採用される“コンペティションスポーツシート”は、サイドサポート部がサーキット走行時にドライバーをしっかりとホールドする。素材のもつ質感の高さによる高性能と快適性の両立は、欧州スーパーカーにも匹敵する魅力を放つ。

シボレー コルベット C8のサイズ

シボレー コルベット C8は、ミッドシップ化によって比較的コンパクトなサイズを実現しているが、全幅は2m級で迫力のエクステリアと、低重心による安定感を兼ね備えている。

ボディサイズ:約2メートルの全幅

2LT/3LT/コンバーチブル(スティングレイ系)は全長4630mm、全幅1940mm、全高1225mm、ホイールベース2725mmとスーパーカーらしいワイド&ロープロポーション。高性能仕様の「Z06」と電動AWDの「E-Ray」は全長4685mm、全幅2025mmに拡大され、サーキット走行を意識したワイドなスタンスが強調される。街乗りしやすい仕様とサーキット走行を念頭に置いたグレードの違いが、ボディサイズの差にも明確に表れている。

室内スペース:ドライバー重視の設計

キャビンはタイトに見えるが、シートの調整幅が広く様々な体格に対応できるよう配慮されている。ラゲッジスペースは前後に分かれ、リヤにはゴルフバッグ1セットが収納できるスペースを確保している。

シボレー コルベット C8の走行性能・燃費性能

シボレー コルベット C8は、502PSを誇るV8自然吸気から、合計664PSを発揮するハイブリッドのE-Rayまで幅広いパワートレインのラインアップをもっている。圧倒的な走行性能に加え、日常域での燃費性能もある程度は確保している。

走行性能:0-97km/h加速2.5〜2.9秒の俊足

スティングレイ系は0-97km/h加速2.9秒、最高速度は312km/h。Z06は5.5リッター自然吸気V8を搭載し、646PSを発揮、0-97km/hを2.6秒で駆け抜ける。E-Rayは6.2リッターV8に加えて前輪にモーターを装着しており、合計664PSを発生。シリーズ最速の0-97km/h加速2.5秒を実現している。「アメリカンV8の咆哮」と「新時代のハイブリッド加速」、その両立がC8の魅力だ。

燃費性能:米EPA値を参考にした効率性

日本では燃費性能に関するデータは公表されていないようだが、米EPAの複合値ではスティングレイ系が約19mpg(約8.1km/L)とされ、高速巡航時には12km/L前後に達すると予測される。E-Rayも同じく8.1km/L相当とされているが、低速時にはモーターによる「ステルスモード」による効率的な走行が可能だ。スーパーカーとしては優秀な数値であり、長距離ツーリングにも現実的に対応できる。なおZ06は大排気量・高回転型ユニットを搭載した超高性能仕様のため、約6.4km/L相当と公表されている。

シボレー コルベット C8の購入価格・維持費

1420万円から手に入るアメリカンスーパーカー。
1420万円から手に入るアメリカンスーパーカー(写真はコンバーチブルモデルで1845万円)。

コルベットC8は、スーパーカーとしては手の届きやすい購入価格のグレードもラインアップされる一方、維持費は高性能車ならではの負担も伴う。

購入価格:日本仕様の公式価格

スティングレイ系の2LTは1420万円、3LTが1695万円。ハイパフォーマンス仕様のZ06は2580万円、E-Rayは2350万円の価格が設定されている。オプションの装着や限定モデルを購入する場合は、3000万円を超えるケースもあるだろう。欧州ブランドのスーパーカーに比べればリーズナブルと言えるだろう。

維持費:燃料・税金・メンテナンス

6.2リッターエンジンを搭載しているため、自動車税や燃料代は高額になる。さらにハイグリップタイヤや高性能ブレーキの交換には費用がかさむ。

区分項目年間費用(円)備考
税金・保険自動車税11万/8万70006156cc/5454cc(Z06)
重量税1万6400重量 約1.7t~1.8t(2年間で3万2800円)
自賠責保険88252年分1万7650円
任意保険10万30代ゴールド免許の場合の概算
メンテナンスオイル交換5万銘柄等により変動。年1回交換と想定
タイヤ交換10万4年で交換と想定
スティングレー系 F: 245/35ZR19、R: 305/30ZR20
Z06およびE-Ray   F: 275/30ZR20、R: 345/25ZR21
消耗品随時ブレーキパッド、ブレーキ液、バッテリー等の交換・整備費用
日常費用ガソリン25万年間1万km走行、燃費約8km/L、ガソリン¥200/Lで計算
駐車場60万都内マンション併設タワーパーキング想定(5万円/月)
合計約120万〜注)税金・自賠責保険料以外はすべて概算

シボレー コルベット C8 現行モデル解説

シボレー コルベット C8は現在、クーペLT2とクーペLT3という2つのグレードがベースとなり、オープントップのコンバーチブルが加わる。特別なモデルとして、高回転型エンジンを積んだZ06やフロントにモーターを装着したハイブリッド仕様「E-Ray」も日本市場に導入されている。

クーペ 2LT/3LT(スティングレイ 系)

C8の主力を担う2LTと3LTは、日常使用からスポーツ走行まで幅広く対応するバランスの取れたグレードだ。2LTは標準仕様の1LT(現在、日本では取り扱いが無い)に快適装備を大幅に追加し、ナビゲーション、BOSEサウンドシステム、シートヒーター&ベンチレーション、パフォーマンスデータレコーダーを追加。3LTはスエード素材の採用などで、より上質なインテリアを実現する。また、カーボン製の脱着可能なルーフも3LTでは標準装備だ。

日本仕様は“Z51パッケージ”を標準装備しており、サスペンションの強化や大型ブレーキも採用。502PSのV8を日常で楽しむ「ラグジュアリーGT」として仕上げられている。初めてスーパーカーを所有する人にも、現実的な選択肢となり得るモデルだ。

項目内容(日本仕様)
発表年/発売時期2019年北米発表、日本導入は2021年
全長/全幅/全高/ホイールベース4630/1940/1225/2725 mm
パワートレイン6.2L V8 OHC
総排気量6156 cc
最高出力、最大トルク369kW(502PS)/6450rpm、637Nm/5150rpm
トランスミッション・駆動方式8速DCT、RWD
車両重量1670kg
0-97km/h加速2.9秒
最高速度312km/h
新車価格1420万円(2LT) 1695万円(3LT)

コンバーチブル

クーペと同等の性能を維持しながら、オープンエアの解放感を楽しめるのがコンバーチブル。電動ハードトップは走行中約48km/hまで開閉可能で、空力性能や冷却性能はクーペと同レベルを確保している。ルーフの格納後も荷室は十分に確保され、スーパーカーでありながら旅行や日常使いにも対応する実用性を備える。週末のドライブを一層特別な体験に変えてくれる存在だ。

項目内容(日本仕様)
発表年/発売時期2019年北米発表、日本導入は2021年
全長/全幅/全高/ホイールベース4630/1940/1225/2725 mm
パワートレイン6.2L V8
総排気量6156cc
最高出力、最大トルク369kW(502PS)/6450rpm、637Nm/5150rpm
トランスミッション・駆動方式8速DCT、RWD
車両重量1700kg
0-97km/h加速‐秒
最高速度312km/h
新車価格1845万円

Z06

Z06はサーキット志向のハイパフォーマンス仕様。高回転型の5.5リッター自然吸気V8 “LT6″を搭載する。475kW (646PS)/623Nmを発揮し、0-97km/hを2.6秒で達成。ワイドボディ化による空力性能と冷却性能の強化に加え、専用サスペンションやブレーキを装備。公道でも扱えるが、本領はサーキットで発揮される。レーシングDNAを色濃く反映した「本気の一台」だ。

項目内容(日本仕様)
発表年2023年
全長/全幅/全高/ホイールベース4685/2025/1225/2725
パワートレイン5.5L V8
総排気量5454cc
最高出力・最大トルク475kW(646PS)/8550rpm、623Nm/6300rpm
トランスミッション・駆動方式8速DCT、RWD
車両重量1720kg
0-97km/h加速2.6秒
最高速度未公表
新車価格2580万円

E-Ray

コルベット初のハイブリッドかつAWDモデル。スティングレイ系と同じ6.2リッターV8エンジンにフロントモーター(162PS)を組み合わせ、合計664PSを発揮。0-97km/h加速はシリーズ最速の2.5秒を実現。低速ではEV走行の「ステルスモード」を備え、都市部でも静粛性を発揮する。雪道や雨天でも安定した走行を可能にし、スーパーカーの新たな地平を切り開いた。ハイパフォーマンスと環境性能の両立を求めるユーザーに向く。

項目内容(日本仕様)
発表年2024年発表、2025年納車予定
全長/全幅/全高/ホイールベース4685/2025/1225/2725
パワートレイン6.2L V8 +モーター(フロント)
総排気量6156cc
最高出力、最大トルクエンジン:369kW(502PS)/6450rpm、637Nm/5150rpm
モーター:119kW(162PS)、165Nm
トランスミッション・駆動方式8速DCT、eAWD
車両重量1810kg
0-97km/h加速2.5秒
最高速度未公表
新車価格2350万円

シボレー コルベット C8の新車・中古車価格

旧モデルも含め中古車のタマ数はあまり多くないコルベット。
旧モデルも含め中古車のタマ数はあまり多くないコルベット。

シボレー コルベットC8の新車価格は、ベーシックな2LTが1420万円から。ハイパフォーマンスバージョンのZ06は2580万円、ハイブリッドのE-Rayは2350万円で販売されている。中古車市場は流通量が少なく、プレミア価格で取引されることもある。希少カラーや旧モデルの右ハンドル仕様は特に高値で推移している。

モデル車両本体価格(税込)中古車
シボレーコルベットC8 クーペ2LT1420万円1000万円~1300万円
シボレーコルベットC8 クーペ3LT 1695万円1100万円~1600万円
シボレーコルベットC8
コンバーチブル
1845万円1200万円~2400万円
シボレーコルベットC8 Z062580万円2200万円~3000万円
シボレーコルベットC8 E-Ray2350万円~2200万円

シボレー コルベット C8について多い質問

右ハンドル仕様も用意され、ポルシェなど欧州スーパーパーと比較して遜色ない性能・利便性が比較的リーズナブルな価格で手に入るのが強みだろう。
右ハンドル仕様も用意され、ポルシェなど欧州スーパーカーと比較して遜色ない性能・利便性が比較的リーズナブルな価格で手に入るのが強みだろう。

以下では、シボレー コルベットC8について多い質問・疑問に回答する。

Q:日本仕様は右ハンドルか?

A:C8は初めて右ハンドル生産に対応したコルベットで、日本だけでなく英国やオーストラリア市場にも供給されている。操作系も右ハンドルに最適化されており、国内の道路環境や駐車場事情にも適している点は大きな魅力だ。

Q:日常使いは可能か?

A:ラゲッジ容量や装備の充実により、日常的な利用にも十分対応可能。フロントとリヤに分かれたラゲッジスペースは、旅行用の荷物やゴルフバッグ程度は収納でき、実用性を備える。また、ナビゲーションやApple CarPlay、ADAS(先進運転支援装置)が標準で搭載されており、通勤やロングドライブも安全・快適にこなす。ただし全幅は約2mに達するため、都市部での駐車や狭い道での取り回しには注意が必要だ。郊外や高速道路ではそのワイドボディがむしろ安定感に繋がる。

Q:ライバル車は?

A:ポルシェ 911、アウディ R8、フェラーリ ローマなどが競合と言える。コルベットC8は価格面で欧州スーパーカーより優位性を持ちつつ、性能では肩を並べる。特にスティングレイ系はポルシェの911カレラ系、Z06はGT3、E-Rayはハイブリッド高性能モデルと比較されることが多い。ブランドイメージではヨーロッパ勢にやや劣る面があるが、「コストパフォーマンスに優れたスーパーカー」として独自の地位を築いている。

シボレー コルベット C8の購入方法

正規販売店で購入できるが、納車まで時間がかかることが少なくないだろう。すぐに手に入る中古車も選択肢として考えてもいいかもしれない。
正規販売店で購入できるが、納車まで時間がかかることが少なくないだろう。すぐに手に入る中古車も選択肢として考えてもいいかもしれない。

シボレー コルベット C8は、ゼネラルモーターズ・ジャパンを通じた正規ディーラーで購入可能。スティングレイ系は比較的入手しやすいが、Z06やE-Rayは受注生産に近い形で台数が限られるため、抽選販売や長期納車待ちとなるケースがある。特に限定仕様や特別カラーはすぐに完売するため、早期の商談申し込みが不可欠だ。

購入の流れは、ディーラーでの商談・見積もりから始まり、オプション選択やカラーコーディネートを決定後、正式契約・生産枠の確保という手順を経る。納車までには半年から1年以上を要する場合があるため、スケジュールに余裕を持った計画が望ましい。また、中古市場を利用する場合は即納車が可能な反面、プレミアム価格での取引となることが多い。また、保証やメンテナンスプランの有無をしっかり確認することが重要だ。

シボレーが、最新世代のコルベット Z06、ZR1、ZR1Xをニュルブルクリンク・ノルトシュライフェに持ち込み、タイムアタックを実施した。

シボレー コルベット Z06、ZR1、ZR1Xがニュルブルクリンクで3つの新記録を樹立【動画】

シボレー コルベット Z06、ZR1、ZR1Xが、ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェにおいてタイムアタックを実施。3台の異なる仕様、3名のエンジニアにより、米国系自動車メーカー最速となるラップタイムをマークした。

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