カーボンニュートラルに向けて大きな布石

Hondaは英国の現地法人であるホンダモーターヨーロッパ・リミテッドを通じ、欧州で新型電動モーターサイクル「Honda WN7(ホンダ ダブリュー・エヌ・セブン)」を発表。これはHondaが掲げる2050年のカーボンニュートラル実現に向けた重要な一歩だ。二輪製品、コミット企業活動双方でのCO₂排出を抑えるため、2040年代にすべての二輪車を電動化するという目標が設定されており、新型 WN7 はこの戦略の中核に位置づけられている。2024年を “電動二輪車のグローバル展開元年” と位置づけ、電動ラインアップの拡充を本格化させてきた。

モデルの由来とコンセプト

WN7 のモデル名は複数の要素から構成されている。「W」は “Be the Wind(風になる)” という開発コンセプトを表し、「N」はネイキッドスタイルを指し、そして「7」は出力クラスを示す数字。元になるデザインは2024年ミラノショー(EICMA 2024)で発表されたコンセプトモデル「EV Fun Concept」であり、このデザインを量産仕様で具現化したものだ。静かでスムーズな走行感と、従来の内燃機関(ICE)モデルとは異なる爽快さが追求されている。

主な技術仕様と特徴

WN7 は固定式リチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離は 130km 以上を想定。充電方式には CCS2(Combined Charging System Type 2)を採用し、急速充電ならば 20% から 80% までを約 30 分で完了できる性能を持つ。家庭用電源での充電時は 100%までの充電を約 3 時間以内に実施可能。デザインはスリムで未来感のあるフォルムを追求しつつ、出力は 600cc ICE 車に匹敵し、トルクにおいては1000cc ICE 車に迫る性能を備えている。さらに5インチのTFTスクリーンを搭載し、Honda RoadSyncアプリとの接続が可能となっている。

今後の展望とラインアップ戦略

Honda は WN7 の発表を起点として、FUN(楽しさ)領域だけでなく、通勤通学など日常利用を前提とするコミューター領域においても電動モデルの展開を強化する方針。顧客のニーズが多様化する中で、デザインや性能、用途の異なる電動二輪車のフルラインアップ化を目指している。継続的な投資と技術革新により、二輪車市場における電動化を加速させ、持続可能なモビリティ社会への転換を支える存在として WN7 が位置付けられている。

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