ホンダ・Winner R 最新仕様がベトナムで登場｜レーシングスタイルと新技術を融合

デザインと言葉の響きによるアイデンティティの強化

Winner R はただの名称ではない。「R」は Racing の頭文字として、スピードと決断力を象徴する存在となるようデザインされた。フロントフェイスや全体のフォルムには力強さが宿り、レーシングマシンを思わせるシャープなラインで構成されている。テールエンドは細身でシートから尾灯にかけての一体感を重視し、サイドパネルの曲線とエッジが風を受けたときの流れを視覚化している。LED ライトはヘッドライトとウインカーが統合されたコンパクトな構造となり、その明るさは「クリスタル光」の技術で強化。夜間の視認性とスタイリングともにアップグレードされている。三つのバージョン（Thể thao＝スポーツ、Đặc biệt＝特別、Tiêu chuẩn＝標準）でカラーバリエーションやグラフィックが異なり、ライダーの個性に応じた選択肢が用意されている。

エンジン・性能・振動・静粛性の改良

新型 Winner R の心臓は149.2 ccのDOHC 4バルブ単気筒エンジン。最高出力は11.5 kW／9,000 回転という仕様とされ、最大トルクは13.5Nm／7,000回転に達する。燃料供給は PGM-FI（燃料噴射）方式を採用し、燃焼効率を高めるとともに燃費性能にも配慮された。新しいピストンのスカートにモリブデン被覆が施され、バルブのロッカーアームにはローラー式の構造を取り入れることで機械的な摩擦や振動を低減。シリンダースリーブにも特殊なライナーを使い、エンジンのレスポンスと耐久性を両立させている。またアシスト＆スリッパークラッチを装備し、ギアダウン時のリアホイールロックを抑制。これによりコントロール性が高まり、スポーツライディング時にも安定感が出る。

安全性と使い勝手を支える機能群

Winner R は複数のバージョンで異なる装備を持つが、上位モデル（スポーツ／特別）にはフロントブレーキに ABS を搭載することで、不意の急制動や滑りやすい路面に対する安全マージンを拡大している。スマートキーシステムが全バージョンで採用されていて、乗車前の操作性と防犯性能を同時に高める設計。USB ポート（タイプ A、防水キャップ付き）はスポーツ／特別バージョンに装備され、長距離走行や街乗りでのモバイル機器充電など実用性を強化。チェーンには O-リング仕様を採用し、メンテナンス頻度を下げつつ、駆動効率の維持と耐久性の向上が図られている。

街中での扱いやすさも考慮した仕様

車重は約124kg。車体寸法は全長2013mm・全幅725mm・全高1075mm で、ホイールベースは1277mm。シート高は795mm、地上高は153mm と比較的低めで、取り回しや街中での扱いやすさを意識した設計。タイヤは前90/80-17、後120/70-17のサイズで、舗装路でのグリップと快適性のバランスが取れている。燃料タンク容量は4.5リットル、燃費は標準化された測定（UDC 法）で2.59リットル／100kmという数値を記録し、燃料効率の高さもアピールポイント。冷却方式は水冷、始動は電動のみ。潤滑油容量はオイル交換時で1.1リットル、エンジンを分解する際は1.3リットル。圧縮比は11.3:1。これらの数値は、スポーツ性だけでなく日常使用における実用性を十分に考慮して設計されたことを示す。

Winner Rは、そのスタイリング、走り、装備のいずれにおいても「ただの通勤用バイク」に終始しない野心を感じさせるモデルだ。

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