WEC

ドライバーズタイトル獲得に向けて

ル・マン24時間3連覇を果たすなど、フェラーリが好調を維持したまま第7戦富士6時間を迎えた。しかし2023年(4位、5位)、2024年(9位、12位)と富士スピードウェイでのレースはあまり芳しいものではなかった。しかし、このレースの結果次第ではチャンピオンシップを確定させる可能性がある重要な1戦となる。

フリープラクティス直前、フェラーリのエンデュランスレースカー部門パフォーマンス&ガバナンスリレーションシップ責任者を務めるマウロ・バルビエリ氏に意気込みを聞くと「他のレースと同じように取り組みます。私たちはベストを尽くし、チェッカーフラッグを受けた後に結果を計算します。最適化して可能な限り良い結果を出すことだけに集中します」と回答があった。

まずドライバーズタイトルは、現在トップのフェラーリ AFコルセの「フェラーリ 499P」51号車(アレッサンドロ・ピエール・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョヴィナッツィ)の115ポイントに対して、2位の非ワークスだがAFコルセの「フェラーリ 499P」83号車(ロバート・クビサ、イェ・イーフェイ、フィリップ・ハンソン)が100ポイントで15ポイント差、3位の6号車「ポルシェ 963」(ケビン・エストレ、ローレンス・ヴァントール)が79ポイントで36ポイント差となっている。そのポイント差を踏まえて「最終スティントあるいはレース残り10分などの土壇場で、タイトル獲得のためにチーム内で順位入れ替えることもあるのか?」という質問に対しては明確な答えはなかった。

「夢」であり「最優先事項」

もうひとつのマニュファクチャラーズタイトルを決める可能性の方が高い。現在フェラーリは203ポイントの首位で、これは2位ポルシェの138ポイントに対して65ポイントもの大きな差がついているのだ。フェラーリにとってWECタイトル獲得は「夢」であり「最優先事項」と語ったが、一方で「アプローチを大きく変えるつもりはない」という。このレースでもトラブルを避け、クラッシュを回避し、パフォーマンスを最大限発揮するのが目標だ。状況は複雑で、計算はチェッカーフラッグを見てからなのだという。

83号車の8位が最上位と、下位に沈んだ第5戦サンパウロ6時間と同様に、フェラーリにとって富士との相性もこれまでの過去2年のレースを見る限り、昨年は2周目で3台中2台がクラッシュしてしまうなどあまりいいとは言えない。実際、今日の90分2回のプラクティスでも、8位が最高位に終わっている。

ますます重要性が高まる予選

そのためにも明日土曜に行われる予選が重要だ。近年耐久レースでも予選が重要になっているのは、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス)によって性能調整されるため、レースでのペースが接近しているためだ。レース中のオーバーテイクが難しく、わずかにペースの遅いマシンの後ろでタイムロスする可能性がある。

さらに富士は高速でアプローチする1コーナーでの接触が起きやすいため、予選で良い順位になることが一層重要となっている。フェラーリにとって正念場となった富士では、トラブル回避のためにも予選重視と、レース中のパフォーマンスを確実することで少しでも上位に入ることを目指すしかない。明日土曜15時から行われる予選に注目したい。

PHOTO/Ferrari S.p.A.

1970年の「富士200マイル」でトップフィニッシュを果たした、フェラーリ 512 S。

まもなく開幕「WEC富士6時間」フェラーリ499Pが富士初勝利を狙う

2025年9月27日から28日にかけて、2025年シーズンの世界耐久選手権(WEC)第7戦「富士6時間レース」が、富士スピードウェイで開催される。現在、ドライバーズ選手権、マニュファクチャラーズ選手権でトップに立つフェラーリは、3台の499Pを投入する。