オピニオン 21世紀電池攻防戦・3 ノースボルトの「大きな勘違い」【写真・4枚目】 シェレフテオにあるノースボルト1(2024年1月)。深い雪に覆われたLIB工場というのも珍しく、冬場の平均気温マイナス25℃では工場内の暖房に相当なエネルギーを使うだろう。工場内を20℃に保つとすれば室温を45℃も上げなければならない。シェレフテオは北極圏まで200kmしか離れていないため年の半分は日照20時間、残り半分は同4時間未満。1年のうち冬が6〜7か月である。 日産の初代リーフが使ったラミネート型LIB 試作が始まったのは2009年だった。 2010年 日産リーフの生産が追浜工場でスタートした。バッテリーはラミネート型リチウムイオンバッテリーだ。生産はAESCが担った。 PHOTO:AESC Northvolt Dwa: 2023年8月、ポーランドのグダニスクに建設中のノースボルト2(Dwa)。LIB製造の基盤技術が確立されていないのに規模拡大を急いだのは拙策としか言いようがない。しかもサプライチェーンは、ほとんどを外部に依存していた。 Slurry-mixing工程: 電極に塗るスラリーの混合工程は密閉された容器内で行なわれる。この写真はスタッフが容器の窓から中を覗き込んでいるところ。均一に混ぜ、薄く延ばして電極に使う。その「塗り」と「裁断」の工程で、床にこぼれた極材を掃除機で吸い込み、爆発事故を起こしている。 テスラはパナソニック製18650型の特注品を使っている。乾電池と同じ構造であり、製造設備も乾電池と似ているが、乾電池が「1回だけ」しか使えない1次電池であるのに対しLIBは繰り返し使える2次電池のため製造工程は乾電池よりもはるかに緻密だ。ちなみに日本の調査系ウェブサイト・Deallabによると、2022年の世界一次電池シェア推計はパナソニック16.5%、エナジャイザー(米)14%、デュラセル(米)12.2%がトップ3で4位GP(香港)が4%、5位FDKが2.2%。6位以下はすべてシェア2%以下のローカルブランドである。 EU規制に対応するためのLIBリサイクルはノースボルトのラボで研究されていた。「画期的な方法が考案された」「コストは安い」などと日本でもLIBリサイクルについてメディアは盛んに報じたが、すべてはまだラボ(研究室)段階であり、そうした画期的な「発明」はまだ何ひとつ実現していない。 この画像の記事を読む