team DROO-PのHT DUNLOP 86はカラーリングを変更。広島トヨタとマッハ車検のコラボカラーだ。

前戦の筑波ラウンドから3ヵ月が経過した。エビスサーキットは夏場は夕立も多く、路面状況が変わっても安定した性能を発揮するDIREZZA β02にとっては、天候の急変も望むところだったが、季節は夏から秋に変わったところで、けっきょく最初から最後まで穏やかな晴天が続いた。

このエビスラウンドに向けて、広島トヨタ team DROO-Pの2台、そして“のむけんJr.”野村圭市が駆るURAS RACINGのDUNLOP CUSCO SKYLINE、いずれも車両の大きな仕様変更は行っていなかったが、このオフの期間、広島トヨタ team DROO-Pはイベントでのデモ走行やテストなどで本番車を走らせてきて、タイヤを生かせるセッティングがかなり仕上がっていることを確認している。

同じく野村も、練習やイベントでの走行を行い、ドライビング、車両の完成度ともに向上させてこのエビスラウンドに臨んでいる。

シーズン中断期間にも練習を積んできたという野村は好調な状態でエビスラウンドを迎えていた。

しかし、金曜の公式練習日は受難の日だった。石川車はエンジンのバルブリテーナーが壊れて本調子で走れなかった。これは原因も究明できていたのでさほど問題はなかったが、松川車が練習走行でコースアウトして横転。出火したこともあって大きなダメージを負ってしまった。けっきょくこの2日間では修復できず、松川はリタイヤとなってしまった。

そして野村のスカイラインは練習走行前のチェック走行でトランスミッションが壊れた。中身は無事だがケースが割れてしまったのだ。公式練習の1ヒート目の時間にミッションを載せ替え、2ヒート目は走ることができた。

スカイラインのミッション載せ替えを行うURAS RACINGのメカニック。このときはこれで済むと思われたが、そう簡単には解決しなかった。
練習走行で横転してしまった松川。ドリフト歴で横転は初めてだという。大きなケガはなかった。

土曜日朝、エンジンを直した石川車は好調で、チェック走行でも高得点を記録していた。野村もいい得点を出していたが、その直後、またしても野村のトランスミッションが壊れてしまう。スペアのミッションも前日と同じようにケースが割れてしまったのだった。これにより野村は第5戦はリタイヤとなった。

そして迎えた単走決勝。ダンロップ勢唯一の出走となってしまった石川だが、車速がいまひとつ上がらず、いいフェイントと振り返しを見せて進入したものの、コースリミット超過の減点をとられて点が伸びない。2本目も本来の走りにはほど遠く、通過指定ゾーンをとりきれなかった減点もあって追走進出を逃してしまった。

第5戦、石川は練習走行でできていたような走りができず、単走敗退となった。

土曜日のトラブルのあと、野村車は割れたミッションケースを修理するとともに、メンバーのブッシュ類をリジッドに替えてトランスミッションが余計な動きをしないように対策を施して日曜日の走行に臨んだ。しかし、朝のチェック走行でまたしてもトランスミッションが破損。第6戦もリタイヤとなってしまった。野村は、「今回のラウンドは、走れた周回数は少なかったんですけど、わりあいすぐに97点台のいい点が出ていたので手応えはありました。壊れる心配はあったので、ウォームアップもあまりせずに1周目から攻めていったんですけど、タイヤはぜんぜん滑ることもなく、完全に信用していけました。次のラウンドまで日数は少ないんですけど、よく考えてしっかり対策して行きたいと思います!」とコメントした。

けっきょく第6戦もダンロップ勢では石川だけが単走決勝に出走。1本目にすべてのセクターで安定して得点をとるセオリーどおりの完成度の高い走りで97.77点という高得点をとり、2本目は失敗したものの6位での追走進出を決めた。

3日間にわたってトランスミッションのトラブルに悩まされた野村。調子はよかったので、次戦までには原因究明できることを願いたい。

第6戦の追走トーナメント。ベスト16での石川の対戦相手は、前日の優勝者で、ポイントランキングでも2位につけている藤野だ。1本目は石川が先行。石川はゾーン2を外してしまったもののまずまずの走行。藤野は最後のコーナーで後ろにまわったものの、前半は近い距離でドリフトを合わせてきた。藤野が8.1点のリードだ。2本目は藤野が先行。石川はコーナーへの飛び込み時こそ少し離れていたものの、飛び込んだ奥では藤野にピッタリ寄せてみせた。ただ、途中で一瞬離れたところから再び寄せる動きをしたために姿勢の安定性で得点が下がったことが懸念された。けっきょく2本目は石川が7.4点のリード。2本の合計点で逆転できず、石川はここで敗退となった。石川の最終順位は11位だった。

第6戦の追走で藤野を追い詰める石川。後追いポイントでは勝っていたが、先行時のミスが響いてベスト16敗退となった。

大会後team DROO-Pの松岡監督は「じつはね、今日の朝になって走りかたを変えたら点が入らなくてね、ちょっとヤバいなっていう感じはあったんだけど、石川が本当にいい仕事をしてくれたね。本番で一発であれを決めれるっていうのは、たいしたもん。追走では、プッシングしたクルマが勝っちゃうっていうのはちょっとルール的によくないと思うけど(※石川が先行時に藤野に当てられていた)、今回石川がちょっと追走の走らせかたをつかんだ感はあるっぽい。実際離されることがなかったしね。ランキング2番手の藤野とバチバチでできるようになってるんで、これからまたワクワクするよね。そう考えたら、本当にタイヤを生かせるようになってきた。筑波のときからタイヤの生かしかたがあきらかに変わってきて、ぜんぜんよくなったね。もう本当につかんだ感じがある。

β02はドライももちろんいいんだけど、雨は特にいいから、あまり大きい声じゃいえないけどオートポリスでも1日くらいは雨を願っていこうかな、と(笑)。

オートポリスは、横転したAE85も復活させて、2台で行きますよ。これも神様が与えてくれた試練だと思って。石川車のほうもだいぶ煮詰まってきたけど、もしやりたくなるところが出てくれば、それがまた戦闘力アップになってくる。あのエンジンも、今回トラブルもあったんで、まだやりたいことはあります。次も期待してください!」と語ってくれた。

手応えを感じつつも、上位進出を逃したことが悔しそうな松岡監督。AE85の復活も約束してくれた。

次のラウンドは野村にとっては地元九州であり、team DROO-Pにとってもかつて初優勝を成し遂げたオートポリスだ。DIREZZA β02の性能を引き出せるようになってきたダンロップ勢の活躍が見られそうだ!