パイプラインが整備されれば、ライプツィヒ工場はトラックによるボンベ水素の供給を必要としなくなる。「パイプライン経由の供給により、特に塗装工場の硬化炉などエネルギー消費が最も大きい工程において、水素を全く新しい方法で活用できるようになります」と、BMWグループ・ライプツィヒ工場長のペトラ・ペーターヘンゼルは語る。

2022年10月、ライプツィヒ工場は塗装工場に燃料切替式バーナーを導入——これも自動車生産における世界初の実例である。現在ではガスと水素の切替が可能なバイバリエントバーナーを計11基稼働させている。2013年には水素燃料電池式フォークリフトと牽引車両も導入。現在では230台以上を擁する欧州最大規模の内部物流車両群を運用中。これらの車両は工場棟内に設置された9カ所の水素充填ステーションで燃料補給を行う。

中核となる水素ネットワークは、約9,000キロメートルの水素パイプラインで構成される全国規模のインフラプロジェクトである。段階的に稼働を開始し、2032年までに完全稼働に達し、ドイツを地域横断的な水素ネットワークに接続する予定である。