Alpine A424
序盤のアクシデントにより後退

9月27日に富士スピードウェイで行われた予選とハイパーポールの結果、ポールポジションはキャデラック・ハーツ・チームJOTAの「キャデラック V-シリーズ.R」12号車(アレックス・リン、ノーマン・ナトー、ウィル・スティーブンス)、2番手グリッドにはV-シリーズ.R38号車(アール・バンバー、セバスチャン・ボーデ、ジェンソン・バトン)が入り、キャデラック勢がフロントロウを独占した。
アルピーヌ・エンデュランス・チームは、前戦オースティンから直接空輸されたA424のオーバーホールを月曜日に開始。その後、フリー走行で254周を走り込み、予選へと臨んだ。参戦する「A424」は2台で、35号車はミレッシがハイパーポールに進出して9番グリッドを獲得。同じくA424の36号車のフレデリック・マコヴィッキィは、ポールから0.9秒差以内ながらも16番手で予選を終えた。
不穏な雲が空を覆った28日の決勝は、11時に全車ローリングスタート。35号車がハプスブルグ、36号車がマコヴィッキィがスターティングドライバーを担当した。しかしレース開始早々の11時15分、ハプスブルグはトヨタ「GR010 ハイブリッド」8号車と接触し、次のピットストップでフロントカウルを交換。さらに5秒のストップ&ゴーペナルティも科され、17番手まで後退する。一方、力強い走りでトップ10圏内に浮上した36号車は、GTマシンとの接触で、こちらも大きくポジションを落としている。
戦略を活かして悲願のトップフィニッシュ

レース中盤、35号車はシャタン、36号車はジュール・グーノンにバトンタッチ。ここでBMW「M ハイブリッド V8」15号車の激しいクラッシュによって、フルコースイエロー(FCY)となり、セーフティカーが導入された。35号車はタイミング良く給油を済ませていたため、リスタート時に2番手へと浮上する。
残り2時間となる15時の段階で、35号車はシャタンからミレッシへとドライバー交代すると、やがてプジョー「9X8」93号車、ポルシェ「963」6号車との激しい三つ巴のバトルに突入。ミレッシは最終のピットストップまで2番手を死守し、このタイミングでチームは2本のみタイヤを交換。ライバルは4本のタイヤを交換したため、短時間でピットアウトした35号車がついに首位に立った。
終盤、35号車のミレッシは完璧なレースマネジメントを披露して、悲願のトップフィニッシュ。多くのマニュファクチャラーが参戦するハイパーカークラスにおいて、アルピーヌに嬉しい初勝利を持ち帰った。厳しいバトルを制したミレッシは、フィニッシュ後に喜びを爆発させた。
「まったく信じられません! 本当に現実離れした出来事です。レース序盤の苦戦、2度のペナルティ、ほぼ1周遅れという状況から、このような結果を予想できた人は誰もいなかったでしょう。チームの働きは驚異的でしたし、マシンは速く安定した走りを見せ、完璧な戦略が勝利を呼び込みました」
「セーフティカー導入が我々を再びトップ争いに引き戻し、最終盤の2本のタイヤ交換が、プジョーとポルシェを突き放したのです。最後の数周は永遠に続くかと思いましたが、ペースを維持し、最後までトップを守り切れました。2023年のA424開発時から共に戦ってきたチームメイトと、今日この勝利を掴めたことを誇りに思います。少しの幸運にも恵まれましたが、幸運は自ら掴むものです」
WEC第7戦富士6時間を動画でチェック!
