カジュアルにシティとオフロードを楽しむ。それがCFLITE 230 Dualのコンセプト。アジア、アフリカ、中南米などでの使用を考えて開発されたこのマシンは、現在の国産マシンとは違った魅力を感じさせてくれる。
CFLITEという新ブランド
CFLITEは、急成長を遂げている中国のCF MOTOが立ち上げた別ブランド。カジュアルに楽しむことができるバイクを提供していく。今回紹介する230デュアルもそんなコンセプトから生まれた1台だ。
フルサイズのオフロードバイクでありながら価格は40万円台前半と格安。車両価格だけで言えばスーパーカブC125よりも安い。海外ではコスパの高いバイクが登場したとして、デビュー早々からとても注目されている。
このモデルがターゲットにしているのは日本やアメリカ、EU諸国ではない。バイクの需要が高い西アジアや中央・南アフリカ、ASEAN諸国など。経済成長を遂げている発展途上国の道路事情や使い方にマッチした設計や価格設定になっている。
このマシンのことを理解するには日本でメインストリームになっているオフロードバイクとは少し違った方向性にあることを理解しておく必要があるだろう。必要以上の性能や装飾を廃して高いコスパを追求しているのである。
フルサイズのオフロードモデルだが、コストを重視しているために設計は割り切られている。高級感がある作りではないけれど、だからといって安っぽいというほどでもない。車体をカバーする外装のデザインと鮮やかなカラーリングが独特の存在感を醸し出している。彼の地では人気が出そうな佇まいだ。エンジンは空冷のSOHCで燃料供給装置はキャブレターという一時代前のメカニズムになっている。

体重移動を考えたフラットなシートではなく、ホールド性の良さそうな段付きシートやブリッジのないハンドルなどを見ても分かるように、本格的なオフロード走行を考えたマシンではないが、混雑した町中を走り抜け、整備が進んでいない未舗装などを走るのであれば十分な性能を確保。空冷SOHCというシンプルなメカニズムはストリートでの扱いやすさだけでなく、コストと整備性のバランスを考えて採用されている。整備網が整理されていない発展途上国では、整備のしやすさも重要になるからである。
新鮮なキャブのフィーリング
気になるのはキャブレター仕様の空冷230 ccのフィーリングだった。バイクのコンセプトも理解していたので、特に期待していなかったのだけれど、エンジンを始動してみると、これが予想外に元気な感じ。低中速トルクを重視したエンジン特性に加えてキャブレターだから、扱いやすさを重視したインジェクションにはない力強さと元気の良さがある。久しぶりにキャブレターのバイクに触れると実に新鮮な感じ。扱いやすさに関しても問題は何も感じなかった。
高回転のパワーを捨てて低中速全振りにした特性なので、回しても苦しげな感じがするだけだが、実用域での扱いやすさは抜群。回転を落としても力強く、粘り強いこともあってオフロードをトレッキング的に走る時はとても扱いやすい。市街地をキビキビと走ることもできるだろうし、ノンビリとツーリングを楽しむのにも適しているであろうことがイメージできる。振動やノイズも少なめ。エンジンは完成されていると思う。
必要にして十分かな足回り
フロントフォークのダンピングは効いていないけれど、そこそこにしなやかな動きをする。対してリアショックはダンピングが弱くてスプリングが硬めの設定。おそらく2人乗りや荷物を搭載することを考えた設定なのだろう。
155kgという車体の重さは感じないけれどハンドリングはフロントの動きが鈍くて重いフィーリングだ。オフロードタイヤを装着して空気圧を低くしていたことも多少は影響しているかもしれないが、マシン自体の性格だろう。安定感があると言えないこともないけれど、もう少し軽快感があったほうが走りやすいように思う。
前述したようなサスペンションなので、スピードを出していなくても大きめのギャップを乗り越えるような時は底づきしてしまうのだが、たぶんこのバイクが想定しているユーザーはそこまでの性能は求めていないはず。足をベタベタついていけば低中速トルクの太いエンジンに助けられて進んでいく感じは頼もしい。個人的にはもう少し車高を下げて足つき性を良くした方がベターだったのではないかとも思う。ストリートやライトなオフロードでの扱いやすさが増すだろうし、同じカテゴリーに登場してくるCFLITE 250Dualとの差別化にもなるからだ。
細かいところを突っ込めば色々と出てくるのだけれど、ターゲットとしている国々でコミューター&ライトオフローダーとして求められる性能はクリアしているはず。では日本ではどうだろう? 本気でオフロードを走りたいライダーや国産車レベルの仕上がりを求めている人には不満が出てくるだろうが、そこまで必要としないというライダーも少なくないはず。手頃な価格で必要最低限の性能をクリアできればいい、と考えているライダーにとっては良い選択肢になるのかもしれない。
ポジション&足つき(伸長178cm 体重76kg)
ポジションは上体が直立したリラックスした姿勢になる。シートが段付きになっていることから腰がホールドされる。
シート高は840mm。車体がスリムなこととサスペンションの沈み込みがあるので両足のかかとがついて膝が軽く曲がる。数値よりも足つきは良く感じだ。
ディテール解説


















主要諸元











