Mercedes-Benz Vision Iconic

1930年代のクラシカルなクーペをイメージ

「メルセデス・ベンツ ヴィジョン アイコニック」のエクステリア。
メルセデス・ベンツは、中国・上海において、1930年代をイメージしたフル電動クーペ「ヴィジョン アイコニック」をワールドプレミアした。

メルセデス・ベンツは、新たなデザインランゲージ「アイコニック・デザイン」を纏ったショーカー「ヴィジョン アイコニック」を、上海で初公開した。ヴィジョン アイコニックは、過去と未来をつなぐ架け橋として、メルセデス・ベンツのラインナップに新たな視点を切り開く存在となる。

ヴィジョン アイコニックは、自動車史上もっとも象徴的なデザイン要素のひとつ、メルセデス・ベンツのフロントグリルを再解釈した。この「アイコニック・グリル」は、2025年に発表された新型「GLC」で初採用。感性と知性を融合させることで、メルセデス・ベンツがライバルと一線を画す存在であることを示している。

メルセデス・ベンツの最高技術責任者(CTO)のマルクス・シェーファーは、ヴィジョン アイコニックについて次のようにコメントした。

「ヴィジョン アイコニックは、ニューロモーフィック・コンピューティング(人間の脳などの構造を模倣した技術)、ステア・バイ・ワイヤ、ソーラーペイント、レベル4の高度自動運転など、画期的な最先端のテクノロジーを組み合わせました。これにより、電動化とデジタル化の時代における新たな基準を打ち立てたと自負しています。この美しいクルマは、未来のモビリティを現実に変えるという、私たちの決意の証です」

美しいデザインについて、メルセデス・ベンツのチーフデザインオフィサーを務めるゴードン・ワグナーは、次のように説明を加えた。

「1930年代の黄金期の自動車デザインからインスピレーションを得たヴィジョン アイコニックは、メルセデス・ベンツが持つ本質を体現しています。堂々たるフロントノーズ、流麗な曲線、そしてアール・デコの香りが、真の美しさに昇華しています」

「キャビンは一体型のベンチシートを備え、エレガントなリヤデザインは伝説の300 SLを思わせるでしょう。ヴィジョン アイコニックは単なる自動車ではなく、“動く彫刻”であり、時を超えた優雅さへのオマージュであり、そして未来への声明とも言える存在です」

光を放つ「アイコニック・グリル」

中国の上海で行われた、「メルセデス・ベンツ ヴィジョン アイコニック」のワールドプレミアイベント。
メルセデス・ベンツの次世代デザイン「アイコニック・グリル」は、先に発表された「GLC」に初導入。ヴィジョン アイコニックは、ボンネットのスリー・ポインテッド・スターと共に光を放つ。

フロントデザインの主役となるのが「アイコニック・グリル」。これは100年以上にわたってメルセデス・ベンツの表情を形づくってきた伝統的なクロームグリルへの未来志向のオマージュとしてデザインされた。W108、W111、そしてメルセデス・ベンツ 600 プルマンなど、名車のグリルからインスピレーションを得ている。

クロームフレーム、スモークガラス格子構造、そして輪郭を縁取る美しい照明が、伝統とデジタルモダニティを融合。存在感と格式、そして確固たるメルセデス・ベンツのブランドアイデンティティをアピールする。この新しいブランドフェイスは2025年9月に発表された新型「GLC」で初導入され、ヴィジョン アイコニックはさらにボンネット上のスリー・ポインテッド・スターも光を放つ。

グリルとスリー・ポインテッド・スターに備えられたライティング機能には、アニメーションも導入されており、デジタルに感情を付け加えた。ここにシャープな形状のヘッドライトを組み合わせることで、彫刻的なグロスブラックのボディをさらに引き立てている。

アール・デコをイメージした室内空間

「メルセデス・ベンツ ヴィジョン アイコニック」のインテリア。
アール・デコをイメージしたインテリアは、高度なデジタル機能にクラシカルな美しさが融合する。

自動運転の進化に伴い、インテリアの役割が変化したことを受けて、ヴィジョン アイコニックは、ラウンジのような快適性と、アナログとデジタルが融合した新たなラグジュアリー空間を実現した。

室内はアール・デコから着想を得た、贅沢な造形と最高級素材で構成。インスツルメントパネルのセンター部には「ツェッペリン」と呼ばれる浮遊感のあるガラス構造がレイアウトされ、アナログとデジタルが調和した美しい居住空間が広がる。ドアを開けると、高級時計を思わせるアナログアニメーションが展開。メルセデスのブランドロゴを模した時計は、AIコンパニオンとして機能する。

ドアパネルには真珠の象嵌細工が施され、美しく輝くシルバーゴールドカラーの真鍮ハンドルが鎮座。深いブルーのベルベットで包まれた広々としたベンチシートが、パッセンジャーを優雅に包み込む。フロアは17世紀から伝わるストローマルケトリー仕上げがチョイスされ、アール・デコ風の扇形パターンが施された。

ソーラーペイントによる航続距離の拡大

ヴィジョン アイコニックには、メルセデス・ベンツが研究中の太陽光発電コーティングを導入。理想条件下であれば、年間最大1万2000km分のエネルギーを生成することができるという。
ヴィジョン アイコニックには、メルセデス・ベンツが研究中の太陽光発電コーティングを導入。理想条件下であれば、年間最大1万2000km分のエネルギーを生成することができるという。

メルセデス・ベンツは、車体表面に塗布できる新開発の太陽光発電コーティング「ソーラーペイント」を開発中。ヴィジョン アイコニックのボディ全面に塗布した場合、理想条件下で年間最大1万2000km分のエネルギーが生成可能となる。このコーティングはレアアースやシリコンを含まず、再利用も容易。また、変換効率は20%と高く、車両停止中でも発電を続けることができる。

自動運転などの機能拡張に伴い、車載コンピュータの消費電力が増大したことを受けて、メルセデス・ベンツは研究機関と連携し、人間の脳の働きを模倣する「ニューロモーフィック・コンピューティング」を研究中。これによりAIの演算を高速かつ省エネ化し、現行システム比で10倍もの効率アップを実現する。さらにデータ処理のエネルギー消費も、最大90%削減できる可能性があるという。

ヴィジョン アイコニックは、都市部におけるレベル2自動運転を標準搭載し、将来的にはレベル4自動運転を想定する。高速道路では完全な自動走行が可能となり、パッセンジャーはくつろぎながら映像や音楽を楽しむことができる。また、目的地到着後は自動駐車機能がドライバーをサポートする。

メルセデス・ベンツ・ミュージアムは、デビュー40周年を記念し、初代「マルコポーロ」を2025年1月まで特別展示する。

「もはやデジタルノマドのためのスマートホーム」メルセデス・ベンツ初の“キャンパー”「マルコポーロ」デビュー40年を振り返る

ドイツ・シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ・ミュージアム(Mercedes-Benz Museum)は、キャンピングカー「マルコポーロ」の登場40周年を記念し、1984年に製作された初代マルコポーロを特別展示している。マルコポーロは、40年の歴史で今やスマートホームと呼べる中身に進化している。