2024 Aston Martin Valkyrie Spider
85台のみが製造されたヴァルキリー スパイダー

すでに、ヨーロッパのエンスージアストの間で大きな話題となっている「チューリッヒ・オークション」には、珠玉のコレクターズカーが数多く出品されることになった。今回、オークションを主催するブロードアロー・オークションとオート・チューリッヒは、60台を超える極めて魅力的なコレクターズカーを用意。その多くはスイスでの所有歴が確認されており、この要素は国際マーケットにおける車両の魅力をさらに高めるという。
ブロードアローのEMEA地域セールス担当VPを務めるジョー・トワイマンは、今回のチューリッヒ・オークション開催について次のようにコメントした。
「最も価値のあるコレクターズカーとは、往々にして完璧なヒストリーを持っています。今回、チューリッヒ・オークションに出品される車両は、まさにその好例と言えるでしょう。希少なスーパースポーツであれ、独自の物語をもつクラシックカーであれ、今回のスイスで行われるイベントは、目の肥えたコレクターにとって極めて特別な1台を手にする絶好の機会となるはずです」
なかでも印象的な出品車のひとつが、2024年型「アストンマーティン ヴァルキリー スパイダー」、推定落札価格275万〜325万スイスフラン。グロス・ストームパープルで仕上げられたこの美しいスパイダーは、アストンマーティンのビスポーク部門「Q」による25万スイスフラン相当のオプションが含まれる。スパイダーの製造台数は85台のみ、走行距離はわずか97km、スイスでデリバリーされた個体となる。
バーグマンが愛したフェラーリも登場

驚くべき物語を帯びた1台を求めるコレクターにとって見逃せないのが、1952年製「フェラーリ 212 ヨーロッパ ピニンファリーナ クーペ」、推定落札価格は80万〜100万スイスフラン。シャシーナンバー「0265 EU」の物語は、スウェーデン出身の大女優イングリッド・バーグマンと、イタリアの映画監督ロベルト・ロッセリーニの有名なロマンスと切り離すことはできない。
1951年4月、バーグマンとロッセリーニはトリノ・オートショーに来場し、ロッセリーニはバーグマンにクーペの購入を約束。バーグマンがコーチビルダーにピニン・ファリーナを指名した。納車前、フェラーリはこの個体を第23回ジュネーブ・モーターショーに展示し、控えめなツートーンの佇まいは、マラネロのロードカーにおける新しいデザインランゲージの到来を告げたと言われている。
その後のオーナー歴としては、米国の映画監督クラレンス・レオン・ブラウン(『モヒカン族の最後』など製作)も含まれる。また、この個体は2020年2月から2021年3月まで、モデナのフェラーリ・ミュージアムに展示されていた。その後フェラーリ・クラシケに送られ、レッドブック認証を発行。マラネロでの製造記録やオーナー履歴も完備され、ペブルビーチやヴィラ・デステなどでのコンクール受賞歴、さらにミッレミリアへの参加履歴を示すファイルも付属される。

