
境内は訪日外国人や若い女性でいっぱい
都心から深大寺までは片道約20㎞、1時間弱の道のりなのでプチツーリングとも呼べない行程だ。しかしカブでふらりと出かけるにはちょうどいい距離だし、昼飯にそばを食べに行くという目的にはまさに最適だ。
休日には大勢の参拝者や観光客が訪れ、周辺の道路はかなり渋滞する。今回は平日に出かけたのだが、それでもけっこう人出があって、車も少なくなかった。有料パーキングも8割ほど埋まっている状況だった。しかしバイクには関係ない。深大寺や隣接する神代植物公園には無料で止められるバイク駐輪場があるのだ。つまり、ふらりとツーリングで訪れるにはとてもいいところなのだ。


武蔵野の森に囲まれた深大寺は、奈良時代に満功上人(まんくうしょうにん)によって創建されたといわれる古刹で、東京では浅草寺に次ぐ長い歴史を誇る。さらに、飛鳥時代後期の銅造釈迦如来像は平成29年に国宝に指定されたほか、梵鐘は都内最古のものとして国の重要文化財に指定されるなど、数多くの歴史ある文化財が残されている。
深大寺の名物がそばだ。なぜそばが深大寺の名物になったのかというと、江戸時代、深大寺の北の台地はそばの生産が盛んだった。そば粉は寺に納められ、寺はそばを打って来客をもてなしたというのが深大寺そばの始まりと伝えられている。また境内には湧水がいくつもあり、豊かな水も美味しいそばに生かされている。現在はおよそ20軒ほどのそば屋が門前町を中心に軒を連ねている。
深大寺通りから路地に入り込み、境内と植物公園の境をたどって行くと、神代植物公園深大寺門が見えてくる。その入り口の目の前にバイク用駐輪場がある。20台程度が止められる駐輪場で、休日にはすぐに満車になってしまうが、平日は余裕があるので、ムリすることなくスーパーカブを止めることができた。観光地なのにバイクが無料で止められるようになっているのはとても良心的だ。



なにはともあれ深大寺境内を散策してみることにした。神代植物公園側からだと裏手から入り込むことになるので、まずは元三大師堂から見ていく。この大師堂は高さ約2mの日本最大の肖像彫刻である慈恵大師(元三大師)像を安置しているお堂で、今春に特別開帳が行われた。次に宝冠阿弥陀如来像を本尊とする本堂へ行き、そのまま山門をくぐれば門前町となる。
境内には観光客の姿がけっこうあり、外国人も多かった。「平日でも人がいるんだな」と思ったが、門前町にはさらに大勢の人が行き交っていた。そば屋や土産物屋などが軒を連ねているのだが、なるほど、若い人の姿が目に付いた。20代の女性グループがソフトクリーム片手にスマホで写真を撮り合っていたり、動画を撮りながら歩くユーチューバーらしき人もいる。平日でこれだけの人がいるのだから、休日ともなれば原宿の竹下通りなみになるにちがいない。昼を少し過ぎた時間ということもあって、そば屋はどこも行列だった。




ひととおり境内をめぐったところで駐輪場へと戻り、目前にあるそば屋に入ることにした。ここには2軒の店があるのだが、依然来たときとは別の店に入ることにした。陽気が良かったので外のテラス席で武蔵野の森に抱かれて新そばを味わった。こしのあるそばは風味があって実にうまかった。
こうして久しぶりのプチツーリングを満喫したのである。



走行距離は40㎞で使用したガソリンは0.9L。街中の走行だったので燃費は少しばかり悪かった。使った費用はそば代800円とガソリン代140円だった。
