Rolls-Royce Phantom Centenary

100年の歴史を織り込んだ内外装

「ロールス・ロイス ファントム センテナリー」のエクステリア。
「ロールス・ロイス ファントム センテナリー」には、ファントムが紡いできた100年の歴史が内外装に織り込まれている。

ロールス・ロイス ファントムは、100年の歴史のなかで、世界の最も影響力のある人々に選ばれ、成功と審美眼を象徴する究極のシンボルとして名を馳せてきた。2025年にデビューから100周年を迎えたことを記念し、ロールス・ロイス・モーター・カーズは、25台限定のプライベートコレクション「ファントム センテナリー」を発表した。

デザイナー、エンジニア、職人たちが結集したロールス・ロイスのビスポーク部門は、このプライベートコレクションを代表作に仕上げるべく、その技術と創造力のすべてを注ぎ込んだ。1920年代から今日に至るファントムの世界に没入し、世代ごとの精神とアイデンティティを1台に結集させている。

今回、ファントムの著名なオーナー、ロールス・ロイスを支えた重要人物、ファントムが製造された場所、そしてそれぞれの時代を特徴づけた出来事などが盛り込まれた。入念なリサーチを通して入れられたのは77点の手描きモチーフで、美しく精緻な表現を通じてファントム センテナリーが完成している。

エクステリアには、初代ファントムから受け継がれてきたマスコットを新たな視点で再解釈。ゴールド製「スピリット・オブ・エクスタシー」像が冠され、100年という節目を祝う。インテリアはクチュリエ(服飾デザイナー)によってデザインされた生地、スケッチ風の刺繍、レーザーエッチング、3Dマーケトリーや金箔、3Dインクレイヤリンなど、革新的なクラフト技術により、ファントムの物語が紡がれた。

ロールス・ロイス・モーター・カーズのクリス・ブラウンリッジCEOは、ファントム センテナリーの完成に喜びを隠さない。

「プライベートコレクション、ファントム センテナリーは、世界で最も敬愛されるラグジュアリーカーの100年に敬意を表して誕生しました。この妥協なき芸術作品は、精緻に設計された『ファントム VIII』をキャンバスに、ファントムの軌跡と、その伝説を築いてきた人々の物語を紡いでいます」

「一世紀にわたり、ファントムの名はロールス・ロイスが誇る力のすべてを体現してきました。その遺産に敬意を表して、新たな技法を導入しました。4万時間以上の作業の結晶として誕生したこのプライベートコレクションは、ファントムを芸術的可能性や歴史的重みを象徴する存在として、さらに確固たる地位へと導くでしょう」

ゴールドに輝く「スピリット・オブ・エクスタシー」

「ロールス・ロイス ファントム センテナリー」のゴールド製「スピリット・オブ・エクスタシー」像。
ボンネットには、専用製作された18金+24金メッキの「スピリット・オブ・エクスタシー」が配置された。

モノクロ映画の時代を思わせる優雅さを彷彿とさせる「ファントム センテナリー」のエクステリアは、ハリウッドの黄金時代を想起さるもの。当時、ファントムは銀幕のスターを乗せてプレミア(試写会)を彩り、その時代の華やかさの象徴となっいた。ボディは1930年代のファントムの流れるようなシルエットをリスペクトし、ビスポーク仕様のツートーンペイントで仕上げられている。

サイドセクションはアークティック・ホワイトの上にスーパーシャンパン・クリスタル、上部はブラックの上にスーパーシャンパン・クリスタルがチョイスされた。この特別に開発されたペイント仕上げは、クリアコートに砕いたガラスの虹色粒子を配合することで、エクステリアにメタリックのきらめきを加えている。ロールス・ロイスの塗装スペシャリストは、従来の透明フレークをシャンパンカラーの粒子に置き換え、その量を倍増させることで、見る者を魅了する深みを生み出した。

ボンネットには、新たに仕立てられた「スピリット・オブ・エクスタシー」が冠される。デザイナーたちは、ファントムに初めて装着された当時のスピリット・オブ・エクスタシーを参照し、この象徴的なマスコットへのオマージュとして製造。強度を確保するため18金で鋳造し、その後24金でメッキを施し、錆に強いマスコットを完成させている。

基部はコレクション名を繊細に刻印したハンドメイドのホワイトガラスエナメル製。この美しいマスコットは、ロンドンの貴金属品位証明機関「ホールマーク&アッセイ・オフィス(Hallmarking & Assay Office )」に提出。特別に制定された「hantom Centenary」認証を受けている。

車体のフロント、リヤ、両サイドに配置された「RR」バッジ・オブ・オナーは、今回初めて24金とホワイトエナメルで表現された。足元にはファントム・ディスク・ホイールを装着し、各ホイールには25本の線が描かれ、25台の限定仕様であることをアピールする。さらに4輪を合せると100本の線となり、ファントムの100周年を祝っている。

様々な場面が織り込まれたリヤシート

「ロールス・ロイス ファントム センテナリー」のインテリア。
リヤシートのアートワークは三層で物語を表現。第一層は高解像度プリントで描かれた背景、第二層は歴代ファントム、第三層には7名の著名なオーナーが抽象的に表現されている。

歴代のファントムへの敬意をこめ、ファントム センテナリーのインテリアは、ロールス・ロイスの創業初期をイメージし、テキスタイルとレザーが組み合わせられている。当時、運転席は耐久性に優れたレザーで仕上げられ、リヤキャビンには豪華なファブリックが採用されていた。

リヤシートは、1926年の「ファントム・オブ・ラブ(Phantom of Love)」からインスピレーションを得て、職人が手織りしたオービュッソン・タペストリーを採用。座席のアートワークは、三層で100年の歴史を紡ぎ出している。第一層は高解像度プリントで描かれた背景となり、ロンドンのコンドゥイット・ストリートにあったロールス・ロイス最初の拠点からヘンリー・ロイスが油彩で描いた南仏の風景まで、ファントムの歴史を象徴する場所や思い出の品々が表現された。

第二層も高解像度プリントで構成され、歴代の偉大なファントムが緻密なタッチで描かれた。最上層となる第三層は刺繍仕上げとなり、ファントムの各世代を代表する7名の著名なオーナーが抽象的に表現されている。

生地はファッションアトリエと共同で、12ヵ月をかけて製作。今回、このファッションアトリエは、オートクチュール以外に初めて生地を提供している。ロールス・ロイスが求める耐久性、触感、美観に関する厳格な基準を満たすべく、専用設計された特別なインクと技法を用いた高解像度プリント工程が考案された。

今回、職人はゴールデン・サンズ糸を、スケッチ風の不規則なステッチで用い、表面上に細く浮かぶ線の錯覚を生み出した。テクスチャーと奥行きは、シーシェル糸を高密度ステッチで追加したことで実現。全体の構成にわたるこの精緻な技法は16万本を超えるステッチで紡がれている。完成したアートワークは、全45枚のパネルから構成され、シートカーブに沿って丁寧に取り付けられた。

フロントの「アンソロジーギャラリー」

「ロールス・ロイス ファントム センテナリー」のインテリア。
フロントダッシュボードには、50枚のアルミニウム製フィンが、まるで本のページのように編み込まれた「アンソロジーギャラリー」が配置された。

フロントシートのレザーには、ビスポークデザイナーによる手描きのスケッチをもとに、製図職人の技を思わせるレーザーエッチングが施された。このモチーフには、100年にわたる象徴的なディテールが含まれており、ロジャー・ラビットを示すウサギのデザイン(2003年のロールス・ロイス再始動時のコードネームに由来)や、1923年のファントム Iプロトタイプのコードネームである「カモメ」などのデザイン要素が刻まれた。

ファントム センテナリーの中心を飾るのは「アンソロジーギャラリー」。50枚の3Dプリントを施したブラッシュ仕上げのアルミニウム製フィンが、まるで本のページのように編み込まれている。各フィンには彫刻文字が両面から読めるように配置されており、ここには一世紀にわたる報道機関からのファントムへの賛辞が刻まれた。

今回、ロールス・ロイス史上最も精緻な木工細工を採用。こちらも1年以上をかけて開発され、ステイン仕上げのブラックウッドを配したドアパネルには、ファントムの象徴的な旅が描かれている。それぞの構図には地図や曲
線を描いた道筋、雄大な風景、花のモチーフ、そして試作車のスケッチが交差する。

リヤドアには、ヘンリー・ロイス卿が冬を過ごしたル・レイヨル・カナデル・シュル・メールの海岸線が描かれた。右フロントドアには、現在のホーム・オブ・ロールス・ロイスから8マイルに位置する、ロイス卿の夏の邸宅があったウェスト・ウィッタリングの風景が広がる。左フロントドアは、グッドウッド時代、最初のファントムがオーストラリア大陸を西海岸のパースから横断した4500マイルに及ぶ壮大な旅路も表現されている。

フロントに収められた6.75リッターV型12気筒エンジンには、アークティック・ホワイトで仕上げられた特別デザイン製カバーを導入。カバー表面には24金のディテールがあしらわれ、現代まで続くファントムの伝説と成功が表現されている。

「ロールス・ロイス ファントム センテナリー」を動画でチェック!

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