ジャパンモビリティショーで火の玉復活


カワサキモータースジャパンは、Z900RSの最新モデル「Z900RS SE」をジャパンモビリティショー2025で初公開した。
2026年モデルとなる Z900RS SE は、2018年のデビュー以来「Z」ブランドの伝統と現代技術の融合モデルとして広く支持されてきた「Z900RS」シリーズをさらに進化させたものである。 本モデルは、単なるレトロルックの復刻ではなく、電子制御技術・高性能コンポーネント・先進ライダーサポートを搭載することで、レトロスポーツというカテゴリを再定義しようとしている。国内では401㏄以上クラスで7年連続販売台数1位を獲得してきた「Z900RS」が、次のステージに進む象徴的なモデルである。
パワートレインと電子制御技術の強化
エンジン部では新たに電子制御スロットルバルブ(ETV)を導入し、低~中回転域でのコントロール性を高めつつ、高回転域での出力も向上させている。 さらに、IMU(慣性計測装置)を活用したライダー支援システムとして Kawasaki Cornering Management Function(KCMF)や、最新型の Kawasaki Quick Shifter(KQS)、クルーズコントロール、スマートフォン接続機能などが標準化され、ライディングの楽しさ・安心感・利便性が一段と高まっている。 これにより、レトロな外観の奥に“現代のライダーが求める性能と安全”がしっかりと組み込まれていることが明確となった。
プレミアムコンポーネントとデザイン演出
SEグレードならではの装備として、まず外観においては「ファイヤーボール」カラーを採用し、アウターチューブがゴールド仕様に仕立てられている。 足回り・ブレーキ系でも、リヤには Öhlins 製S46サスペンションが、フロントにはブレンボ製ブレーキシステムが投入され、走行性能・制動性能ともにワンランク上を主張している。 また日本仕様では、前後ドライブレコーダーやUSB-C電源ソケットを標準装備とするなど、“所有して安心”“日常利用できる装備”まで配慮が行き届いている。 デザイン面では、旧来の“火の玉”タンクカラーと1970年代の「マッハ」シリーズを意識したレインボーラインなどを引用し、クラシカルな世界観を現代に蘇らせている。
レトロを纏いながら、次世代へと踏み出すモデルとして
このZ900RS SEは、ただ昔を懐かしむためだけのモデルではなく、現代の技術を備えた“新しいクラシック”を目指している。象徴的なのは“見た目はレトロ、しかし中身は現代そのもの”という設計思想である。例えば、メガホン型サイレンサーやエキゾーストヘッダーパイプなど、造形でクラシックを強調しながら、電子制御やIMU採用といった技術的刷新を同時に実現している。 ライダーとしては「旧車の佇まいを楽しみつつ、今どきの走りやすさ・安全性も手にする」という贅沢なバランスを手にできる。かつて“Z1”が象徴した時代感を、21世紀にアップデートして再構築するこのモデルは、単なるノスタルジアではなく“次世代の名車”を目指している。
