後席空間の使い方が斬新すぎた『シエンタ JUNO』

コンパクトな5ナンバーサイズで3列シートの7人乗り(2列シートの5人乗りも設定)、両側スライドドアを装備するシエンタは幅広い世代で人気のミニバン。実は著者も先々代のシエンタに乗っていたことがあり、小さな子どもがいる4人家族のファミリーカーとして使い勝手に優れたクルマだったという記憶が非常に強い。そんなシエンタを“持ち運べる部屋”をテーマに、トヨタとモデリスタが共同開発したコンプリートカーが『JUNO』だ。

最大の特徴はリアシートがない2人乗りということ。ミニバンならではの広いリアスペースを、趣味や仕事、自分の好きなことに活用できるというのが『JUNO』の強み。そのサポートをするのが専用の「家具モジュール」で、特別架装されたフロア&サイドトリムへ、ベースモジュールやクッション、サイドテーブルなどを自由に組み合わせて自分好みのスタイルに構築できるという仕組み。「家具モジュール」に関してはテーマの異なる4つの架装パッケージが用意されているので、まずは自分にぴったりの楽しみ方を4つのスタイルから見つけるのも選択肢のひとつだ。

そんな『JUNO』での車中泊はもう最高の一言に尽きる! まず家具モジュールを使ってのアレンジが簡単で、モジュール本体をフロアやサイドトリムに引っ掛けてスライドロックするだけなので、寝転ぶためのスペースをつくるための作業が楽々。実際フラットなフロアだけでなく、色々なスタイルを試してみたが、カチッカチッとモジュールをはめ込んでいく作業は、プラモデルを作っているような感覚でそれ自体がとても楽しい。そしてシートがない後席スペースすべてを有効利用できるので、室内幅・室内高ともに余裕があり、大人ひとりが寝るには十分すぎるほどの広さを確保できるというのが最大のメリット。車中泊の際は空気を入れて膨らませるインフレーターマットなどを使ってフロアを整えたが、広々しているので普通に寝返りができるし、天井が高いので寝転んだときの圧迫感がない。無理な姿勢で寝ることがないので、一晩ぐっすり寝られて身体が痛いなんてこともなかった。まるで自分の部屋のようにアレンジできるシエンタ『JUNO』は、車中泊の選択肢として最適です。

車中泊した人 テントの設営が不要など、最小限の荷物で手軽にキャンプが楽しめる車中泊の魅力にハマっている編集部K。「車中泊に最適なクルマ選び」の取材で、何台ものクルマで車中泊し続けている。●身長:170cm●体重:90kg

『JUNO』に用意される特別装備

『JUNO』に標準装備となるのが専用フロア&サイドトリムで架装された後席空間。別売となる家具モジュールを簡単に装着することができるロック機構が配置されており、自分好みに家具モジュールをレイアウトすることができる。荷室幅 約995 mm/奥行き 約1755 mm
専用インテリアランプとして天井に6灯のLEDランプを搭載。アンバー色の光がムーディで落ち着きある空間に。
通常はオプションのフロアマットも標準装備。踏み心地快適なデラックスタイプでSIENTAのロゴワッペン付き。
標準車と外観状の違いはほとんどないが、リアゲートにそれとわかる『JUNO』エンブレムが設置される。

『JUNO』4つの架装パッケージ


1. Chill(チル)
ひとりでリラックスタイムを楽しみたい、そんな人にオススメしたい「チル」。コーヒーやお菓子を楽しめるカフェのような空間をつくれる。●構成:ベースモジュール×1、ベースモジュールラージ×1、クッションモジュール×2、サイドテーブル×1●価格:16万5000円
2. Refresh(リフレッシュ) 広くフラットな空間をつくることで寝転ぶことができる「リフレッシュ」。大人ひとりはもちろん、身長がそれほど大きくない夫婦同士であれば二人で寝ることもアイデア次第で可能。車中泊を考えている人におすすめ。●構成:ベースモジュール×4●価格:22万円
3. Focus(フォーカス) ワークテーブルがメインで、車内をリモートワークの場としても考える人に最適。ワークテーブルの位置は好きな位置へ前後スライド可能。●構成:ベースモジュール×2、ベースモジュールラージ×1、クッションモジュール×2、ワークテーブル×1●価格:23万1000円
4. Comfort(コンフォート) ベースモジュールとサイドテーブルを組み合わせ、リビングのようなくつろげる空間をつくることができる。寝転んだり座ったり、様々なスタイルを楽しみたいという人にぜひ。●構成:ベースモジュール×4、ベースモジュールラージ×1、サイドテーブル×1●価格:33万円

家具モジュールを単品で追加しベストな空間を設計

取り付けはスムーズな2段階式

家具モジュールは単品購入可

ベースモジュール 荷室部分との段差をなくしフラットなスペースを作り出すベースモジュール。●サイズ:W400×D400×H120mm●価格:6万9300円
ベースモジュール ラージ ベースモジュールの高さが倍の240mm。腰掛ける椅子として最適な大きさ。●サイズ:W400×D400×H240mm●価格:7万2600円
サイドテーブル マグカップやスマホなどを置くテーブルにぴったりなサイドテーブル。耐荷重は5kg。●サイズ:W400×D250mm●価格:3万1900円
クッションモジュール ベースモジュールの上に設置することでクッション性抜群のチェアーになる。●サイズ:W400×D400×H70mm●価格:2万900円
ワークテーブル 後席をワークスペースとして利用するために便利なテーブル。耐荷重は10kg。●サイズ:W980×D350mm●価格:4万4000円

自分だけのアイデアで自由な空間を構築可能

トヨタとモデリスタが提案する4つの架装パッケージはどれも魅力的だが、より自分だけの空間をつくるなら、架装パッケージ+家具モジュールを単品で購入するという選択肢も面白い。ベースモジュールが4つセットになっている「リフレッシュ」をまず選択し、「サイドテーブルは片側分だけあれば十分」「ソロで利用するのでラージサイズのベースモジュールはひとつ準備しておきたい」などオーナーがどのように使うか? を考えて選択していきたい。ただし4つのパッケージやオプションの単品購入は後から購入することができるが、JUNOの標準架装装備を施工できるのは新車注文時だけなのでご注意を。ちなみにモジュール購入は単品で購入するよりもパッケージ購入が断然リーズナブルという点も踏まえ、自分好みのセレクトを考えよう。

荷物の積み込みは確実な固定が必須

今回『JUNO』を使って悩ましかったのが荷物の積み込み。元々2列目シートがあった場所を利用したが、小さな荷物などが少々不安定だった。コンテナボックスへきちんと整理して積み込むか、荷物を固定するためのバンドなどを用意して確実に固定しておきたい。

『JUNO』は4ナンバーの商用車登録

標準モデルは3列シートの7人乗りと2列シートの5人乗りが設定されるシエンタ。『JUNO』は乗車定員2名の「4ナンバー商用車登録」という大きな特徴を持つ。後席部分を架装し2人乗りとした『JUNO』は、通常の5ナンバーではなく、配送業のクルマでよく見かける4ナンバー。これは荷物スペースの床面積が1平方メートル以上あることや、積載スペースが乗車スペースよりも広いといった様々な車両規格を満たすことで、4ナンバー登録が可能になる。通常の5ナンバー車との違いはまず車検期間。5ナンバー車の車検は新車登録後に3年、継続検査で2年となるが、4ナンバー車の車検有効期限は新車登録で2年、継続検査で1年となる。そして4ナンバーのメリットが税金の安さにある。毎年納める自動車税が5ナンバーのシエンタが3万6000円に対し、4ナンバーのシエンタ『JUNO』は1万4300円。クルマにかかる税金はかなりお得となっている。

トヨタ・シエンタ “ジュノ”(Z ハイブリッド・2WD)■車両価格:365万4200円

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キュートなルックスと使い勝手の良さから、ファミリー人気も高いシエンタ。シルクブレイズが用意したエアロプログラムは、ワンメイクで効果的にイメチェンが図れるフロント1点のみ。

STYLE WAGON(スタイルワゴン) 2025年11月号 No.359より