“ラグジュアリーSUV”の最高峰 ランドローバー レンジローバーを徹底解説｜性能や特徴、新車・中古車価格
ランドローバー レンジローバー徹底解説｜現行モデルの価格・性能・英国流ラグジュアリー
LAND ROVER RANGE ROVER
ランドローバー レンジローバーとは
ランドローバーは、1948年の初代「シリーズI」に始まるオフロードの伝統を受け継ぎながら、現在は3つの柱でブランドを構成している。伝統的な本格オフローダーとして進化を遂げた「ディフェンダー」と、よりラグジュアリーで洗練されたSUVラインである「レンジローバー」。その中間に位置する「ディスカバリー」は、レンジローバーよりも実用的である一方、ディフェンダーよりも上質な多人数向けSUVに位置づけられる。
レンジローバーシリーズには合計4車種をラインナップが用意される。走りを重視した「レンジローバー・スポーツ」、デザイン性を追求した「レンジローバー・ヴェラール」、コンパクトで都会的な「レンジローバー・イヴォーク」、本家の「レンジローバー」はその中でフラッグシップに位置づけられる。いずれもランドローバーの高い走破性と優雅な走りという哲学を共有しながら、それぞれが異なる個性をもっている。
ラグジュアリーSUVという新たなジャンルを確立した「レンジローバー」は、2021年デビューの5代目では最新のMLA-Flex（flexible Modular Longitudinal Architecture）プラットフォームを採用。プラグインハイブリッド（PHEV）やマイルドハイブリッド（MHEV）、そして新たに登場するフル電動（BEV）仕様によって、サステナブルな高級SUVとしての地位を確立している。
ランドローバー レンジローバーの外観・内装
ランドローバー レンジローバーの外観と内装は、英国の美意識と最新のテクノロジーを融合している。モダンで気品ある仕立てが最大の特徴といえる。
外観：圧倒的な存在感とミニマリズム
現行モデルのデザインテーマは「モダニズム」。装飾を排し、シンプルな面構成と滑らかなラインで構築されたボディは、彫刻のような品格を漂わせている。LEDライトと格納式ドアハンドルが、空力性能と美しさを両立。SUVとしては驚異的なCd値0.30という空力性能を実現している。リヤエンドのブラックアウト処理と一体化したLEDライトバーは、レンジローバー史上最も洗練されたデザインといわれる。
内装：英国式職人技と最先端デジタルの融合
キャビンはイギリスの伝統的なクラフトマンシップと先端技術が共存する空間。ウッドやメタル、セラミック素材を組み合わせたインテリアは、視覚的印象・触感ともに極上に仕立てられている。13.7インチタッチスクリーンで操作するPivi Proインフォテインメントシステムは、Amazon Alexa音声アシスタントやApple CarPlay/Andoroid Autoに対応。後席には11.4インチのモニターを左右に備える。
ランドローバー レンジローバーのサイズ
ランドローバー レンジローバーのサイズはインテリア・エクステリア共に圧倒的なスケール感と余裕を感じさせる。
ボディサイズ：威厳と機能性を両立
仕様によって異なるが、ベースモデル「SE」の場合、全長5052mm（ロングホイールベース（LWB）仕様は5252mm）、全幅2047mm、全高1867mm。ホイールベースは2997mm（同3197mm）で、後席まで余裕の空間を確保している。最低地上高が215〜291mmまで調整可能なエアサスペンションを採用し、最大渡河水深は900mmという本格SUVとしての能力にも妥協はない。
室内スペース：極上の快適性と静粛性
ロングホイールベース（LWB）モデルには3列シート仕様も用意される。大人7名が乗車できる十分なスペースが確保され、長距離の移動も快適に過ごせる。荷室容量は標準ホイールベースでもリヤシートを倒すと1841Lが確保できる。ロングホイールベースで5名定員モデルの場合、最大2176Lに及ぶラゲッジスペースが現れる。
第3世代の「アクティブノイズキャンセレーション8」システムが、路面から伝わる振動やタイヤノイズ、エンジン音の車室内への侵入を防止。そのほか空気清浄機能やマッサージシートなどによって、ファーストクラスの快適性を実現している。
ランドローバー レンジローバーの走行性能・燃費性能
ランドローバー レンジローバーは、パワートレインとシャシー技術の両面で進化を遂げ、どんな道でも極上の走りを実現する。
走行性能：オンロードとオフロードの頂点
高性能モデル「SV」に搭載される4.4リッターV8ツインターボは最高出力615PSを発生し、0-100km/h加速4.6秒を達成する。（標準スペックの同エンジンは530PS）。そのほか日本仕様の3.0リッター直列6気筒ディーゼルエンジンの最高出力は350PS、3.0リッター直6ガソリンエンジンに160kWのモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドパワーユニットは最高出力550PSを誇る。
全輪駆動システムに加え、電子制御アクティブディファレンシャル、後輪操舵、電子制御エアサスペンションを搭載。狭い場所での取り回しや回頭性、高速走行時の安定性を高いレベルで実現している。これらのテクノロジーはテレインレスポンス2が統合。路面状況やドライブモードに応じてトルク配分などを自動制御し、雪道や岩場といった悪路でも安心して走行することを可能にしている。
燃費性能：電動化による効率向上
最新モデルの日本仕様に関する燃費データは公開されていないが、海外の情報をまとめるとディーゼルモデルの実燃費は約12〜14km/L、プラグインハイブリッド仕様のガソリンエンジン搭載モデルでは約8〜10km/L前後と、高出力の大型SUVとして燃費効率は高いといえるだろう。
また、PHEVの「EV走行換算距離」は111kmと公式に発表されている。普通充電でバッテリーの100%充電にかかる時間は約5時間とされており、日常使いではエンジンをかける必要はないだろう。
ランドローバー レンジローバーの購入価格・維持費
ランドローバーのフラッグシップであるレンジローバーは購入価格も高額だが、ラグジュアリーSUVの最高峰にふさわしい体験が得られるだろう。維持費も安価とは言えないが、真の贅沢を味わう対価としてはリーズナブルといえる。
購入価格：英国ラグジュアリーの象徴
日本仕様の新車価格は、ベースのSEグレードで1952万円から。最上級の「SV Black」は3000万円超と設定されている。さらに、SVは “SVビスポーク” を通じてオーナーの好みに合わせたカスタマイズができる。ボディパネルだけでなく細部のパーツカラーやインテリアの素材、ホイールのデザインも自由に選べる。専任のビスポークエキスパートのサポートを受けながら、オリジナルカラーなどオーナーの要望に基づいた「唯一無二の車」を作り上げることができる。
維持費：長期保有を前提とした贅沢
高級車ゆえに維持コストは高めで、年間の税金・保険・メンテナンスを含め40万～50万円が目安。ただし、レンジローバーは構造が堅牢で、適切な整備を行えば耐用年数は非常に長く、リセール価格も安定している。メーカー保証や定期メンテナンスプランも充実しており、安心して長期保有ができる。（以下は、SE 標準ホイールベース ディーゼルエンジンモデルの場合の概算。）
| 区分 | 項目 | 年間費用（円） | 備考 |
| 税金・保険 | 自動車税 | 5万 | 2997cc |
| 重量税 | 2万500 | 重量2.4t(2年間で4万100円） | |
| 自賠責保険 | 8825 | 2年分1万7650円 | |
| 任意保険 | 50万 | 2000万円の車両保険に加入した場合の概算 | |
| メンテナンス | オイル交換 | 5万 | 銘柄等により変動。年1回交換と想定 |
| タイヤ交換 | 10万 | 4年で交換と想定 | |
| 消耗品 | 随時 | ブレーキパッド、ブレーキ液、バッテリー等の交換・整備費用 | |
| 日常費用 | ガソリン | 6万 | 年間5000km走行、燃費約13km/L、軽油￥160/Lで計算 |
| 駐車場 | 60万 | 都内マンション併設 タワーパーキング想定 (5万円/月) | |
| 合計 | 約150万 | 注)税金・自賠責保険料以外はすべて概算 |
ランドローバー レンジローバー モデル解説
ランドローバー レンジローバーは、英国のクラフトマンシップと最先端テクノロジーを融合したラグジュアリーSUV。その中でも、用途や志向に応じて選べる複数のグレードが設定されている。いずれのモデルも、圧倒的な静粛性と乗り心地、そしてランドローバーが誇るオフロード性能を兼ね備えている。
【SE】精緻なバランスを備えたスタンダードモデル
SEはレンジローバーの本質を最もシンプルに体現するベーシックグレード。日本では、3.0リッター直列6気筒ディーゼルエンジンまたは3.0リッター直列6気筒ガソリンエンジンにプラグインハイブリッドシステムを組み合わせた2種類のパワートレインが用意される。電子制御エアサスペンションや全輪操舵システムを標準装備し、大柄な車体でありながら狭い場所での取り回しを容易にしている。内装には本革シートやウッドトリムがあしらわれ、13.7インチのPivi Proディスプレイを中心としたモダンな操作系を採用。機能と上質感のバランスに優れた、ブランドの原点とも言える仕様。
| 項目 | 内容 ［ ］内はPHEV |
| 発表年 | 2021年 |
| 全長/全幅/全高/ホイールベース | 5052/2047/1867/2997mm |
| パワートレイン | 3.0リッター直6ディーゼルエンジン ［3.0リッター直6ガソリンエンジン(PHEV)］ |
| 総排気量 | 2997cc 2996cc |
| 最高出力、最大トルク | 258kW (350PS) / 4000rpm、700Nm/1500～3000rpm ［404.5kW(550PS)/5500～6500rpm、800Nm/2000～5000rpm］ |
| トランスミッション、駆動方式 | 8速AT、AWD |
| 車両重量 | 2429kg(英国仕様） — |
| 0-100km/h加速 | 6.0秒 ［5.0秒］ |
| 最高速度 | 234km/h ［242km/h］ |
| 新車価格（税込） | 1952万円〜 |
【HSE】快適装備とパワーユニットの選択肢を拡充した上質仕様
HSEは、SEをベースに快適性と高級感を一段と高めた中間グレード。内装はセミアニリンレザーを使用し、フロントおよびリヤシートにヒーターとクーラー機能を標準装備する。Meridianサウンドシステムも装備され、日常の使い勝手を高めつつ、上級モデルに迫る快適性を実現している。SEと同じ2種類のパワーユニットに加え、ハイパフォーマンスなV8エンジンも選択できる。LWBおよび7人乗りの3列シート仕様もあり、チョイスの幅が広いのも特徴だ。
| 項目 | 内容 |
| 発表年 | 2021年 |
| 全長/全幅/全高/ホイールベース | 5052(5252)/2047/1867/2997(3197)mm ※（ ）内はLWB仕様 |
| パワートレイン | 3.0リッター直6ディーゼルエンジン 3.0リッター直6ガソリンエンジン(PHEV) 4.4リッターV8ガソリンエンジン |
| 総排気量 | 2997cc 2996cc 4395cc |
| 最高出力、最大トルク | 258kW (350PS)/4000rpm、700Nm/1500～3000rpm 404.5kW(550PS)/5500～6500rpm、800Nm/2000～5000rpm 390kW(530PS)/5000～7000rpm、750Nm/1800～4500rpm |
| トランスミッション、駆動方式 | 8速AT、AWD |
| 車両重量 | 2429kg(標準ホイールベース・英国仕様） — |
| 0-100km/h加速 | 6.0秒 5.0秒 4.6秒 |
| 最高速度 | 234km/h 242km/h 250km/h |
| 新車価格（税込） | 2088万円～ |
【Autobiography】快適性と上質感を極めたプレミアム仕様
Autobiography（オートバイオグラフィー）は、快適性とクラフトマンシップを一段と高めた上級モデル。電動サイドステップや3DサウンドのMeridianシグネチャーシステム、リヤエグゼクティブクラスシートなどを標準装備する。セミアニリンレザーやナチュラルウッド、メタル素材を多用したディテールが織りなすキャビンが、英国の高級車らしい風格を漂わせる。HSEと同様に、ホイールベースと乗車定員の異なる3つのボディバリエーションに3種類のパワーユニットが用意される。
| 項目 | 内容 |
| 発表年 | 2021年 |
| 全長/全幅/全高/ホイールベース | 5052(5252)/2047/1867/2997(3197)mm ※（ ）内は LWB仕様 |
| パワートレイン | 3.0リッター直6ディーゼルエンジン 3.0リッター直6ガソリンエンジン(PHEV) 4.4リッターV8ガソリンエンジン |
| 総排気量 | 2997cc 2996cc 4395cc |
| 最高出力、最大トルク | 258kW (350PS) / 4000rpm、700Nm/1500～3000rpm 404.5kW(550PS)/5500～6500rpm、800Nm/2000～5000rpm 390kW(530PS)/5000～7000rpm、750Nm/1800～4500rpm |
| トランスミッション、駆動方式 | 8速AT、AWD |
| 車両重量 | 2429kg(標準ホイールベース・英国仕様） 2735kg(同上) 2510kg(同上) |
| 0-100km/h加速 | 6.0秒 5.0秒 4.6秒 |
| 最高速度 | 234km/h 242km/h 250km/h |
| 新車価格（税込） | 2333万円～ |
【SV】特別仕立ての最高峰グレード
SVは、ランドローバーの「スペシャル ビークル オペレーションズ」部門が手がける最上級モデル。専用グリルやイルミネーション機能付きのSVバッジ、23インチ鍛造ホイールなどが外観に特別な存在感を与え、ボディカラーは“SV Bespoke”による特注ペイントが選択できる。インテリアはセラミックフィニッシュのスイッチやモザイクウッドパネルを採用し、素材の質感に至るまで芸術的な仕上がりを見せる。4座仕様のSVシグネチャースイートには、レザー仕上げのテーブルやシャンパンクーラーを装備。パワートレインはプラグインハイブリッドまたは高出力化を図ったV8ツインターボガソリンエンジンが選べ、性能・静粛性・ラグジュアリーのすべてにおいてランドローバーの頂点に位置するモデル。LWB仕様も用意されるが、あくまで後席の快適性を重視した仕様で3列シートの設定はない。なお、よりパフォーマンスに寄せた “SV Black” のパワートレインは4.4リッターV8のみ。
| 項目 | 内容 |
| 発表年 | 2021年 |
| 全長/全幅/全高/ホイールベース | 5052(5252)/2047/1867/2997(3197)mm ※カッコ内はロングホイールベース仕様 |
| パワートレイン | 3.0リッター直6ガソリンエンジン(PHEV) 4.4リッターV8ガソリンエンジン |
| 総排気量 | 2996cc 4395cc |
| 最高出力、最大トルク | 404.5kW(550PS)/5500～6500rpm、800Nm/2000～5000rpm 452kW(615PS)/5855～7000rpm、750Nm/1800～5400rpm |
| トランスミッション、駆動方式 | 8速AT、AWD |
| 車両重量 | 2735kg(標準ホールベース・英国仕様) 2716kg(同上) |
| 0-100km/h加速 | 5.0秒 4.5秒 |
| 最高速度 | 242km/h 261km/h |
| 新車価格（税込） | 2897万円～ |
ランドローバー レンジローバーの新車・中古車価格
現行型ランドローバー レンジローバーの車両本体価格は、税込みでおよそ2000万～3000万円のレンジに設定されている。各グレードとも幅広いオプションを選択することができるため、実際の車両価格はこれよりも高額になるだろう。中古車価格も様々で、年式や仕様、走行距離により大きく異なる。市場では、先代モデルが600万〜1200万円前後、現行型は1500万円以上で取引されている。
| モデル | 車両本体価格（税込） | 中古車 |
| レンジローバーSE | 1952万円〜 | 旧モデル：1000万円～ 現行モデル：3000万～5000万円 |
| レンジローバーHSE | 2088万円～ | |
| レンジローバー オートバイオグラフィー | 2333万円～ | |
| レンジローバーSV | 2897万円～ |
ランドローバー レンジローバーについて多い質問
以下では、ランドローバー レンジローバーについて多い質問に答える。
Q：レンジローバーは故障が多いのではないか？
A：現行レンジローバーは、従来の「故障が多い」という印象を大きく払拭している。新開発のMLA-Flexプラットフォームや電装系の統合設計により品質が向上し、電気系やエアサスのトラブル発生率も減少傾向にある。ただし電子制御や装備が極めて高度なため、国産SUVと比べると修理費用や整備コストは高めであり、定期的な正規メンテナンスが推奨される。
Q：大型で重いボディのレンジローバーだが、燃費性能はどうか？
A：大柄なボディと2トンを超える車重のレンジローバーだが、PHEVやディーゼルモデルではパワートレインを中心に効率が大幅に改善されている。PHEVをEVモードで走行した場合、充電当たりの航続距離は公称で100kmを超える。日常使いではエンジンを使用する機会は少なく、燃料コストは大きく抑えられるだろう。
Q：電気自動車（EV）版はいつ発売されるのか？
A：2025年内にグローバルでの発表が予定されている。今のところ、日本での発表・発売時期は未定。公式ウェブサイトにEV仕様の情報が掲載されているが、スペックや価格などの詳細はまだ発表されていない。
ランドローバー レンジローバーの購入方法
全国のランドローバー正規ディーラーで購入可能。見積りや試乗、パーソナライズ相談も随時受け付けている。認定中古車制度では厳しい基準を満たした個体のみが販売され、最長2年間の保証とロードサービスが付帯する。
