MotoGP第21戦ポルトガルGPが、11月7日から9日にかけて、ポルトガルのアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベで行われた。日本人ライダーの小椋藍(アプリリア)は、スプリントレースで11位、決勝レースでは7位でゴールした。
今季4度目のQ2進出と、決勝シングルフィニッシュ
小椋藍(アプリリア)にとってアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベはあまり得意とは言えないサーキットだった。2024年シーズンまでにMoto3、Moto2クラスでのベストリザルトは、昨年の5位である。
木曜日の囲み取材で話を聞いたときも、「得意なところはほとんどない。苦手なところは最終コーナーです」と、このコースについて語っていた。もちろん、これはMoto2クラスまでの話である。今季、MotoGPクラスにステップアップした小椋にとって、ほとんどのサーキットがMotoGPマシンでの初走行となるからだ。
実際のところ、小椋は初日である金曜日の走行をいい形で終えた。午後のプラクティスで10番手だったのだ。プラクティスでトップ10に入ることができれば、土曜日の予選でQ2に進むことができる。Q2はQ1のトップ2を加えた12人のライダーが争う予選である。プラクティスでトップ10に入りQ2ダイレクト進出を決めることは、12番手以上のスタートポジションが確定するということだ。
金曜日は昼以降に小雨が降ったりやんだりを繰り返し、プラクティス中にもコース上で雨が降ってきたことを知らせるフラッグが提示されたタイミングがあったが、小椋はちょうど雨が降っていないタイミングで10番手タイムを出した。
苦手としてきたサーキットだけに「昨日の段階では自分がどの位置を走るのかわからない状態だったので、あまり期待していない部分がありました。でも、ほかのサーキットに比べていい形で金曜日を終えられたので、そこはよかったですね」と、小椋自身も満足していた様子だった。
不安定な天候は金曜日だけだったが、この日の夕方から本格的な雨が降った。これが、土曜日に影響した。土曜日の天気としては晴れだったが、11月の陽射しと気温では、太陽が昇っても路面がすぐに乾くのは難しい。午前中は路面に残る濡れた部分がだんだん減っていく、そんな路面コンディション。Q2はさらに路面状況が改善したが、タイムを上げきれず、12番手だった。
スプリントレースでは12番手からスタートして、11位でゴールした。
「(11位は)よくも悪くもないですね。いつもそうですが、周りのライダーはレース序盤のタイヤがあるうちに攻めて、自分のスペースを確保して、そこからがレースになります。僕は、その段階で周りほど速く走れないことが多い。ペースとしてはよかったのですが、ベストタイムが周りに及びませんでした」
決勝レースの半分の距離で行われるスプリントレースは、周回数が少ないためによりアグレッシブな展開となる。ただ、小椋は後半まで大きくラップタイムを落とさない走りが強みの一つなので、決勝レースのように長いレースのほうが期待できる。

今回の決勝レースでも、12番手からスタート。レース序盤にトップ10圏内に浮上し、しばらくの間、ヨハン・ザルコ(ホンダ)の後ろで周回を重ね続けた。二人の差は離れることも近づくこともないまま、残り3周でザルコのペースが落ちた時、小椋が抜いて7番手にポジションを上げる。そして、そのまま7位フィニッシュを果たした。タイGPの5位、カタルーニャGPの6位に次ぐ今季の好結果である。
「もう少し早くザルコを抜けていたら、(さらに前の)ファビオ(・クアルタラロ)に対しても、チャンスを作るところまでいけたかな、とは思います。抜ける、抜けないは別として、ですけどね。でも、走りとしてはスプリントレースから前進はできたと思います」
「ここでの7位は、すごくいいです」
小椋は、苦手だったサーキットでの7位という結果を、そう認めた。
2025年シーズンは、残り1戦。最終戦のバレンシアGPが、小椋藍のルーキーイヤーの締めくくりとなる。
