Ferrari 296 LMGT3

厳しい展開を強いられたフェラーリ勢

2台のフェラーリ 296 LMGT3は、レース序盤、ポイント圏外を走行。54号車はハイパーカーと接触し、リタイアに終わった。
2台のフェラーリ 296 LMGT3は、レース序盤、ポイント圏外を走行。54号車はハイパーカーと接触し、リタイアに終わった。

2025年シーズンのWECは、ハイパーカークラスにおいて、フェラーリがマニュファクチャラーズ選手権、フェラーリAFコルセの「フェラーリ 499P」51号車のアレッサンドロ・ピエール・グイディ、ジェームス・カラド、アントニオ・ジョヴィナッツィがドライバーズ選手権を制した。

一方、GT3レーシングカーで争われるLMGT3クラスでは、チームズ選手権がマンタイ・ファーストフォルム、ドライバーズ選手権はマンタイ・ファーストフォルムの「ポルシェ 911 GT3 R LMGT3」92号車(ライアン・ハードウィック、リカルド・ペーラ、リヒャルト・リーツ)がタイトルを獲得。フェラーリ勢は、ピスタ・AFコルセがチームズ選手権で2位、ドライバーズ選手権は21号車のエリオ、マン、ロベーラの3人が2位に入っている。

バーレーン8時間の決勝レース、21号車はエリオ、54号車はフロールがスターティングドライバーを担当。エリオはスタート直後にポジションを落とし、ダブルスティントの間はポイント圏外で走行することになった。

14番手を走行していたフロールは、早めにカステラッチへとドライバーを変更。この作戦が功を奏し、3時間経過時点でトップ10圏内に返り咲いた。ところが、フロールが再びステアリングを握った際にハイパーカーの「キャデラック Vシリーズ.R」と接触、バリアにクラッシュして、リタイアを余儀なくされた。

21号車がポイント圏外から5位にジャンプアップ

296 LMGT3 21号車は、中盤以降着実にポジションを上げて5位で走り切った。これにより、両選手権において、2位を確定させた。
296 LMGT3 21号車は、中盤以降着実にポジションを上げて5位で走り切った。これにより、両選手権において、2位を確定させた。

逆転タイトルを狙う21号車も、厳しい展開が続く。ライバルのポルシェがトップ5入りしたことで、さらに苦しい状況になった。しかし、マンとロベーラの粘り強い走りが、296 LMGT3をポイント圏内へと押し上げる。レース後半の2時間、ロベーラが見事な追い上げを見せ、最終的にタイトルを決めた911 GT3 R LMGT3 92号車の直後、トップから約15秒差の5位でフィニッシュした。

この結果、296 LMGT3 21号車をドライブした、エリオ、マン、ロベーラは、LMGT3クラスのドライバーズ選手権で109ポイントとなり総合2位。フロール、カステラッチ、リゴンがドライブした54号車は、54ポイントの7位でシーズンを終えた。悔しいシーズンの締めくくりとなったロベーラは、次のように悔しさを露わにした。

「タイトルを逃したのは本当に残念ですが、シーズンを通してドライバーとしてもチームとしても、素晴らしい仕事ができたと実感しています。無得点レースが3回もあったことが、最終的に大きく響きました。来年は、もう一度タイトルを目指してチャレンジします」

2025年シーズンのWECは11月9日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われた恒例の「ルーキーテスト」をもって幕を閉じた。2026年シーズンの開幕戦は、3月26〜29日にカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで開催される「カタール1812kmレース」で幕を上げる。

1972年の「フェラーリ 312P」以来9度目となる総合優勝タイトルを獲得した「499P」。

フェラーリが2025年WECでマニュファクチャラーズとドライバーズのダブルタイトル獲得

2025年11月8日、バーレーン・インターナショナル・サーキットで開催されたWEC第8戦「バーレーン8時間」。シーズン最終戦となる重要なレースで、フェラーリは実に53年ぶりとなる世界選手権マニュファクチャラーズタイトルを獲得した。