写真持ち込み派になったきっかけ

仕事帰りに更新センターへ。疲労困憊の死んだ魚のような目で撮影され、犯罪者みたいな仕上がりに。それ以来、写真は持ち込み派だ。

運転免許証なんて単なる身分証明書といえばそれまでだが、店先で提示することもあるし、財布と一緒に常に持ち歩く、ある意味自分の分身のような存在でもある。だからこそ、納得のいく写真で更新したいと思うようになった。

2021年の基準の明確化で何が変わった?

 警察庁が2021年9月に実施した基準の明確化により、免許証写真として持ち込める写真の範囲が実質的に広がった。きっかけは「持参した写真が受理されず撮り直しを求められたが、何がダメなのかわからなかった」という市民の声。棚橋泰文国家公安委員長が閣議後会見で「申請者の利便性向上を図るため、個人識別が容易な写真は受け付けるという基本的な考え方とする」と発言し、警察庁から都道府県警察に対して「不適切な写真の例を見直し、受理できない場合は理由を明確に説明する」よう通達が出された。

これにより、以前は窓口や担当者によって判断が異なっていた写真の受理基準が統一され、結果として以下のような写真も受理されるようになった:

  • 薄い色のカラーコンタクトやサングラスの着用: 瞳が確認できれば可能
  • 微笑程度の笑顔: 歯を見せない程度であれば問題なし
  • イヤホンの着用: ヘッドホンは不可だがイヤホンはOK

また、背景色についても、従来の青色以外の選択肢が認められるようになり、個人のスタイルを表現しやすくなった。

特に注目したのが、サングラスに関する基準の明確化だった。「色付きレンズであっても、着用した状態で目が確認できるものであれば差し支えない」という判断基準が示されたことで、バイク乗りにとって身近なサングラスでの撮影にも可能性が出てきた。

特に注目したのが、サングラスに関する項目だった。「色付きレンズの眼鏡等であっても、着用した状態で目が確認できるものであれば差し支えない」という文言を発見。これは試してみる価値がある。

サングラス写真への挑戦

バイク乗りにとってサングラスは必需品だ。風や虫から目を守り、紫外線対策にもなる。ツーリング中の自分らしさを表現するアイテムでもある。

筆者が選んだのは、薄めのグレーレンズのサングラス。完全な黒ではなく、光の加減で瞳が確認できる透過率30%のもの。撮影は自宅で簡易スタジオを組んで、自分でパチリ。筆者の主観だがサングラス越しに目はしっかり写っているように思える。あとは何度も試し撮りをして、良き表情のものを選択→コンビニエンスストアのマルチコピー機から印刷した。

いざ、更新窓口へ

更新当日。若干の緊張を抱えながら警察署の窓口へ。

「写真をお持ちの方はこちらへ」というカウンターに並び、書類とともにサングラス写真を提出した。係員は写真を手に取り、じっくりと確認する。10秒ほどの沈黙。

「……頭上の余白が3mm以下、背景とシャツが同一色に見えますね」と言われたが、写真と書類はひとまず受理された。

写真はその先の工程でしっかりと確認されるようで、先ほど述べた部分がNGならば、後ほど撮り直しになる、とも伝えられた。サングラスについては何も言われなかった。

やはり、「目の輪郭と瞳がはっきり確認できること」が最重要ポイント。「レンズ濃度30%」というのも一つの目安になりそうだ。

こちらが今回用意した証明写真。万が一に備えて、一般的なメガネバージョンも用意しておいた。背景はグレーで、シャツは白×桃色の縦縞なのだが、同一色のようだと指摘された。頭上の余白は確かに少なく見える。

実際に受理されたポイント

こちらが新たに発行された免許証。黒目はしっかりと見えているが、サングラス本来の役目としては少し明るすぎるかも?

なぜスムーズに受理されたのか。写真を振り返って分析してみた

  1. 適度な透過率: 完全に目が隠れるのではなく、瞳孔や虹彩がうっすらと見える
  2. フレームの選択: 顔の輪郭を大きく隠さない、細めのフレーム
  3. 照明の工夫:レンズに照明が反射しないように角度調整

注意すべきポイント

ただし、誰でもサングラス写真が受理されるわけではない。以下の点に注意が必要だ:

NGとされる可能性が高いケース

  • 完全に瞳が見えない濃いレンズ
  • ミラーコーティングが強すぎるもの
  • 大きすぎるフレームで顔の輪郭が隠れる
  • 反射で目元が白く飛んでいる写真

確実に受理されるには

  • 事前に写真館で「免許証用」と伝える
  • 複数パターンを撮影し、最も目がはっきり写るものを選ぶ
  • 不安な場合は、警察署に事前相談することも可能

持ち込み写真のメリット

持ち込み写真なら何枚か撮った中から良い表情のものを選べる。筆者が特に感じたのは、やや微笑んでいるつもりでも仏頂面に。2年前よりも老いたせいか、表情筋が思いのほか動いておらず。運転免許更新センターでの一発勝負だったら、極悪人相になっていただろう。

まとめ:挑戦する価値はある

結論として、規則緩和後の免許証写真は、想像以上に自由度が高い。サングラス写真も、ポイントを押さえれば十分に受理される可能性がある。

ただし、最終的な判断は各都道府県の公安委員会や窓口に委ねられる。挑戦する際は、念のため予備の写真も用意しておくことをおすすめする。