MINI JOHN COOPER WORKS
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TOYOTA GR Yaris RZ

新世代MINIの頂点に位置する「JCW」

2024年、MINIはラインナップの刷新を敢行し、全てのモデルを新たな世代へと切り替えた。シリーズの中核を占める「MINI クーパー」は3ドア、5ドア、コンバーチブルのボディタイプを展開し、3ドアは内燃機関(ICE)とフル電動モデルをラインナップする。今回はパフォーマンス仕様の「MINI ジョン クーパー ワークス(JCW)」から、ICEを搭載する3ドアモデルをピックアップした。

「GRヤリス」は、トヨタがWRC参戦を想定したモータースポーツベースモデルとして開発。ヤリスを名乗るものの、5ドアとは完全別設計のワイドフェンダーを備えた3ドアボディに、フルタイム4WDシステム「GR‐FOUR」を搭載する。2025年4月には実戦からのフィードバックを反映させた、進化型GRヤリスも導入されている。

どちらも前後フェンダーを切り詰めたソリッドなエクステリアを特徴としているが、MINI JCWが、GRヤリスよりも全長で120mm、全幅で60mm、ホイールベースは65mmもコンパクト。車両重量に関しては、競技ベースモデルとして豪華装備を省いたGRヤリスが70kgも軽い。

MINI ジョン クーパー ワークス

ボディサイズ=全長3875mm×全幅1745mm×全高1455mm
ホイールベース=2495mm
車両重量=1350kg
タイヤサイズ=215/45R17

トヨタ GRヤリス RZ

ボディサイズ=全長3995mm×全幅1805mm×全高1455mm
ホイールベース=2560mm
車両重量=1280kg
タイヤサイズ=225/40ZR18

小排気量から300PSを絞り出すGRヤリス

MINI JCWは、最高出力231PS、最大トルクは380Nmを発揮する、2.0リッター直列4気筒MINIツインパワーターボエンジンを搭載。7速DCTを介して前輪を駆動し、足まわりには専用の引き締められたスポーツサスペンションが奢られた。GRヤリスは1.6リッター直列3気筒ターボながら、最高出力304PS、最大トルク400Nmという強力なスペックを誇る。0-100km/h加速は、パワフルで軽いGRヤリスが、MINI JCWを0.6秒も凌いで見せた。

MINI ジョン クーパー ワークス

エンジン形式=直列4気筒ガソリンターボ
排気量=1998cc
最高出力=231PS/5000rpm
最大トルク=380Nm/1500〜4000rpm
トランスミッション=7速DCT
駆動方式=FWD
最高速度=250km/h
0-100km/h加速=6.1秒

トヨタ GRヤリス RZ

エンジン形式=直列3気筒ターボ
排気量=1618cc
最高出力=304PS/6500rpm
最大トルク=400Nm/3250〜4600rpm
トランスミッション=6速MT
駆動方式=AWD
最高速度=230km/h(リミッター)
0-100km/h加速=5.5秒以下

スポーツハッチながら異なる2台のコンセプト

MINI JCWのコクピットは、直径240mmの有機EL大型円形センターディスプレイをレイアウトし、テキスタイルを思わせる新素材のダッシュボードが組み合わせられた。GRヤリスはモータースポーツでの使用を前提としており、メーターナセル内に12.3インチマルチインフォメーションディスプレイ、そこから最小限の視線移動で確認できるよう、高い位置に8インチカラーディスプレイをを配置する。

ほぼ同価格帯にある2台だが、MINIらしい上質感のある室内空間が広がるMINI JCWに対して、樹脂製パーツを多用したGRヤリスのインテリアは、少し簡素に感じられるかもしれない。さらに、ひと目でMINIと分かるアイコニックなエクステリアに、JCW専用のレーシーな演出は魅力的だ。

開発過程においてニュルブルクリンク24時間レースに参戦するなど、MINI JCWもレースからのフィードバックを活用しているものの、ラリーを中心に世界中のモータースポーツで戦うことを目的に開発されたGRヤリスとは、そもそものコンセプトが異なると言えるだろう。

市街地において、引き締められたサスペンションによる軽快な走行を楽しみつつ、MINIが提案する質の高いドライブ体験を求めるのであれば、MINI JCWはベストチョイスになる。一方、世界最高峰のモータースポーツフィールドで活躍し、実戦で鍛えられた本気のコンペティションベース車両を味わいたいドライバーは、GRヤリスが最高の相棒になるはずだ。

車両本体価格

MINI ジョン クーパー ワークス 536万円
トヨタ GRヤリス RZ “High performance” 498万円

トヨタGRヤリスRZハイパフォーマンス・エアロパフォーマンスパッケージ

新型“25式”GRヤリスのモータースポーツ本気度を探るべくサーキットで試乗した

トヨタ・ヤリスをベースとして、WRCを戦うために生まれたと言って過言ではない「GRヤリス」の最新モデル「25式」が登場した。徹底的にモータースポーツ志向のGRヤリスだが、今回はその中でも特に空力性能を高めた仕様にも試乗してその進化の歩幅を測ってみた。