CONTINENTAL FLYING SPUR
GTのホイールベースを320mm延長

2003年に登場したコンチネンタルGTが世界的なヒットを記録しすると、市場からは新たな4ドアモデルを求める声も上がるようになった。
実はその声を受けるまでもなく、ベントレーでは当初からコンチネンタル・シリーズを2ドアモデルと4ドアモデルのプロジェクトとして立ち上げており、2ドアと同様にデザインディレクターのディルク・ファン・ブラッケル、ラウル・ピレスらのチームによって開発が進められていた。
戦略上、最初に現れたのは2ドアとなったが、その2年後の2005年にデビューしたのが、1957年に「Sタイプ・コンチネンタル」の4ドア版として登場し人気を博したフライングスパーの名を受け継いだ「コンチネンタル・フライングスパー」である。
コンチネンタル・フライングスパーのシャシーはGTと同じスチール製のモノコックにステンレス製のフロントサブフレームを組み合わせたものだが、前後トレッドはそのままにホイールベースが2745mmから3065mmに伸ばされ、全長5290mm、全幅2118mm、全高1475mmと4ドアフルサイズサルーンに相応しい体躯となった。
ツインラウンドヘッドランプがベントレー・メッシュグリルを挟み込みフロントフェイス、フロントホイールのパワーライン、そしてリヤホイールのホーンチを採用したボディデザインはGTを踏襲したもの。しかしながら、広大なリヤシートの居住空間を確保した4ドアスタイルに仕立て直されたにもかかわらず、デザイン・チームの努力によりCd値はクーペの0.32を上回る0.31を記録している。
世界最速のスーパーサルーンとして

エンジンもGTと同じ最高出力560PS、最大トルク650Nmを発生する6.0リッター72度W型12気筒DOHC48バルブツインターボ WR12型ユニットを搭載。ギヤボックスはZF製の6速ATで、トルセン式センターデフを介して4輪を駆動するフルタイム4WDシステムを採用している。またフロントダブルウイッシュボーン、リヤマルチリンクの足まわりには、アダプティブエアサスペンションと連続可変ダンピングコントロールを標準で装着していた。
その結果、最高速度312km/h、0-100km/h加速5.2秒を謳う、世界最速のスーパーサルーンの称号を得るに至ったコンチネンタル・フライングスピードは、牛11頭分を使用する豪華なインテリアも相まって、この手のサルーンとしては驚異的なセールスを記録。本国クルー工場だけでは生産が間に合わず、一時はフォルクスワーゲンのドイツ・ドレスデン工場でも生産される事態となった。
そして2009年には少し直立したフロントグリルをはじめとする、フロント&リヤの意匠変更、静粛性の向上など細部をブラッシュアップしたマイナーチェンジを実施。その際、ベントレーとして初めてACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)もオプション設定されることとなった。
610PSのハイパフォーマンス版も

さらに同じく2009年には、初のバリエーションとしてハイパフォーマンス版の「コンチネンタル・フライングスパー・スピード」もラインナップ。
軽量化してフリクションを減らしたピストンとコンロッド、エンジンマネジメントシステムの変更により最高出力610PS、最大トルク750Nmを発生する6.0リッターW型12気筒ツインターボユニットを搭載。
前後とも10mmローダウンするとともに、フロントサブフレームマウント、リヤキャンバーリンクブッシュの強化、23mm径のアンチロールバー、専用セッティングの車速感応型サーボトロニックシステム、20インチホイール、カーボンセラミックブレーキ(オプション)の採用などシャシー側のリセッティングも行い、最高速度322km/h、0-100km/h加速4.5秒というパフォーマンスを実現。ターボRの再来との評価を得た。

