MotoGPの取材のためにドイツに滞在していたとき、ドイツ・ミュンヘンにあるBMWミュージアムとBMW Weltを訪れた。その模様をレポートする。

ミュンヘンにあるBMWミュージアム

BMWミュージアムは、ドイツのミュンヘンにある。ミュンヘン北部のオリンピア・パークのすぐそばだ。地下鉄の駅が近くにあり、ミュンヘンの中心地からも遠くはないのでアクセスがいい。駅を出ると、BMWの建物が見える。ミュージアムのビルはかなり大きく、見上げれば「BMW」のロゴがしっかりと見えるので、迷う心配はないだろう。

このとき利用していたホームステイ先のホストマザーに話を聞いたところ、「BMWミュージアムに行く観光客はとても多いよ」ということだった。ミュンヘンでは有名な「観光名所」らしい。

ミュージアムに足を運んだのは9月上旬だったが、あいにくの雨だった。そうした天候もあってか、気温は低め。ミュンヘンの緯度は東京よりも高く、札幌に近い。晴れていれば過ごしやすいけれど、雨が降ったこの日は、長袖の上にパーカーを着こんでも寒いと感じるくらいだった。

ミュージアムのチケットは、WEBサイトから事前に購入することができる。ガイドツアーなどのプランもあるので、じっくり見たい、知りたい人はこちらを選んでもいいかもしれない。筆者は自分のペースで見たかったので、入場券だけを購入した。一般では16ユーロ(2025年12月26日のレートで約2944円)である。

チケット購入の際に時間を指定しなければならないのだが、これは実際にミュージアムに行って「なるほど」と納得した。平日だったにもかかわらず、人がかなり多かったのだ。9月上旬はまだサマーバケーションの時期だったこともあるかもしれない。

ミュージアムに入ると、BMWの歴史をたどるゾーンから始まる。四輪では、「BMW 3/15 PS」(1929年3月22日発表)が初めてBMWのブランドを冠した自動車である。二輪では、「BMW R32」(1923年発表)がBMW初のバイクだ。どちらも実車が展示され、じっくりと見ることができる。

BMW 3/15 PS©Eri Ito
BMW R 32©Eri Ito

BMWの歴史をさかのぼると、二つの会社にたどり着く。ミュンヘンに拠点を置くラップ・モトーレンヴェルケとグスタフ・オットー・フルークマシーネンファブリクである。ラップ・モトーレンヴェルケは航空機用エンジンを製造していた会社で、グスタフ・オットー・フルークマシーネンファブリクは航空機メーカーだった。BMWのスタートが航空機エンジンにあるということで、航空機エンジンも展示されている。

©Eri Ito

なお、ミュージアムでは「デジツアー」も用意されていて、ミュージアム内にあるQRコードをスマートフォンで読み込むと、動画や写真、アーカイブ資料などを無料で見ることもできる。

展示ではその車両についてだけではなく、当時の状況や歴史的背景なども説明されているため、情報量はかなり膨大だ。というわけで、時間に余裕をもってゆっくり見るのがおすすめ。ミュージアムがとても広いので、軽く回るだけでも1時間以上かかる。さらにしっかり説明を読みながら回ろうとすると、1日では足りないくらいの情報量と展示の数なのである。

こちらはBMWモトラッド(バイク)のゾーンである。歴代のBMWバイクがずらりと並んでいる。この展示は下まで続いていて、ミュージアムを回っているとやがて下の展示にたどり着く。BMWのミュージアムは規模もすごく大きいのだが、展示の仕方も工夫されていたり、「ただ置いている」だけではない遊び心、スタイリッシュさがあって、そこも魅力だった。

©Eri Ito

展示のなかには、当時のドイツ軍に供給されたバイクもあった。1933年のドイツの再軍備にともない、「BMW R4」や「BMW R35」のようなオフロード走行性能を備えたモデルが供給されていたが、展示されていた「BMW R75」は、戦時用途のバイクとして設計されたモデルだという。また、警察車両もあった。BMWは、1920年代には公的機関にバイクを供給していたということだ。ヨーロッパではBMWのバイクを警察車両に採用しているところも多い。

BMW R75©Eri Ito
©Eri Ito

もちろん、モータースポーツの展示もたくさんある。例えば、F1。2006年のBMWザウバーのF1カーが展示されていたり、スーパーバイク世界選手権(SBK)に参戦するマシン、M1000RRなどもあった。

BMWザウバーのF1マシン(2006年)©Eri Ito
二輪のモータースポーツゾーン©Eri Ito
1929年、エルンスト・ヤーコブ・ヘンネがBMW初の速度世界記録を樹立(216km/h)©Eri Ito

メインの展示室を回り終えると、上に向かう廊下に出る。上階には主に四輪が展示されていた。上階の展示室からは、エスカレーターで下ることができる。

©Eri Ito
BMW歴代モデル名がデザインされて展示されていた。「見せ方」がとてもうまいミュージアムだ©Eri Ito

ミュージアムの向かいには、「BMW Welt」がある。「Welt」とはドイツ語で、英語では「World」だ。ちなみに、「Museum」はドイツ語でも「Museum」である(ただし、発音は異なる)。

「BMW Welt」はおおまかにいえば、ショールームを含む複合施設である。BMWとBMWモトラッドだけではなく、BMWグループが展開するMINI、ロールス・ロイスも展示されている。入場は無料。市販されているモデルが多数並んでおり、実際にまたがることもできる。車両に触れながら「BMW」を体験できるようになっている。気になるモデルがあるのなら足を運んでみるといいかもしれない。

©Eri Ito
©Eri Ito

ドイツ・ミュンヘンにあるBMWミュージアムとWeltをご紹介した。特にミュージアムはBMWの歴史に、車両とともに触れることができる。1916年に始まったBMWが歩んだヒストリーを追うことは、BMWというブランドをより深く知ることでもある。機会があれば──機会を作ってでも訪れたい、見ごたえのあるミュージアムだった。