VOLKSWAGEN TIGUAN TDI 4 MOTION R-LINE

最上位ディーゼルグレードに試乗

2007年に誕生した初代「ティグアン」は、多くの自動車メーカー同様にフォルクスワーゲンにとって、SUVが本格的な収益の柱となるきっかけを作ったモデルだ。以後、世界累計760万台以上を販売し、同社の屋台骨を支える存在へと成長した。

新型ティグアンは、2023年にグローバルデビューし、2024年に日本へ導入された3代目となる。初代がゴルフ、トゥーランと同じPQ35プラットフォームを採用していたのと同様、最新型もまたゴルフと共通のMQB Evoプラットフォームを採用する。前後フェンダーの盛り上がりや、イルミネーション付きエンブレムが最新世代を感じさせる。

ラインナップされるパワートレインは、1.5リッターeTSIマイルドハイブリッドと、2.0リッターTDIクリーンディーゼルの2機種で、それぞれにエントリーの「アクティブ」、中間の「エレガンス」、上級の「Rライン」の3グレードが用意される。今回試乗したのはディーゼル最上位グレードである「TDI 4モーション Rライン」だ。搭載されるEA288 evo型2.0リッター直列4気筒ディーゼルターボは、最高出力193PS/3500〜4200rpm、最大トルク400Nm/1750〜3250rpmを発揮し、SCR触媒を2基備えるツインドージングシステムによってNOx排出量低減を図るのが特徴だ。組み合わされるトランスミッションは湿式多板クラッチ式7速DSG。電動モーターを持たない純内燃機関車で、フルタイムAWDの「4MOTION」で4輪を駆動する。

巨大なセンターディスプレイ

今回の試乗は九州・宮崎で行われた。温暖な気候で知られるが、何より九州らしい雄大な景色の中、広報担当者の「この道でVWのディーゼルを堪能してほしい」という思いが実施を実現させたようだ。実際に走り終わってみれば、少ない交通量、適度なアップダウン、雄大な景色は試乗に完璧なシチュエーションだった。

空港駐車場に用意されたティグアンに乗り込む。前述の通りゴルフとプラットフォームを共用していることもあって、「ゴルフ8.5」とインテリアの多くを共用している。最大の違いはシフト操作がゴルフと異なり、コラム右側の小さなレバーで行う点だ。最近のヒョンデ車に近い印象だ。一方でステアリング裏のパドルシフトの操作感はお馴染みのフォルクスワーゲン風で、既存ユーザーなら違和感はない。

センターディスプレイは標準(エレガント以上)で15インチと巨大サイズで、車内の印象は良くも悪くもこの巨大スクリーンの存在感が大きい。メーターパネルは様々な表示モードを備えるが、必要な情報がきちんと表示され、機能と見た目の両立が図られている。

オプションのレザーシート(24万2000円)は、スポーツ系というよりサイドのサポートが控えめなコンフォート系だが、調整幅が大きく自然にドライビングポジションが決まる。Rラインが標準で装備する可変ギアレシオのプログレッシブステアリングは、低速域ロックトゥロックが約2回転とクイック。20インチタイヤ(255/40R20、ピレリ・スコーピオン)を履きながらも最小回転半径は5.4mに抑えられ、駐車場での取り回しは気楽だ。

ワインディングから林道まで

まずは市街地を南下する。試乗車のオドメーターは約600km。目的地の都井岬まで行って帰って180kmほどだが、まだまだ慣らし段階と言っていいだろう。アイドリングストップは作動頻度こそ低いものの、停止状態のディーゼル的バイブレーションもほとんど気にならない。レッドゾーンは4500rpmからだが、当然ながらディーゼルなので、そこまでは回す必要はなく、低回転域のトルクで走らせる気持ちよさがある。なお、100km/h巡航時のエンジン回転数は7速で約1500rpmとなる。

ワインディングでティグアンのスポーティな一面を堪能できた。車重は1750kgだが、CセグメントSUVの2.0リッターディーゼルAWDとしては軽量で、この点が走りの軽快感にも直結している。さらに際立ったのは進化したアダプティブシャシーコントロール「DCC Pro」だ。伸び側と縮み側を独立制御する2バルブ構造により、快適性と姿勢制御を高次元で両立している。センターコンソールに配置されたダイヤルで変更できるドライビングプロファイルは、「エコ」「コンフォート」「スポーツ」「カスタム」「オフロード」「雪」の6モードが用意され、スポーツを選択すると、SUVらしからぬ軽快感を見せてくれた。

そうこうしているうちに目的地の都井岬に到着。馬が歩くそばを刺激しないようにゆっくりと進む。過去のようなディーゼル的ノイズは控えめだ。もちろんマイルドハイブリッドならばより高性能となるが、現状の技術でも十分に目標(低騒音、低振動)は達成できると感じた。

時間に余裕があったので、帰路は無舗装の林道区間にも分け入った。低速かつ短時間ながらオフロードでの信頼性も感じられた。サイドシルがドアで隠れる形状なので、オフロード走行後に裾を汚さない配慮も好ましい。

真面目に取り組んだ結果

試乗中の平均燃費は最高で19.6km/Lを記録した。WLTCモード燃費(15.1km/L)を上回る数値で、確かに信号の少ない道を60km/h前後で走ってはいたが、驚異的な数値だ。燃料タンク容量61Lを考えると、航続距離1200kmも現実的な数字となる。最終的には14.8km/Lとなったが、燃費に厳しい撮影(行ったり来たり、止まり続けたりなど)を伴う試乗を考えればかなり優秀だと断言できる。

最新世代らしい端正さをまといながら、どこか素朴さも残しているのが新型ティグアンの印象だ。派手な主張はなく、質実剛健という言葉が似合う。「使い込むほど良さが滲み出てきそうなSUV」であり、生活に自然と溶け込む感覚がある。

フォルクスワーゲンとディーゼルの関係にはただならぬ過去もあるが、最新ティグアンに乗る限り、同社が真面目に取り組んだ結果が、ここにひとつの完成形として結実していると感じさせた。

PHOTO/小河原認(Mitomu KOGAHARA)

SPECIFICATIONS

フォルクスワーゲン ティグアン TDI 4モーション Rライン

ボディサイズ:全長4540 全幅1860 全高1655mm
ホイールベース:2680mm
車両乾燥重量:1750kg
エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量:1968cc
最高出力:193PS(142kW)/3500〜4200rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1750〜3250rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後4リンク
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ(リム幅):前275/35ZR21(9.5J) 後325/30ZR21(11.5J)
燃料消費率(WLTCモード):15.1km/L
車両本体価格(税込):653万2000円

フォルクスワーゲンのベストセラーSUV「ティグアン」がフルモデルチェンジ、2024年9月から日本における受注がスタートする。

3代目となる新型「フォルクスワーゲン ティグアン」が9月から日本で受注開始「48Vマイルドハイブリッド初搭載」

フォルクスワーゲン・ジャパンは、7年ぶりにフルモデルチェンジを実施した3代目新型「ティグアン」の予約注文受付を、2024年9月から全国のフォルクスワーゲン正規ディーラーにおいて開始する。日本におけるデリバリーは11月以降を予定している。