2025年の振り返り


2025年シーズンも終わり、GT500クラスはGR Team au TOM’S の坪井翔選手と山下健太選手がドライバー、コンストラクターともにチャンピオンの栄冠に輝いた。GT300クラスもK2 R&D LEON RACINGの蒲生尚選手と菅波冬悟選手が、コンストラクター、ドライバーの両チャンピオンを奪還した。
スーパーGTのチャンピオン争いは例年、最終戦まで絡れ込み最後の最後までシリーズを楽しませてくれるシーズンが多い。その裏には、綿密に計算されたレギュレーションの影響が大きいことをご存知であろうか。レギュレーションを詳しく知ることで、より楽しくスーパーGTを観戦するためにルールをより理解しておくことをお勧めしたい。
GT500とGT300のレギュレーション

まずは車両についてのレギュレーションについて触れていこう。GT500とGT300は、基本的にレギュレーションの考え方がちがう。GT500に関しては、基本的にスーパーGTにしか出場しないマシン。と言っても過言ではない。そのためレギュレーションには「SUPER GT GT500 Technical Regulation(GT500車両規定)」に従った車両、またはGTAが認めた車両であることが必要です」と明記されている。規定ではモノコックやECU(電子制御)は共通のものを使用。最低重量と燃料流量リストリクターをコントロールすることで、車種間の性能調整も行っている。エンジンも2000ccシングルターボとなっているため、メーカーとしては足回りや空力の開発がメインとなっている。
一方GT300は、「GTAの定めるGT300車両規定、およびGT300マザーシャシー(GT300MC)車両規定に従った車両、FIA GT3車両(FIA=国際自動車連盟等により公認された車両)、またはGTAが認めた車両」と記されている。グローバルスタンダードであるGT3が出走するため、それに準ずる車両が認められていると言った感じであろうか。GT3車両は排気量も過給機もエンジンレイアウトすら制限がないためBOP(バランスオブパフォーマンス)でマシン性能の均一化を図っている。スーパーGT以外のレースも含めた前年の成績(世界中のGT3レースの成績)を考慮し、マシンカテゴリー別にハンデを決定している。
GT500のエンジンは、直列4気筒2000ccシングルターボに統一されている。対してGT300は5000ccNAから2000ccターボまで、さまざまなパワーユニットを搭載している。そのため厳しく規定を設けることで、車自体の個性を殺すことなく性能の均一化を図っている。ざっくりとだが、使用車両に関しての規定は理解いただけただろうか。
新ハンデキャップがもたらした混乱


基本的な車両に関しては上記のような規定となっている。それに加えて、シーズン中の成績によってもハンデは課されていく。まずは重量だ。サクセスウエイトと言うハンデ形式が用いられ、2戦目から6戦目までドライバーズポイント1ポイントに対し2kgでのウェイト搭載が義務付けられる。
2024年までは100kgまでハンデウエイトが載せられていたが、そこまで積んでしまうとマシンパフォーマンスが著しく落ちてしまう。そのため2025年から実際に積むウエイトは50kgとし、それ以上のポイントを獲得したマシンには別のバンデが適用された。2025年から燃料給油リストリクターをを取り付け、給油時の燃料流量を絞ることになった。
これにより両クラスのマシンはパフォーマンスの低下を従来より抑えられ、コース上でのバトルを優先することなった。その反面給油時間が長くなるため、レース中のピット滞在時間が伸びてしまう。岡山や菅生といった全長の短いサーキットでは、給油中に周回遅れとなってしまうリスクも生じてしまう。イエローフラッグやペースカーが入るタイミング、フルコースコースコーションによる速度規制のタイミングによってはトップのチームが最後尾に落ちてしまうリスクもありえる。
ピットインのタイミングだけで、レースを失ってしまう可能性が高くなることも事実。実際に給油リストリクターを、疑問視し、規制の変更を求めるチームも少なくない。だが主催者側とすれば何かを犠牲にするか、リスクを背負ってレースを進行するかを選ばなくてはならない。主催するGTAも、頭を抱える部分ではあると思う。
2026年以降の展開は

2026年は基本的には、2025年の規則を踏襲して進めていく方向だ。ただし2026シーズンは、2年ぶりに空力の開発が解禁となった。開発期間は2026年の3月までとされ、以降は2029年まで再び空力開発は凍結されることが発表された。このタイミングでホンダは、2025年まで使用した「シビック」から「プレリュード」に車種を変更してきた。ニッサンは「Z」を、トヨタは「スープラ」を続投するようだが空力を大きく進化させる事が予想される。マシンやレースフォーマットの変更に合わせ、作戦も変わってくる可能性がある。
いずれにしてもレースは常に、テクノロジーとレギュレーションとの戦いという面も併せ持っている。スーパーGTに限らず多くのレースがレースフォーマットやレギュレーションで、より白熱したレースを演出している。レギュレーションと言うルールが、レースの持つ魅力を加速させているのも事実だ。少し複雑な部分もあるがルールを理解した上で観戦すると、より深くレースを楽むことができるだろう。
PHOTO/折原弘之(Hiroyuki ORIHARA)

