長細いタンクを吊り下げるロー&ロングなフレームに、前後18インチのナロータイヤを装着。カブ系の横型エンジンを丸出しに抱えるフォルムは、まるでカスタム車両という雰囲気だ。

スカイチームST-19……426,800円

俗に言う“中華カブ”のエンジンを搭載するフレームは、購入後のカスタムベースとしても魅力的な素材。4MINIカスタムフリークに向け、エンジンレスの車体キットを販売する計画もあるそうだ。

割り切った車体設計で唯一無二のヴィンテージスタイルを愉しむ

 スカイチームといえば、ヴィンテージなカフェレーサースタイルの「ACE125」でお馴染みのブランド。そこから出た新型モデルが「ST-19」なのだが、見た目はもっとヴィンテージなボードトラックレーサー風の125ccモデルとしてのデビューだ。

往年のボードトラックレーサーが蘇ったスタイルは、どんな場所でも映画のワンシーンのような景色に変えてくれる。カスタムせず、新車でこの雰囲気が味わえるのは貴重だ。

ボードトラックレーサーとは、今から100年ほど前に木製の板で舗装されたオーバルコースを走っていたレーサーで、ダートトラックレースの源流とされるもの。シンプルな車体のハーレーダビッドソンやインディアンが活躍していた世界で、フレームから吊り下げられたタンクが特徴的なデザインといえる。

そんな100年前のレーサーをオマージュした「ST-19」だけに、車体構成はとにかくシンプル。現代的な電子装備はなく、エンジンもキャブレター仕様のキック始動のみとなる。搭載するエンジンは横型で、俗に言う中華カブ系の122.9cc。試乗車はシルバーのエンジンにステンレス製のカスタムマフラーを装着していたが、市販車ではブラック塗装のエンジンにマットブラックのキャブトンタイプマフラーが標準となる。ちなみにウインカーボディも市販車はブラックで、キャブレターもカスタムパーツのNIBBI製φ22ではなくφ19が標準とのこと。リヤサスペンションはリジットタイプなので、シート下のスプリングがリヤからの衝撃を受け止めることになる。

ここまで徹底したヴィンテージルックなだけに、一見するとオリジナルフレームにカブ系エンジンを積んだカスタム車両に見えるが、このまま市販されるというのに驚き! カブやモンキーをベースにここまでカスタムすれば相当なコストがかかるので、もともとカスタム志向で個性的なモデルを探しているなら「ST-19」はお買い得な存在といえるだろう。

エンジン始動からクセのある乗り味まで濃厚なキャラクターを満喫

ヒラヒラと軽快な車体は、自由にラインを選べる余裕がある。リヤサスペンションがリジットなので、大きな入力があると破綻するリスクを忘れないでほしい。

ヴィンテージ車両は魅力的だが、本物を探して所有&メンテナンスするには相当なスキルとコストが必要だ。古いキャブレター車をベースにカスタムする方法もあるが、あれこれ手をかけると結局コストがかかってしまう。そんな悩みを持つヴィンテージ志向のライダーにおすすめしたいのが、スカイチームから発売された「ST-19」だ。

最初に断言しておくが、新車で手に入る現行モデルとはいえ、このオートバイは今どきの快適な万人向けの仕様ではない。キック始動からして冬場はチョークを引き、ピストンの上死点をキックの感触から導いて一気に蹴り下ろす儀式から始まる。試乗車はカスタムされたφ22キャブレター+オープンタイプのエアフィルターでも快調に始動したが、ノーマルのφ19キャブレター+オープンエアフィルターは燃料が薄いセッティングというのもあって始動に苦労することもあるそうだ。

路面さえ良ければ、軽量な車体と程よいパワーでヒラヒラとコーナーをクリアできるのが楽しい。ただ、ステップ位置はかなり低いので、バンク角には注意が必要だ。

シートに跨ると、車体の軽さと足つきの良さが際立つ。感覚的には鉄カブをベースにしたカスタム車両っぽい軽快さだ。ポジションは上半身がキツい前傾なのにステップが前寄りで、かなり違和感を感じた。慣れればいいのだろうが、個人的にはバックステップかアップハンドルを熱望したい。

発進しようとクラッチを握ると、意外に重くてレバーストロークも少ない。半クラッチは普通なので、単にレバー比の問題だろう。シフトが固くてニュートラルへ入りにくいのは新車のせいか? セル付きの快適なカブ系に慣れたライダーだと、この時点で戸惑ってしまいそうだ。

走り出すと軽快さは想像以上で、前後18インチのタイヤでも車体はヒラヒラと向きを変えられる。125ccのパワーでも十分に速いので、他の原付二種と一緒にツーリングするのも問題なさそうだ。ただし、リヤサスペンションがリジットなので突き上げは覚悟してもらいたい。微細な振動はタイヤやシート下のスプリングで吸収できるが、減速帯では腰を浮かすのが賢明だとアドバイスしよう。ブレーキ性能に不満はないが、低いステップ位置のせいでバンク角が少ないため、ワインディングを走る時は注意してほしい。

上半身は前傾だが、ステップはシートよりもかなり前方という独特のポジション。リジット仕様のリヤサスペンションは長距離には不向きなので、割り切って乗る覚悟が必要だ。

スタイリングから想像できる通り、この「ST-19」はクセの強いオートバイだ。乗り味はもちろん、キック始動やアナログ感満載の計器類&スイッチ類、振動からくる各ネジ類の増し締めの必要性など、手間がかかることを楽しめるオーナーじゃないと価値を認識できないだろう。もしかすると、乗ることよりもガレージライフの相棒として、身近に存在するだけで豊かな時間を楽しめるのかもしれない。それほどテイスティで存在感のあるオートバイなのだ。

足つきチェック

シート高は非公表だが、リジット仕様のリヤサスペンションの恩恵もあって、かなりのローポジション! わずか68kgの車体なので、余裕で支えることができる。

ディテール解説

エンジンは横型122.9ccで、ボア×ストロークは52.4×57mm。カスタムパーツとしてハイカムやハイコンプピストンが用意される。

試乗車のキャブレターは、純正のφ19からNIBBI製φ22(PE22相当)へカスタムされていた。純正仕様では、高回転のパンチ力が減少するものと予想される。
試乗車のマフラーは、カスタムホビーショップアローズが手がけたリバースコーンマフラーに交換されていた。純正仕様はマットブラックのキャブトンタイプマフラーが装着される。
レザー張りの小さなソロシートがオシャレ。快適性よりも、この潔いシンプルなルックスこそヴィンテージスタイルによく似合う。
2本のスプリングでソロシートを支え、路面からの衝撃を緩和する。リヤのリジットサスペンションを含め、このオートバイの魅力といえる部分だ。
小型のヘッドランプはクリアレンズのハロゲン球仕様。シンプルなステーで加飾をせず、ヴィンテージテイストにコーディネートする。
小さな単眼のアナログスピードメーターをヘッドライトケースにマウント。インジケーターはニュートラルランプのみをケース中央に配置する。
ロングタンク&緩やかに曲がるフラットハンドルの組み合わせで、上半身のポジションはわりと前傾気味。今後はアップハンドル仕様も計画中という。

ST-19のトレードマークともいえる吊り下げ式のロングタンク。見える部分は樹脂製のカバーで、中のタンク本体は4.0Lの容量だ。
ナンバーステーのベースを兼ねる小型の丸型テールランプ。バルブはオーソドックスな電球タイプで、ヴィンテージな雰囲気を大切にしている。
マウント方法や形状など、スーパーカブに酷似するステップ。低くて擦りやすいため、コーナリング時はバンク角に注意してもらいたい。


主要諸元

全長:1,910mm
全幅:645mm
全高:930mm
シート高:ー
乗車定員:1人
排気量:122.9cc
車両重量:68kg

エンジン:空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒
最高出力:6.1kW(8.2ps)/5,500rpm
最大トルク:9.0Nm/5,500rpm
トランスミッション:4速リターン式
フューエルタンク:4.0L
ブレーキ:前 ディスク、後 ドラム
タイヤサイズ:前 2.50-18、後 2.50-18

メーカー希望小売価格(消費税10%を含む):¥426,800