QJモーター・SRV250A……698,000円



狭角Vツインの味わいあり、AMTは十分に実用的だ

日本では2025年3月の東京モーターサイクルショーで初お披露目となった、QJモーターのSRV250A。既存のSRV250というクルーザーをベースに、クラッチおよびシフトアクチュエーターを組み込み、オートマチック変速を可能としたモデルだ。マニュアル・トランスミッションをベースとする考え方は、ヤマハのY-AMTやBMWのASAなどに近しいだろう。QJモーターは、これを250ccクラスに採用した点が画期的であり、さらに付け加えると、日本ではAT限定二輪免許で乗れるというメリットも無視できない。
エンジンは249ccの水冷4ストロークV型2気筒で、最高出力は27.9PSを公称する。単気筒のレブル250は26PSなので、それをわずかに上回る。なお、QJモーターの本国カタログには「AMT(オートマチック・マニュアル・トランスミッション)」と記載されていることから、本記事もそれにならう。

エンジンを始動する。予想していたよりも太い低音に、思わず「ホントに250cc?」と疑ってしまった。ツインサイレンサーから吐き出されるサウンドには包容力が感じられ、ライダーの耳に心地良い。すでに第一印象で心をつかまれてしまった。
このSRV250A、左右の足元にペダルはなく、左レバーはリヤブレーキ用だ。ニュートラルから1速にシフトするには、ハンドル左側にあるプラスボタンを押す。これで走り出す準備は完了だ。スロットルをわずかに開けると車体はすぐに動き出し、2速、そして3速へと自動的にシフトアップしていく。
STDモードであれば4000rpmを過ぎたあたりでシフトアップし、3000rpmを下回るとシフトダウンするプログラムのようだ。平坦な道をスロットル開度30~50%ぐらいで加速していくと、まるでホンダのDCTかと思うほどにシフトショックが少ない。一方、急加速をするためにスロットルを大きく開けたり、勾配のきつい上り坂では、クラッチが切れている時間が長く、前後に揺すられるような挙動が出ることも。とはいえ、こういう走り方はクルーザーにおいては稀だろう。
ライディングモードを「S」に切り替えると、出力特性やスロットルレスポンスはほとんど変わらず、シフトアップのポイントが6000rpm付近へと移行する。より“引っ張る”特性となるのだが、そもそも中回転域のトルクが厚いので、加速感そのものに大差はないといった印象だ。

SRV250Aが搭載するAMTは、マニュアルモードも選択可能だ。シフトアップ/ダウンはハンドル左側のシーソーボタンで行う仕組みだが、8000rpmを超えると強制的にシフトアップする。また、ATモード時も任意でシフトアップ/ダウンが可能だが、エンジン回転数が許容範囲を超えていると操作を受け付けてくれない。なお、トップ6速かつメーター読み100km/hでの回転数はおよそ6000rpmで、120km/h(約8000rpm)までは確認できた。
気になったとすれば、渋滞にハマったときの挙動だ。10km/hでクラッチが完全につながる設定らしく、それ以下の速度でトロトロと進むシーンは大の苦手と言っていい。リヤブレーキを引きずりながらスロットルを開けるなど、考えられるだけのさまざまな方法を試したが、ついぞ解決策は見つけられず。今回の試乗では、年末恒例の首都高大渋滞を避けることができず、このギクシャクした挙動と1時間以上も格闘することととなった。
とはいえ、筆者が改善を望むのはその一点のみ。マニュアルミッション車なら、同じ状況においてクラッチレバーを操作する左手が悲鳴を上げていたに違いない。それに、何よりSRV250Aはエンジンフィールが絶品だ。小排気量&狭角Vツインの、まるで小太鼓を連続的に叩いているような鼓動感と、そこから高回転域までスムーズに伸び上がっていく様(おそらくフライホイールマスも絶妙なのだろう)は、これだけでも買う価値大だと断言できる。ヒョースンのGV250S-EVO Supremeを試乗したときにも感じたが、250ccクラスであってもVツインの味わいは十分に伝わってくるのだ。

ハンドリングはニュートラル、かつ乗り心地も良好だ

続いてはハンドリングについて。走り出してまず感じたのは、これだけシート高が低いにもかかわらず、乗り心地が良いことだ。リヤサスにストローク感があり、連続で100km近く走ってもお尻に痛みは発生しなかった。直接のライバルとなるであろうホンダのレブル250は、Eクラッチが採用された年度からリヤの突き上げ感が減ったが、それでも純粋な乗り心地においてはSRV250Aに軍配が上がる。
ハンドリング自体は極めて扱いやすく、車体の傾きに対してナチュラルに舵角が付き、その手応えは深いバンク角に至るまで変わらない。ただ、これに気を良くして峠道でペースを上げると、コーナーの先でラインがはらんでしまいやすい。いわゆる二次旋回と呼ばれるパートで思ったよりも曲がらないのだが、これは乗り心地の良いリヤサスとも関係していそうだ。
とはいえ、たとえラインがはらみそうになっても、そこからもうひと寝かせできるだけのバンク角が確保されているのはありがたい。それに、高剛性な倒立フォークとしなやかなフレームのマッチングは絶妙で、自信を持ってコーナーに進入できるのは事実だ。

ブレーキは、スクーターと同様に右手でフロント、左手でリヤを操作するのだが、これはすぐに慣れるだろう。前後ともコントロール性は十分以上で、ABSが介入したときの挙動もスムーズだ。
カラーTFTディスプレイは質感が高く、LCDとは見やすさや満足度に大きな開きがある。それに、250ccクラスでありながら、左右のレバーに開き角の調整機構があるというのも非常に親切だ。レブル250 Eクラッチの完成度の高さにも驚いたが、オートマによるイージーライドを望む人や、クルーザーはやっぱりVツインでなければというこだわり派、さらにはAT限定二輪免許しかないというライダーは、ぜひ選択肢の中にこのSRV250Aを加えてほしい。
ライディングポジション&足着き性(175cm/68kg)
シート高は700mm。レブル250の690mmよりもわずかに高いが、乗車1Gでシートのウレタンとリヤショックが沈み込むので、足着き性は同等か、むしろSRV250Aの方が良いと感じるぐらいだ。ステップボードは足の置き場の自由度が高く、クラッチアクチュエーターのカバーによる右足の接触もほとんど気にならない。ライダーに対して車体がコンパクトに見えるが、窮屈感は一切なし。
ディテール解説
















QJモーター・SRA250A 主要諸元
エンジン
Type 2-Cylinder V,2V,Liquid-Cooled
ボアストローク 58.0×47.2mm
排気量 249cc
最高出力 27.9BHP(20.5KW)/9000RPM
最大トルク 23.0NM/8000RPM
燃料システム EFI
燃料供給装置形式 Electric
クラッチ Wet multi-plate
トランスミッション AMT Chain
シャシー
フロントサスペンション Telescopic Upside-Dawn
リアサスペンション Telescopic coil spring oildamped
フロントタイヤ 120/80-16
リアタイヤ 150/80-15
フロントブレーキ Disc ø280mm(ABS)
リアブレーキ Disc ø240mm(ABS)
ディメンション 全体L×W×H 2110×850×1100mm
ホイールベース 1400mm
座席高 700mm
地上高 160mm
車両重量 167kg
燃料容量 13.5L






