1月17日開催の「The 47th C&T MTG 2026」で表彰を実施

Car Stylingでは過日「Car Stylingデザイン大賞」の最終選考会を開催し、プロダクションカー部門とコンセプトカー部門の各賞を決定。プロダクションカー部門からは三菱デリカミニ、コンセプトカー部門からはセンチュリーを選出し、1月17日に都内で開催された「The 47th C&T MTG 2026」において表彰を行った。

今回の審査対象は国産メーカーに限定しており、プロダクションカー部門は2024年11月1日〜2025年10月31日までに国内販売を開始した量産モデル、コンセプトカー部門は2025年10〜11月開催のジャパンモビリティショー2025に出展されたコンセプトカーを対象車両とした。

選考は第一次審査と最終審査を行った。第一次審査は対象となる車両の中から各自動車会社のデザイントップに3台ずつを選出していただき、両部門のスリーベストを決定。その後、5名の審査員で構成する審査委員会においてスリーベストの対象となった自動車メーカーのデザイナーから各車のデザイン開発のプレゼンテーションを受けて最終審査に臨み、合議によりベスト1を選出した。

対象車両や選考方法の詳細に関しては、以下の記事をご参照いただきたい。

Car Styling デザイン大賞 / スリーベスト発表

1984年第1期Car Styling Vol.45で開始されたカーデザインアワード「ベストデザイン・オブ・ジ・イヤー」。Car Styling誌の休刊によりアワードもお休みをしていたが、本年(2025年)のCar Styling誌復刊を期に、呼び名も新たに「Car Styling デザイン大賞」として復活する。そのアワード審査のプロセスと第1次絞り込みで残ったスリーベストを紹介する。 TEXT : 難波 治 (本誌編集長) PHOTO : TOYOTA, MITSUBISHI, DAIHATSU, Motor fan

プロダクションカー部門:三菱自動車「デリカミニ

プロダクションカー部門のスリーベストは、トヨタ・クラウンエステート、三菱デリカミニ、レクサスGX。その中から審査員の合議により、デリカミニをベスト1に決定した。選考理由は下記のとおりである。

【選考理由】
三菱デリカミニの最大の評価ポイントは、コンセプトに対する忠実な実現と、細部まで妥協のないつくり込みだ。外装においては、軽枠のなかで巧みな立体構成を用いて、ボディ上部と下部をその造形目的に合わせて計画し、さらにその切り替えの繋ぎの部分を生かした立体表現は非常に巧みであり、軽SUVとしての佇まいを達成している。また内装において、軽自動車という予算的・寸法的な制約が厳しい中での完成度の高さが称賛され、日産ルークスとの共同開発でありながら、デリカミニのコンセプトを明確に内外装に表現しているという点も高く評価された。

CMF(カラー、マテリアル、フィニッシュ)においても卓越した手腕を発揮している。軽自動車ゆえに高価な素材が使えない制限がある中で、色選びや素材の使い方が巧みであり、「グランピング」というテーマに合わせて品良くしっくりとした質感を実現している点が好印象を与えた。

競争の激しいスーパーハイトワゴン市場において、「デリカ」という強力なブランドを活用して独自のニッチなポジションを確立した点もユニークだと評価されている。外装デザインでは、塗り分けの考え方が明確でがっちりしたボディが強調され、造形の自由度が少ない中でもベルトラインやリヤクォーターのデザイン、フロントフェンダーの造形によってタイヤの存在感やSUVらしいスタンスを生み出している。また先代モデルと比べて「プラスチック感」が薄れ、洗練されたフロントエンドも評価された。

内装では、インパネからAピラーまでを囲むピクチャーフレーム・コンセプトにより、窓を「額縁」のように捉える空間の区分けなど、軽自動車で新しい考え方に挑戦している点が評価されている。

一方で、一部のモデルで300万円を超える価格設定については、「軽自動車でこの値段なのか」と驚きや戸惑いの声が上がった。また、骨格やパッケージングについては、ダイハツ・タントが確立した「軽スーパーハイトワゴン」という既存の枠組みを抜け出すものではなく、プロポーション自体に目新しいオリジナリティがあるわけではないという評価も示された。

以上のような意見交換の後、デリカミニは軽自動車という厳しい枠組みの中で三菱らしさを貫き、「プロダクションカーのベストとしてふさわしい」という審査員の最終的な合意を得るに至った。制約の多い軽自動車において、デザインと機能性を高いレベルで両立させた好例と言える。

三菱デリカミニ
三菱デリカミニ

コンセプトカー部門:トヨタ自動車「センチュリー」

コンセプトカー部門のスリーベストは、センチュリー、ダイハツK-OPEN、レクサスLSコンセプト。その中から審査員の合議により、センチュリーをベスト1に決定した。選考理由は下記のとおりである。

【選考理由】
センチュリーはこの時代に日本から発信するメッセージとして強烈な存在感があり、単なるラグジュアリーカーではなく、日本を代表する高級ブランドを目指して「これからの日本の自動車業界を背負って立つ」というトヨタの強い決意が高く評価された。

デザインコンセプトにおいても新しい提案が評価された。「ショーファーカーでありながらクーペ」という考え方はユニークで、リヤウインドウをなくしたことで美しいボディカラーがより際立つデザインになっている点も好評だった。

外観デザインは堂々とした佇まいとプロポーションの良さが際立ち、このクラスの落ち着きを持ちながらもクーペとしてのスポーティさも表現した点が評価され、内装では、助手席側が大きく動く機構や間に仕切りがある空間構成など、「コンセプトを重視した新しい空間の仕切り方」に新しさが感じられると述べられた。

特に称賛されたのが、CMF(カラー、マテリアル、フィニッシュ)の卓越性だ。塗装のクオリティは極めて高く、「60回塗り(60コート)」という圧倒的な手間をかけた仕上げは、高い技術力の証明でもある。

一方で、圧倒的な存在感はあるものの、造形そのものに新しい提案があるかというと「既存の造形言語だけでできている」という指摘もあった。従来の「重厚長大」な高級感から脱出しようとしている姿勢は認められつつも、それが未来のラグジュアリーとしての姿なのかという懸念も示された。

センチュリーはデザインの革新性については議論の余地があるものの、「日本を代表するクルマをつくる」という圧倒的なパワーと、それを見事に形にした工芸品のような完成度が、他の候補を抑えて高く評価された理由である。

センチュリー
センチュリー

惜しくもプロダクションカー部門およびコンセプトカー部門の受賞を逃した4台に関しても、審査員による評価の概要を次ページでご紹介する。なお、今回の最終審査においては各車の評価が拮抗しており、ベスト1の選出に審査員も頭を悩ませていたこと、またプロダクションカー部門においては軽自動車と登録車を同列に評価することの難しさに直面したことも付け加えておきたい。