Mercedes-Benz C 200 Sport

熟成された5代目Cクラスとは

C200ステーションワゴン スポーツ
C200ステーションワゴン スポーツ

「Cクラス」はメルセデス・ベンツの中核モデルたるDセグメントサルーン/ステーションワゴンだ。最多量販車の地位は、プラットフォームを同じくするコンパクトSUVの「GLCクラス」に譲ったが、今でも精神的支柱の座は揺るぎない。

2021年に本邦に上陸した現行モデルの206型は第5世代にあたる。昨年のIAAモビリティでGLCクラスが「with EQテクノロジー」つまりBEVモデルとしてフルモデルチェンジしたことを受けて、次期型たる6代目CクラスがまもなくBEVとなって登場する?と思いきや、一方で急激な電動化方針をやや軌道修正したメルセデスが、現行の内燃機関モデルの寿命を延長との噂もある。ともあれライフサイクルとしては熟成期と言っていいだろう。この5代目は、ほぼ同時期にデビューしたフラッグシップ「Sクラス」を彷彿させるエクステリアとインテリアを得て高級化が進んだこともあって、Cクラスにとって大きなターニングポイントと言えるモデルだ。

先代の4代目205型と較べて、ボディサイズは全長4785mm(+80)、全幅1820mm(+10)、全高1575mm(+5)、ホイールベース2865mm(+25mm)と大幅に拡大している。なお、先代までラインナップされたクーペとコンバーチブルが、「CLEクラス」として切り離されたので、Cクラスのボディバリエーションはセダンとステーションワゴンのみとシンプルになったことも転換点である。

ステーションワゴンの最廉価グレード

1.5リッター直4ガソリンターボエンジン
1.5リッター直4ガソリンターボエンジン

現在日本に導入されるCクラスのラインナップは、1.5リッター直4ガソリンターボエンジン(204PS、300Nm)を搭載する「C200」、2.0リッター直4ディーゼルターボ(197PS、440Nm)を搭載する「C220d」「C220dオールテレイン」(ステーションワゴンのみ)、2.0リッター直4ターボに電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHEV)「C350e」(セダンのみ)。

そして上級ブランドのメルセデスAMGに「C43 4マティック」と最強PHEV「C63 S Eパフォーマンス」の合計6車種が用意され、AMGの2台は2.0リッター直4ターボながらC43が408PS、C63が680PSとその名に恥じぬ超高性能を示す。

2025年4月、C200、C220dともにベーシックグレードの「スポーツ」と文字どおり豪華仕様の「ラグジュアリー」の2グレードがラインナップされた。今回試乗したのはステーションワゴンの最廉価グレード「C200ステーションワゴン スポーツ」で車両本体価格は761万円だ。

充実した装備をお得に

C200 スポーツは従来オプションだった装備を追加しつつ、価格を抑えた戦略的(お買い得)グレードとなる。最廉価とはいえ装備は充実している。かつてはオプションだったAMGラインパッケージ(スポーツシート、スポーツサスペンションなどで37万8000円)に加えて、パノラミックスライディングルーフ、セーフティビジョンパッケージなどを標準装備するにもかかわらず、従来のエントリーグレードC200 アバンギャルドの2025年モデル(MP202501)から18万円アップの761万円にとどめた。室内はジェントルな雰囲気を醸すアンスラサイトライムウッドインテリアトリムを採用し、ホイールも意匠変更されている。

事実上のワンスペックとしたことで在庫のリスクを減らし、価格を抑えた。悩む余地もないので、特にこだわりがなければ、価格競争力は高まったと言える。ラグジュアリーグレードを選択すると、たとえばアダプティブダンピングシステム付きサスペンションやリヤアクスルステアリングを含むドライバーズパッケージ(28万円)などのオプションが選択可能になる。

ちなみにボディカラーもスポーツの場合は4色のみだが、ラグジュアリーではこれまで同様に9色から選択可能などその差は大きい。ただしスポーツとラグジュアリーの価格差も約160万円とそれなりに大きく、「C200ステーションワゴン ラグジュアリー」は921万円と堂々たる価格になる。

1.5リッターとは思えぬほど

掴みやすいグリップ型ハンドルを引いて乗り込む。最近流行りのフラッシュサーフェス型ドアハンドルは空力に優れ、高速走行時の燃費に有利で、多くのメーカーが採用しているが、昔ながらのグリップハンドルは操作性に優れており使いやすい。シートはサイドサポートが張り出したスポーツシートで、表皮はバックスキン風のARTICO/MICROCUTとなる。ボディサイズの拡大によって、室内は広々としており前席の快適性に不満はない。

コラム右から生えるセレクタレバーをDレンジに入れて走り出す。パワートレインはM254型1.5リッター直4ターボと、トルクコンバーター前部にインテグレーテッドスタータージェネレーター(ISG)が載る9Gトロニック(9速AT)を組み合わせた48Vマイルドハイブリッドとなる。

事前の情報なく「C200です」と言われて、市街地を粛々と走らせたら、2.0リッターではないかと錯覚するくらいにトルキーだ。搭載される1.5リッターエンジンは最高出力204PS/5800〜6100rpm、最大トルク300Nm/1800〜4000rpmだが、それを23PS、205Nmのモーターがアシストしている。

大人の余裕を持った走りで

C200ステーションワゴン スポーツ
C200ステーションワゴン スポーツ

アイドルストップからの再始動も洗練されており上品だ。初めてISG装備車に乗った時の衝撃は今でも鮮明に覚えている。それまでのスターターによる自動始動という素朴なアイドルストップから一転して、エンジンとトランスミッションの間に配置されたモーターがブレーキペダルから足を離した瞬間にエンジンを始動し、豊かなトルクで静々と発進する。今回も発進の際のマナーの良さは舌を巻いた。

スポーツというグレード名で、まあまあしっかり感のあるスポーツサスが備わり、ステアリングのロックトゥロックは2.3回転とややクイックなギア比だが、山道を走って楽しいという類のクルマではない。やはり洗練されたパワートレインで、大人の余裕を持った走りがしっくり来ると感じた。

それにしても、その中身は洗練されているとはいえ、1.5リッターエンジンで761万円という価格は安くない。電動化の時代にあっては排気量や気筒数が価格を決める物差しではないというが、そこにしこりのようなものを感じる私の考えは古いだろうか。だが、売れ筋のGLCクラスの次期型がフル電動モデルとなって、最後のエンジン車となる(かもしれない)現行モデルを買いたいというファンも多いかもしれない。電動化が進む時代のクルマの価格設定は、特に円安が加速する日本における輸入車の場合、まったくもって難しい。

PHOTO/市健治(Kenji ICHI)

SPECIFICATIONS

メルセデス・ベンツ C200 ステーションワゴン スポーツ

ボディサイズ:全長4785 全幅1820 全高1575mm
ホイールベース:2865mm
車両重量:1730kg
エンジンタイプ:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1494cc
エンジン最高出力:150kW(204PS)/5800〜6100rpm
エンジン最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1800〜4000rpm
モーター最高出力:17kW(23PS)/1500〜3000rpm
モーター最大トルク:205Nm(20.9kgm)/0〜750rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:RWD
サスペンション:前後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前225/45R18 後245/40R18
車両本体価格:761万円

国内にはライバル不在!?「クラウンエステート」と「ベンツ Cクラスワゴン」を比較! サイズ、スペックはどう違う?

ステーションワゴンとSUVを融合させたスタイルが特徴のクラウンエステートがついに発売された。国内にライバルは不在となるため比較対象は輸入車に絞られる。サイズ感で競合するのはEクラスだが、価格はひとつ下のCクラスが近い。Cクラス ステーションワゴンのディーゼルモデルとクラウンエステートのスペックや使い勝手を比較してみよう。