電動オフロードの常識を塗り替える

スペイン発の電動モーターサイクルブランド「Stark Future(スターク・フューチャー)」が日本国内市場に本格参入する。日本正規代理店のブレスフィールド(本社:神奈川県横浜市)は、次世代EVバイク「Stark Varg EX」「Stark Varg SM」「Stark Varg MX1.2」の日本国内向け予約受付を2026年2月1日から開始したと発表した。

これらのモデルは従来の電動二輪車が抱えていた“日常移動向けスクーター中心”というイメージを超え、スポーツ走行や競技パフォーマンスにも対応する電動オフロードバイクとして設計されている。EV特有の高トルク性能を最大限生かし、排ガス規制や騒音基準といった内燃機関車両が直面する制約から解放された新たな走りの可能性を日本市場へ投げかける格好だ。

電動二輪車の国内市場は年々拡大しており、特に都市部での通勤・移動用途として普及が進んでいる。しかしその多くは小型スクーターや低出力モペッドといった日常ユース中心の車両であり、スポーツ走行やオフロードのパフォーマンスを求める層には選択肢が限られていた。Stark Futureが提案する3モデルは、こうした“走りの自由度”を重視するユーザーへ対応するべく、EVならではの特性を走行性能へ転換した仕様となっている。

3つの個性|Varg EX/Varg SM/Varg MX1.2

Stark Futureが導入する3車種はそれぞれ異なる走行シーンを想定しながらも、電動ならではのポテンシャルを共有している。まず「Stark Varg EX」は公道走行に対応するエンデューロタイプの電動バイクだ。軽量設計と高トルクを両立するパワートレインにより、都市部から未舗装路まで幅広い環境で安定した走行性能を実現する。電動ユニット特有の即応トルクはエンデューロ走行での加速やトラクション制御に寄与し、内燃機関車両では困難な静粛性と環境性能も兼ね備える点が特徴である。

一方「Stark Varg SM」はスーパーモタード仕様であり、公道走行に加えてワインディングや市街地でのスポーティなライディングも視野に入れた設計になっている。SM特有のシャープなハンドリングと高出力域でのレスポンスは、電動ユニットの特性を活かして瞬発力とコントロール性を両立する。電動ならではの出力特性は低速から中速域のトルクをフラットに発揮し、急加速や立ち上がりでの挙動制御に好適だ。

そして「Stark Varg MX1.2」は競技専用モトクロス仕様としてラインナップされる。これは公道走行非対応モデルとして位置付けられ、オフロードレースやトレーニング走行に特化したパフォーマンスを追求している。ICE(内燃機関)450ccクラスを凌駕するパフォーマンスを発揮する設計であり、GPSベースのラップ計測やカスタマイズ可能な走行モードなどが組み込まれることで競技志向の高いライダーへ向けた機能性を装備する。

EVのポテンシャルがもたらす走りの幅

Stark Futureの電動バイク群は、公道対応モデルでありながら競技仕様車もラインナップに含めることで、電動二輪車の“用途の幅”を大きく拡大した。従来のEVは都市移動用途に特化したスペックが中心だったが、Stark Futureはその制約を性能面で克服し、スポーツ走行やオフロードライディングにまで対応する設計思想を打ち出した。これは電動モーターサイクルが単なる環境対応車ではなく“走りの道具”として成立し得ることを示す挑戦でもある。

電動パワートレインの特徴である高効率・高トルク性能は、内燃機関車両では得難い低速から高回転域までのスムーズな出力特性や、エンジン音に依存しない静寂性といったメリットをもたらす。Stark Vargシリーズはこれらの特性を走行性能へストレートに反映させることで、ライダーの操作性や走りの満足度に寄与する設計となっている。また、パフォーマンスと環境性能を両立させる姿勢は、規制が強まる将来のモーターサイクル市場における一つの方向性を示している。

日本市場への挑戦と今後の展開

ブレスフィールドが国内で展開するStark FutureのEVバイクは、単なる新規参入モデルに留まらず、日本のモーターサイクル文化に新たな選択肢を提供するものといえる。国内では電動二輪車の普及率が高まりつつある一方で、スポーツ走行や競技用途に耐えうる電動モデルはまだ限られていた。Stark Vargシリーズの導入は、こうした需要を取り込み、日本のライダーに電動車両の新たな可能性を提示する契機となるだろう。

価格設定や販売台数の詳細は今後発表されるが、予約受付開始という段階から関心は高まっている。EVバイクのポテンシャルを試すユーザーや、従来の内燃機関車両から新しい体験を求めるライダーにとって、Stark Futureは魅力的な選択肢となる可能性を秘めている。規制や社会的要請が強まる中で、電動モーターサイクルがどのようにライディング文化を変えていくのか。その先駆けとしてのStark Futureの挑戦は、日本市場における電動二輪車のあり方を再考させる契機となるだろう。