イタリアンデザインが描く“2026年・馬年”の美意識

イタリアを代表するスクーター、Vespaが2026年モデルとして、新たに限定版「Vespa 946 Horse」を欧州で発表した。これは中国の十二支に由来する“馬年(Year of the Horse)”をテーマに据えた特別仕様モデルで、既存の「Vespa 946」シリーズをベースとしながら、テーマ性の強いデザインと素材使いによって独自の存在感を放つ一台として仕立てられている。

2026年は、馬が象徴する“優雅さ・エネルギー・たくましさ”といった価値観が、多くのカルチャーで祝福される年とされ、それをデザインモチーフに落とし込むかたちでVespa側はこのモデルを企画したという。予約は公式サイトや限定店舗で既に始まっており、限定生産の性質上、入手可能台数に限りがあるとみられる。

馬の躍動を纏う独自のエクステリア

「Vespa 946 Horse」の最大の特徴は、深みのあるベイ(bay)ブラウンのボディカラーにある。これは馬の光沢ある毛色を連想させる色調で、単なる色替えではなく、光沢とマットのコントラストが効いたフィニッシュを施すことで、視覚的な奥行きと気品のある佇まいを実現している。シャシーや外装パネルはクラシックな946のプロポーションを保ちながらも、ゴールドのアクセントやV字のモノグラムをヘルメット下の“馬蹄”モチーフに組み込むなど、随所に“馬年”というテーマ性が反映されている。こうした細部のディテールが、通常モデルとは異なる特別感を醸成しているのが大きな見どころだ。

プレミアム素材とクラフトマンシップ

エクステリア以上に注目されるのが、素材使いと職人技の結集だ。シートには馬具を思わせる本革製のサドルが採用され、熟練したイタリア職人の手によって仕立てられている。その革は取っ手やミラー、グリップ部にも配され、統一感のある質感を演出しているのが印象的だ。

また、同素材を活かしたリアバッグや、アルミニウム製のサポートを持つウインドスクリーンといったアクセサリー類もラインナップされ、単体のスクーターとしての魅力だけでなく、トータルで所有する喜びを刺激するパッケージングとなっている。こうした装備は単なる機能性を超え、ライフスタイル性を強く意識した仕様と言えるだろう。

“Al Vento”コレクションとの連動

今回の「Vespa 946 Horse」発表に合わせ、ブランドはライフスタイルブランドとしての側面も強化している。スクーター本体と同時に**“IN SELLA”**と呼ばれるファッションカプセルコレクションが打ち出され、ブランドロゴや馬年のテーマをグラフィック化したアイテムが展開される。

ネイビーブルーを基調としたウールジャケットやスウェット、ポプリンシャツ、さらにはジャカード織りのブランケットなど、スクーターの世界観とリンクしたアイテムがラインナップされることで、所有する体験そのものを拡張する提案がなされている。

限定性と入手の価値

「Vespa 946」は、その歴史的な背景やアート性から、特別版が出るごとに高い注目を集めてきたモデルである。過去には“ラビット”“ドラゴン”“スネーク”をテーマにした限定版も展開されており、2026年モデルの“Horse”もその流れを受け継ぐ位置づけになる。価格や発売台数の詳細は地域や市場によって異なるが、基本的には限定生産として位置づけられるため、高い所有価値を期待できるのが魅力だ。発表から予約開始までのスムーズな展開からも、ブランドがこのモデルに掛ける期待と自信が伺える。

美しさと象徴性を兼ね備えた一台

「Vespa 946 Horse」は、テーマ性の強さとクラフトマンシップが結実した限定モデルであり、伝統的なスクーターデザインと現代的なライフスタイル提案とが融合した存在である。馬年という象徴的なコンセプトを、色彩・素材・ディテールのすべてにおいて体現しており、単なる乗り物としてではなく所有する喜びとブランドの世界観を強く訴求する一台となっている。2026年のスクーターシーンにおいて、この限定版Vespa 946がどのような反響を呼ぶのか、ユーザーやコレクターの関心が集まるのは必至だろう。