BENTAYGA
プレミアムラグジュアリーSUVという新ジャンル

2012年のフランクフルト・モーターショーで、ベントレーはこれまでの文脈にはないまったく新たなコンセプトカー「EXP 9F」を発表した。これは1999年からベントレーのデザインスタイリング担当のディレクターを務めるディルク・ファン・ブラッケルらのチームによってデザインされたもので、「ミュルザンヌ」で示された大型ヘッドライトと直立したマトリックスグリルを備えた姿はまた、プレミアムラグジュアリーSUVという新しいジャンルの創設を高らかに宣言するものであった。
EXP 9Fのシャシーはフォルクスワーゲングループの「ポルシェ カイエン」「アウディ Q7」「フォルクスワーゲン トゥアレグ」などと同じPL71プラットフォーム。エンジンはお馴染みの6.0リッターW12 DOHCツインターボで、駆動系に関してはQ7などと同じトルセンデフを用いたフルタイム4WDを採用していた。
ベントレーはその後も開発を継続するとともに、プロトタイプを使って世界各地でのテストも実施。砂漠、極北、オフロードだけでなく、ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェを240周走破するなどオンロードでのテストも積極的に行っている。
ミュルザンヌと較べ200kg以上軽量

こうして2015年のフランクフルト・ショーでの一般公開に先駆け、9月9日に正式公開されたベントレー史上初のSUVは、スペイン・グランカナリア島に存在する巨岩「ロケ・ベンタイガ」に因んで「ベンテイガ」と名付けられた。
シャシーは第2世代のQ7や第3世代のカイエンと同じMLB Evoプラットフォームを使用。全長5150mm、全幅1995mm、全高1755mm、ホイールベース2995mmという堂々とした体躯を誇るエクステリアはEXP 9Fをモチーフとしつつ、マトリックスグリルを両脇から囲む4灯のフローティングLEDヘッドランプを備えたフロントマスク、シャープなベントレーのパワーラインと力強いリヤハンプをもつサイドビューが印象的な迫力あるスタイルとなった。
また、シャープかつ繊細なアルミ製のボディパネルは“スーパーフォーミング”工法で製造されたもので、各部にも軽量化への努力が払われた結果、車量重量は2422kgとミュルザンヌより200kg以上も軽く仕上げられている。
上質なオンロード性能を両立

エンジンは直噴と間接噴射を併せ持つW12 DOHCツインターボで、最高出力608PS/6000rpm、最大トルク900Nm/1250~4500rpmを発生。0-100km/h加速4.0秒、最高速度301km/hを記録して、当時世界最速の量産SUVの称号を得るにいたった。
そこに組み合わされるギヤボックスはZF製8速ATで、トルセンLSD式センターデフを用いたフルタイムAWDシステムを採用。通常時のトルク配分は前後40対60だが、センターコンソールのスイッチで4種類のオンロード、4種類のオフロード(オプションのオールテレインスペック装着の場合)の走行モードをセレクトできるDDC(ドライブ・ダイナミック・コントロール)を装備しており、路面状況に応じて常に最適な駆動配分を提供する。
また前後マルチリンクのサスペンションには、「ベントレー・ダイナミック・ライド」と名付けられたSUV初の電動アクティブスタビライザーも装備しており、オフロードでの走破性はもちろん、サルーン顔負けの上質なオンロード性能も両立させているのも大きな特徴といえた。
世界最速の量産SUVとして

一方コクピットは、コンチネンタルシリーズの流れを汲むウイングを模した左右シンメトリーなデザインを採用。もちろん上質なウッドやレザーを惜しみなく使用したインテリアは、ベントレーの名に相応しい高級感あふれるものとなった。なお、デビュー当初にはオプションでベンテイガ1台分の価格という「マリナー・トゥールビヨンByブライトリング」も用意されていた。
デビューするや否や、2016年の生産分を前倒しにして即完するほどの大反響を巻き起こしたベンテイガは、ハイエンドSUV界の新たなベンチマークとして君臨。2017年には4.0リッターV8トリプルチャージャーのディーゼル、2018年に4.0リッターV8ツインスクロールターボを搭載した「ベンテイガV8」と3.0リッターV6ターボとモーターを組み合わせたベントレー初の市販PHVの「ベンテイガ・ハイブリッド」を追加している。
そして2019年には0-100km/h加速3.9秒、最高速度306km/hを謳う630PSの6.0リッターW12ツインターボを搭載した世界最速の量産SUVとなる「ベンテイガ・スピード」を発表し、ベントレーの屋台骨を支える一大ファミリーを構築したのである。

