神奈川県道151号三井相模湖線は、相模原市緑区三井と緑区千木良とを結ぶ全長7.5kmの道で、津久井湖北側の山の斜面に這うように続いている。道幅は1.7mと狭く、所どころに車のすれ違いのための退避場所が設けてある。ところがこの県道、災害によって土砂や落石、倒木などで道が閉ざされ、もう5年以上も寸断されたままになっている。つまり走り通すことができないのだ。現状はどうなっているのか千木良側から確認してみることにした。

国道20号線で大垂水峠を越えて相模湖方面へと向かうと、峠を下ったところが千木良地区である。ここから県道515号線は分かれている。道は相模川に沿って南東方向へ続いていて、県道517号線との交差点に出る。メインルートは県道517号線で進んでいくと国道412号線に接続する。なのでほとんどの車は交差点を右折して県道517号線を行く。目的の県道515号線は交差点を直進する。

しばらくは民家が点在しているので、センターラインこそないものの道幅もまあまあある。民家が途切れるところで、落石危険!全面通行止の大きな看板が出現。しかし道はゲートで完全に閉鎖されているわけではなく、その先も続いているので、とりあえず行けるところまで行ってみる。山間部へと入り込んでいく道は急カーブを連続させると同時に、次第に道幅を狭めていく。一応舗装路なのだが、まったく整備されていないようで落ち葉や落石が放置状態。進むほどにその度合いは強まっていき、まるでダートのような道になる。おそらく一般的な乗用車で走るのは難しいだろう。足元をすくわれないように慎重にスーパーカブを走らせていくと、民家が途切れた場所から数百メートル地点でがっちりしたゲートで閉ざされていた。ゲート前にスーパーカブを止めると、藪の中からガサッと音がして肝を冷やす。なにしろこの付近はクマの出没が目撃されているからだ。

県道515号線を千木良から進んでいき、赤馬集落まで来るとこの先通行止の案内看板が現れる
民家が途切れた先はさらに道幅が狭くなり、落ち葉や土砂なども道路上に堆積している。そして最後はゲートによって完全に閉ざされている
赤馬集落から名手集落までの区間はもう長い間通行できない状態になっている。おそらくこのまま廃道になる可能性が高い

焦って転ばないように来た道を戻り、県道517号線、国道412号線をたどり、津久井湖に流れ込むもうひとつの川である道志川の様子を見に河原へと下りて行った。道志橋を渡った先を右に曲がり、ずんずん下っていくと河原にたどり着く。

水量が少ないのかどうかは普段の状況を知らないのでわからない。でも津久井湖の貯水率が17%だというのだからたぶん少ないのだろう。

青山親水公園へ移動してみた。道志川を遡るように道を進んでいき、弁天橋を渡って、今度は流れに沿って走る。冬枯れののどかな風景が広がる中を道志川が流れている。「しっかり水は流れているのになぁ」との印象を持ったが、貯水量を増やすには至らないのだろう。

国道412号線の道志橋の下に回り込んで道志川の様子を確認。以前訪れたときに比べて水量は少ないように思った
道志橋からさらに上流に進んだ場所で見る道志川の流れはそれなりに水量があるように見える

国道412号線へ戻り、その後、名手集落を目指した。相模川の対岸にある名手集落は県道515号線がメインルートになっているのだ。

ところが先ほど行った千木良側は通行止になっているし、反対の三井側も通行止になっているのだ。したがって集落を行き来するルートは、吊り橋である名手橋しかないのだ。長さ180m、道幅3.5mの吊り橋は車のすれ違いが厳しい。そのため通行する車は1台ずつ譲り合って通っている。全面通行止と看板のある名手橋を渡り、集落を通る県道515号線を三井方面へ進んでみた。民家が途切れたところで通行止。道はやはり落ち葉に埋もれていた。

今回は三井側には行かなかったのだが、何年もの間2ヶ所で寸断されたままの県道515号線は、このまま廃道になるのかな?と思えた。元々道幅が1.7mしかなく、生活道路ではあるけど利用価値は高くない。対岸に渡れば整備された国道412号線が走っているのだからそちらを通行するほうがはるかに安全だ。そう考えれば、県が復旧を急いでいないのも理解できる。





県道515号線が寸断されているため、名手集落へのアクセスルートは吊り橋の名手橋しかない
三井と名手の間も6年以上通行止となっている。名手集落の三井側の通行止ゲートは簡易的なので、復旧する可能性があるかもしれない
津久井湖周辺には何本もの橋が架けられている。名手から津久井の中心部へ行く際に渡るのが新境橋
県道513号線に架かる三井大橋。脇には歩行者、自転車用の三井そよかぜ橋が並行している
三井集落から大沢地区までは二輪車の通行が禁止されている。そのため三井大橋の手前には二輪車通行禁止の標識が設置してある

湖底から現れたかつての集落はまるで遺跡のようだった

津久井湖の渇水状況はニュースでも伝えられている。相模湖や宮ケ瀬湖も同様だが、ここ津久井湖の貯水率が際立って落ちている。その結果、湖底からかつての集落遺構が出現したというわけだ。

国道412号線から県道513号線に入り、三井集落へ向かう。三井大橋の手前を右へ下って中村ボートというボート乗り場へと行くと、駐車スペースのスーパーカブを止め、あとは徒歩で湖畔へと下りていく。

ニュースで取り上げられたこともあって、平日にもかかわらず多くの人が訪れていた。湖の水がないわけじゃない。しかしかなり下って行かないと水辺にたどり着けない。下っていく途中に、錆びついて朽ちたガードレールや石垣などが露出していた。また神社の跡なども出現していて、その風情は古代の遺跡のようでもある。

城山ダムによってできた津久井湖は、2026年2月現在、15%
湖底から出現した神社跡。古代の遺跡のようにも見える
参道の階段
鳥居の一部だろうか
枯れた木の根が異様な雰囲気を醸し出す
道が通っていた痕跡を錆びついたガードレールが物語る
送水管のトンネルである太井隧道

対岸を見ると、そこには放置された軽自動車があった。間近で見るために城山ダムを渡って中沢地区へとスーパーカブを走らせた。

カフェの先にスーパーカブを止め、鬱蒼とした遊歩道を下っていく。視界が開けると眼下に泥にまみれた軽自動車が現れた。近づいてみるとなんとも奇怪な感じがする。傍らには赤黒く錆びたバイク、おそらくホンダモンキーのだと思われるフレーム周りが横たわっていた。見渡せば、朽ちた木々や草木のない殺伐とした崖が広がっていて、異世界に迷い込んだ錯覚に陥る。

約一か月半もの間雨が降らず渇水状態となってしまった津久井湖は、意図せず不思議な光景を白日の下にさらすこととなった。普段見ることのできない風景を目の当たりにできたという点では思い出の残るショートツーリングではあった。

姿を現したワゴンR
バイクの残骸もあちらこちにあった
城山ダムを挟んで、花の苑地、水の苑地と2つの観光施設があり、花の苑地には土産物屋などがある津久井湖観光センターがある
花の苑地には広大な駐車スペースがあるのだが、バイク専用の駐車スペースも確保されている
花の苑地内にある食事処『花のさと』では、そばやうどんが食べられる

走行距離は78km。給油量は1.36Lだったので燃費は57km/L。昼食代と合わせて1000円に満たない旅費だった。