ホンダPCX160の注目ポイント

・高級感と力強さを意識した外装

・フットスペースの自由度向上

・各部刷新で軽快な乗り味を実現

ヤマハNMAX155の注目ポイント

・電子制御式CVTの導入

・TFT+LCDの二画面ディスプレイ

・加速する核心を具現化した外装

YECVTで力強い加速を見せたNMAX155

25年型でモデルチェンジを受けたPCX160とNMAX155を、以前に試乗した僕は、各車の歩み寄りを感じた。具体的な話をするなら、コンフォート指向のPCXはハンドリングが軽快に、スポーツ性を重視するNMAXは乗り心地が良好になっていて、お互いがお互いを意識しているという印象を抱いたのだ。
 でも今回の試乗が25年型の一発目だったら、おそらく、僕はそんな気持ちにはならなかっただろう。誤解を恐れずに表現するなら、従来型以上に、25年型PCX160とNMAX155は別物だったのである。
 もっとも、その主な原因はYECVTに導入によってスポーツ性を大幅に高めたNMAX155で、PCXの立ち位置は従来型から大きく変わっていない。いや、PCX160だって“小さな高級車”としての資質に磨きをかけているのだが、ライディングフィールにNMAX155ほど大きなインパクトは無かった。
 NMAX155で僕が最も感心したのは、サーキット秋ヶ瀬で実感した加減速と旋回の楽しさ。まずSモードを選んだ時点で、従来型とは一線を画する加速が堪能できるし、コーナー進入時に左手親指でシフトダウンボタンを押せば、後輪が後ろから引っ張られるような心地いい減速感と共に、安心して旋回姿勢に入って行ける。しかもコーナーを脱出する際の速度に物足りなさを感じたら、再度シフトダウンボタンを押せば、矢のような加速が得られるのだ。


一般道ではクルーザー的な資質を備えたPCX160が好感触!

 PCX160に乗り換えた僕は、味気が希薄で高揚感があまり沸いて来ないことを認識。人間というのは勝手なもので、以前はモード切り替えやシフトダウン機構の必然性など感じていなかったのに、今はその2つが存在しないことに物足りなさを感じてしまう。いずれにしても今回の試乗前半の印象は、NMAX155が圧倒的に優勢だったのだが……。
 市街地の移動やツーリングを想定した一般道の試乗では、クルーザー的な資質が味わえるPCX160の株が急上昇。べつに2台のバランスを取るつもりはないものの、乗車姿勢がゆったりしていて、エンジン特性と車体の動きが実直で、乗り心地が依然としてNMAX155より良好なPCX160を走らせていると、(いい意味で)自宅の居間でくつろいでいる気分になれて、それはそれでかなりの好感触だったのだ。
 一方のNMAX155は、一般道では何となく急かされている気分になるし(マッタリ走行も可能だが、本領を発揮なきゃと意識してしまう)、サーキットや加速テストで非常に有効と感じたシフトダウンボタンは、意外に押す機会が少なかった。
 そのあたりを考えると、NMAX155の本質を楽しむためには能動的な舞台が必要で、逆にPCX160は受動的な場面で真価を発揮するのだろう。と言っても、それは従来型にも通じる話なのだが、25年型では各車の目指す世界、方向性の差異が、さらに明確になったのである。

50mと100mでの加速タイムを計測





PCX160とNMAX155の加速タイムは大差。NMAX155で圧巻だったのは、Sモードでスタート直後に3段階のシフトダウンをバババッと行い、そのまま全開で走ったときのタイムだが、扱いやすさや燃費を意識したTモードでもPCX160をきっちり凌駕。なおNMAX155のYECVTは、ライダーが加速したい‼ と感じる状況に遭遇すると、自動でシフトダウンを行い、その度合いはTモードとSモードで異なっていた。

サーキット秋ヶ瀬で周回タイムを計測

5周の平均タイム

PCX160:40秒16

NMAX155:40秒13

0→50m・0→100mmほどの差はつかなかったが、サーキット秋ヶ瀬で計測したラップタイムもNMAX155のほうが優勢。バンクした際に路面と接するセンタースタンドを取り外す、あるいは加工すれば、さらにタイムが詰められそうだ。もっともアタック後に僕が驚いたのは、駆動系がオーソドックスなCVTで、攻めている感が希薄であるにも関わらず、NMAX155とコンマ1~2秒前後しか差がない、PCX160のタイムだった。

YECVTとは?

一般的なスクーターのCVTが、車速と走行負荷に応じて変速比が自動で決まるのに対して、2025年型NMAX155が導入したYECVTは、各種センサー/コントロールユニット/モーターを用いて、フロントプーリーの巻き掛け径を走行状況に最適な寸法に適時調整。作動感は非常にナチュラル。走行モードは、ハイギアード寄りのTとローギアード指向のSが存在し、いずれのモードでもシフトダウンボタンを押せば、強制的にローギアードになる。

左スイッチボックスに備わるシフトダウンボタンの操作性は至って良好。とはいえ、3段階は多すぎで、2段階でもよかったような……?

HONDA PCX 160 価格:46万2000円

SPECIFICATIONS

全長×全幅×全高:1935mm×740mm×1125mm
シート高:764mm
ホイールベース:1315mm
エンジンタイプ:水冷4ストローク4バルブ単気筒
総排気量:156cc
内径×行程(mm):φ60.0×55.5
圧縮比:12:1
最高出力:15.8ps/8,500rpm
最大トルク:15Nm/6,500rpm
変速機型式:CVT
始動方式:セルフ式
車両重量:134kg

燃料タンク容量:8.1ℓ
タイヤ(前):110/70-14
タイヤ(後):130/70-13

ブレーキ形式(前):ディスク
ブレーキ形式(後):ディスク
ABS:前

YAMAHA NMAX 155 価格:45万9800円

SPECIFICATIONS

全長×全幅×全高:1935mm×740mm×1200mm
シート高:770mm
ホイールベース:1340mm
エンジンタイプ:水冷4ストローク4バルブ単気筒
総排気量:155cc
内径×行程(mm):φ58.0×58.7
圧縮比:11.6:1
最高出力:15ps/8.000rpm
最大トルク:14Nm/6,500rpm
変速機型式:CVT
始動方式:セルフ式
車両重量:135kg

燃料タンク容量:7.1ℓ
タイヤ(前):110/70-13
タイヤ(後):130/70-13ブレーキ形式(前):ディスク
ブレーキ形式(後):ディスク
ABS:前後