日本を変えた50ccのスーパーカブ。本当になくなっていいの!?
1958年、本田宗一郎氏の手により生み出された初代スーパーカブ「C100」。2ストロークが全盛の時代に、4ストロークのOHVエンジンで性能を突き詰め、女性がスカートでも乗り降りしやすいようアンダーボーンフレームを設計。蕎麦屋が片手で運転できるよう自動遠心クラッチを開発し、当時日本にはなかった17インチのタイヤも生み出した。約68年も前にこれだけの技術が投入され、世界のバイク史を一気に塗り替えたのがスーパーカブなのである。そんなスーパーカブの原点とも言うべき50ccモデルが、2025年の10月いっぱいで生産終了となってしまった。
その背景には排ガス規制の強化があり、「原付一種自体の生産が終了」となることがあるわけだが、これで本当に良かったのか……と考えてしまう。採算が合わない50ccを作り続けることによるメーカーの負担はわかるが、ホンダには意地でも作り続けて欲しかった……というのが本音だ。
ホンダさん、新基準原付(110版)じゃなく、50ccをもう一度復活させてみるのはどうです?
世界のバイク社会を支えるホンダを築いた礎が、スーパーカブなのは間違いない。だからこそ、環境問題があろうと、世界がなんと言おうと、わがままを押し通してでも、ホンダの魂であるスーパーカブ50には生き残ってほしかった。スーパーカブ50が出す排ガスが環境にどれだけの害があるのか……。それは世界を変えた歴史的名車を生産終了するほどの問題なのか……。もっと他に正すべき問題が山とあると筆者は思う。庶民のヒーローであるスーパーカブは、110ccの出力ダウン版(新基準原付)じゃなくて、やっぱり50ccがよく似合うのだ。
「お前なんぞに言われなくても!」とホンダの皆さんは思っているだろう。だが、一人のカブファンとして、やりきれない気持ちを分かってもらえたら嬉しい。
スーパーカブ50がなくなる。バイク業界で生きる人間として寂しさしかないが、まずはこれまでの功績を称え、スーパーカブ50が歩んできた歴史を振り返ってみたい。これを読めば、なんとなくスーパーカブの凄さがわかるだろう。
スーパーカブ50が歩んだ68年の歴史
初代C100の登場以来、68年の歳月をかけて進化を続けてきたスーパーカブの50cc。OHVだったエンジンがOHCとなり、時代のニーズに合わせた灯火類の変更や、電気系統の12V化などなど、C100で本田宗一郎氏が作り上げた基本設計を守りつつ、ずっと庶民の求める期待に応えてきた。ここではそんなスーパーカブ50の軌跡を少しだけ紐解いていく。
【1958年】伝説の初代C100誕生

2ストローク全盛時代に、耐久性と経済性を考え4ストロークエンジンを選択しながらも同等の性能を確保。自動遠心クラッチやアンダーボーンフレームなど時代を変えた革新モデル。
【1960年】蕎麦屋の「兵隊屋」広告

「カブはそば屋のバイクだ」という本田宗一郎氏の言葉を受けて作られた広告。田園調布の「兵隊屋」というそば屋で、新潟から上京してきたばかりの従業員がモデルとなった。
【1963年】米国でナイセストピープルブーム

アメリカ・ホンダが展開した「カブのある素敵なライフスタイル」を提案するキャンペーン。これが大ヒットし、バイク=不良の乗り物というイメージを払拭。世界にカブが認知された。
【1966年】OHCのおっぱいカブ!

初代のOHVエンジンからOHCに変更。その際に採用されたウインカーの形状から「おっぱい」というあだ名がつけられた。ちなみにこのウインカーは四輪の「S600」と同じ。
【1968年】「行灯(あんどん)」初採用!

より豪華なスタイリングを求め、ヘッドライト下にポジションランプを採用。これが行灯と呼ばれる所以だ。二輪車初としてC90(イラストはコレ)に採用され、その後C50などにも展開された。
【1971年】かもめハンドルを採用

正面から見ると、かもめが羽を広げているように見えるハンドル周りの形状から「かもめハンドル」と呼ばれるように。このモデルから一体プレス構造のインタンク式に変更された。
【1978年】ボトムニュートラルの登場

当初は「1→N→2→3」のリターン式だったが、より扱いやすさを求めて「N→1→2→3」のボトムニュートラルに変更。81年には停止時に「3→N」へシフトできるロータリー式に。
【1981年】お馴染みのデザインとなり、車名から“C”が消えた⁉

排気量などで違いのあったボディを全車共通にフルモデルチェンジ。これまで車名も「スーパーカブC50」だったが、ここからスーパーカブ50とより分かりやすくなった。
【1982年】角目(かくめ)登場で燃費が150km/Lに!

灯火類やメーターに角ばった形状を採用した、通称「角目」が上位グレードに登場。エコノパワーエンジンにより、その燃費は150km/Lに到達し、ミッションも4速が追加された。
【1983年】スーパーカスタムが脅威の180km/Lで登場

燃費を追求しエアロミラーやメーターバイザーを採用した「スーパーカスタム」の燃費は脅威の180km/L。スーパーカブの最強伝説を築き、その経済性の高さを世界にアピールした。
【1997年】14インチのリトルカブが誕生

前後14インチホイールを採用し、全体的にコンパクトにまとめたリトルカブは、足つきの良さから女性を中心に大ヒット。本家にはないポップなカラーも登場し、シーンを賑わせた。
【2008年】PGM-FI採用で新時代へ!

燃料供給方式がキャブレターからPGM-FI(インジェクション)に進化。「ついにカブまでインジェクションに……」とベテランのチューニング好きは頭を抱えるアップデートだった。
【2012年】変わりすぎちゃった⁉中国生産の角目カブ

これまではタイで部品を生産し、熊本で組み上げるスタイルだったが、中国でのフル生産となりスタイルも一新。カブらしさが一気に薄まり、エンジンなど質の面でも賛否あり……。はっきり言って、あんまり受け入れられなかった。
【2014年】歴史的、立体商標!

立体商標とは、それが一目で何の製品かが識別できることを特許庁に認められ商標登録されるもの。二輪四輪含む自動車業界としても、乗り物自体の形状が登録されるのは初の快挙。
【2017年】丸目で復活、1億台達成!

世界累計生産台数1億台突破を機に、馴染みのある丸目スタイルが復活。それでいながらヘッドライトなどはLEDが採用され時代にマッチするカブへ。生産も再び熊本となった。
【2024年】スーパーカブ50・ファイナルエディション発売

初の50ccOHCエンジンを搭載したC50をオマージュした、美しいカラーリングやエンブレム、ツートーンのシートなどを採用。当初の年間販売計画台数は2,000台だったが、2024年11月の受注期間中に注文が殺到。実際には1万1000台を超える受注があったという。
topicは他にも色々あるけど、今回はここまで!
さて、スーパーカブ50のトピックはもっともっといっぱいあるけど、今回はここまで。今後は専用装備なんてものも取り上げていきたいと思っているのでお楽しみに!




