地域課題と脱炭素モビリティのニーズ

高齢化が進み、公共交通の縮小が進行する多くの地域において、日常の買い物や通院といった基本的な移動手段をいかに確保するかが大きな課題となっている。また、飲食や日用品のデリバリーサービスが社会インフラの一部として定着する中、それらの移動に用いられるモビリティには環境負荷の低減が強く求められるようになっている。静粛性や取り回しの良さ、生活道路での扱いやすさといった「地域に寄り添う機能」は、環境配慮型モビリティにとって欠かせない要素である。こうした背景を受け、株式会社ブレイズは既存の3輪電動バイク「EVデリバリー」を基盤に、さらなる脱炭素性能と利便性向上を目指す新たな取り組みをスタートさせた。
水素燃料電池との融合

この共同開発プロジェクトでは、株式会社ブレイズが提供する「EVデリバリー」に対して、ロボデックスが小型水素タンク及び燃料電池技術を組み合わせることで、従来の電動モビリティの性能を大きく進化させようとしている。水素燃料電池を搭載することで、より長い航続距離が可能となり、燃料補給にかかる時間も短縮できる可能性がある。AC充電を基本としながら水素燃料電池を併用することで、運用の自由度も高まり、多様な現場に柔軟に対応するモビリティとしての価値が向上することが期待される。
EVデリバリーの特性と期待される効果

「EVデリバリー」は3輪タイプで屋根付きの電動デリバリーバイクとして設計されており、そのコンパクトさと静かさは単なる配送用途に留まらず、訪問介護や訪問看護など生活支援の現場でも高い評価を受けている。加えて、ガソリン車と比べてランニングコストを大幅に抑えられることも大きな魅力となっている。水素燃料電池を追加することで、走行時のCO₂排出がゼロとなるだけでなく、静粛性の高さと合わせて地域環境への配慮も一層強化されることとなる。こうした特徴は住宅街や生活道路といった場面での活躍を後押しするだろう。
実証実験を経て社会実装へ

プロジェクトは今後、実際の運用シーンにおける実証実験を通じ、使い勝手や具体的な効果の検証を進める。特に、水素燃料電池と既存のEV電源の併用による航続距離の延伸や運用効率の向上がどの程度実現できるかが注目されるポイントだ。また、地域のデリバリーや介護・看護など、高頻度かつ継続的な移動が必要な現場において、サービス品質の向上や遅延リスクの低減につながることが期待されている。この取り組みは、脱炭素社会の構築における一つのモデルケースとして、今後のモビリティ開発に新たな方向性を示す可能性を秘めている。
このプロジェクトは、既存の電動モビリティをベースに水素燃料電池技術を統合することで、環境への配慮と実用性を両立させようという挑戦だ。地域社会の生活課題解決にも寄与しうるこの取り組みは、持続可能な移動のあり方を問い直す重要な一歩となるだろう。
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