ホンダ Dio110 Lite……239,000円(2025年11月20日発売)

原付二種のDio110・ベーシックよりも1万1800円安く設定されている新基準原付のDio110 Lite。50cc原付一種のタクト(17万9300円~)やジョルノ(20万9000円~)、Dunk(22万9900円)よりも高額であり、市場がどう評価するのかが注目される。
標準装着タイヤは原付二種のDio110/ベーシックと共通で、チェンシン製のC-922F/Rのほかに、Vee Rubber製のV431F/Rを設定。指定空気圧はフロント:200kPa/リヤ:225kPaだ。
車体色はマットギャラクシーブラックメタリック、キャンディラスターレッド、パール スノーフレーク ホワイトの3種類。このうちレッドのみLite専用色となる。なお、新基準原付の交通ルールは原付一種と同じなので、乗車定員は1名。ゆえにタンデムステップが省略されている。

原付二種のDio110よりもストレスの少ない加速フィール

先日試乗したホンダ・スーパーカブ110 Liteに続き(筆者による試乗記はこちら)、今回もDio110 Liteをテストするにあたり、ベースモデルとなった原付二種のDio110を用意してもらえた。Dio110 Liteは、スマートキー非採用のDio110・ベーシックが基となっており、上質感を演出するグラデーションテクスチャー外装の割合などもベーシックに準じている。

まずは最も気になる動力性能から。搭載されている109ccの空冷単気筒エンジンは、新基準原付の区分基準に合わせて、最高出力を6.4kW(8.7PS)から3.7kW(5.0PS)に抑えている。つまり約42.5%ものパワーダウンだ。一方、最大トルクは9.0Nmから7.6Nmへ減少しており、下げ幅は約15.6%と小さい。

Dio110の109cc空冷SOHC2バルブ単気筒をベースに、最高出力を8.7PS/7500rpmから5.0PS/5250rpm、最大トルクを9.0Nm/5750rpmから7.6Nm/4000rpmにダウン。合わせて無段変速の変速比を2.520~0.820から2.440~0.810(他の減速比は共通)に変更している。Liteの方がハイギアードなのが興味深い。

エンジンを始動する。搭載されているeSPエンジンはACGスターターを採用しているので、セルモーター特有の「キュルルルッ!」という甲高い作動音は一切なし。アイドリング時の音量や音質は原付二種のDio110と共通であり、閑静な住宅街においても非常に静かに感じられる。

スロットルをわずかに開けるとすぐに自動遠心クラッチがつながり、車体がスルスルとスムーズに発進する。その後、すぐに速度警告灯が点滅するスピードを過ぎ、気が付けば片側二車線のバイパスの速い流れに乗っている。右手の動きに対するレスポンスや、駐車車両をかわすときの中間加速は、4ストローク50ccの原付一種よりもはるかに余裕がある。それもそのはず、同等のパワーをより低い回転数で発生している上に、トルクに至ってはおよそ2倍も上回るのだから当然だろう。

不思議なのは、同日に乗り比べた原付二種のDio110よりも加速がスムーズに感じたことだ。ストレスが少ないと言い換えてもいい。クローズドエリアで試したところ、スロットルを大きく開ければメーターの針は60km/hを振り切り、そこに至るまでの体感加速はDio110と同等といっても過言ではない。ちなみにLiteの変速比はDio110よりもハイギアードなので、最大トルクを4000rpmで発生するというエンジン特性に合わせた駆動系セッティングが功を奏しているのだろう。

なお、ボディ内の共振を含むメカノイズや吸排気音の小ささ、そして微振動の少なさといった快適性につながる要素は非常にレベルが高い。これが本当に空冷エンジンかと疑うほどであり、普段使いにおいて不足や不満を感じる要素は限りなく少ないだろう。

原付二種がベースだからこその安定性、微速域でもふらつきなし

続いてはハンドリングだ。車体についてはDio110や同ベーシックと基本的に共通であり、操安性に影響するとすれば、15mm低いシートによる重心の変化だろうか。ただ、同日に何度も乗り比べたが、ライダーが無意識に修正してしまうのか、記すべきほどの差は体感できなかった。

軽量高剛性なeSAFフレームと前後14インチホイール、そして太すぎないタイヤによるハンドリングは、軽快感と安定性のバランスが絶妙だ。発進してすぐの微速域からふらつきにくく、ハンドルの押し引きや荷重移動などといった小難しいきっかけを意識しなくても、視線を送った方向へスイッと向きを変える。特に大きなギャップを通過したときの衝撃吸収性や安定性は、前後10インチの原付スクーターから乗り換えた人なら感動するレベルだ。

足周りはDio110と共通。アルミキャストホイールは前後とも14インチ。フロントブレーキはシングルディスクで、ニッシン製シングルピストンキャリパーを組み合わせる。リヤブレーキはドラム式で、左レバーを引くとフロントにもほどよく制動力を配分するコンビブレーキを採用。

前後連動式のブレーキは、ステアリングヘッド付近が強固なeSAFフレームのおかげで、その能力を最大限に引き出せていると感じた。ビギナーほど慌ててブレーキレバーを握ってしまう可能性が大であり、その際に発生する急制動を車体が受け止めてくれるか否かは重要だ。その点、Dio110 Liteは間違いなく合格点が与えられる。加えて、今回は路面に雪が残っているような場所も通ったのだが、あらためて滑りやすい状況でのコントロール性の高さに感心した。

ヤマハ・JOG ONEより1万9800円安く、現状では最も安価な新基準原付スクーターとなるDio110 Lite。年間の販売計画台数を見ると、50cc原付一種のタクト/タクト・ベーシックが直近で3万4000台だったのに対し、Dio110 Liteは9000台とだいぶ控えめだ。おそらく価格がネックになっていると思われるが、余裕のある動力性能や車体の安定性を知った今、あえてタクトの流通在庫を探す選択肢はないな、というのが正直な感想だ。

ただし、新基準原付を取り巻く環境については注意が必要だ。その最たる例が駐輪問題だろう。各地の50cc専用駐輪場が次々と受け入れを表明する中、建造物や地下にある駐輪場では、消防法の関係で今後も不可が続くといった情報もある。よってDio110 Liteを購入する際には、ひんぱんに利用する駐輪場が新基準原付を受け入れてくれるかどうかを、事前に確認しておくことをお勧めしたい。

ライディングポジション&足着き性(175cm/68kg)

Dio110 Lite(新基準原付)。シート高は745mm。
Dio110(原付二種)。シート高は760mm。

Dio110よりも座面が15mm低いLite専用シートを採用。ただし、筆者の身長では足着き性にほとんど差異はなく、むしろ相対的にステップボードとハンドルの位置が高くなることの違和感が生じる。足着き性を最優先するなら、Dio110 Liteよりもシート高が10mm低いヤマハ・JOG ONEを検討するのも手だ。

ディテール解説

リヤサスペンションはユニットスイング式で、ショックユニットは左側に1本のみというシンプルな設計。エアクリーナーボックスにもグラデーションテクスチャーが入る。
Dio110・ベーシックと同様に、光の当たり方によって幾何学パターンの見え方が変化するグラデーションテクスチャーを施したハンドルリヤカバーとインナーカバーを装備。純正アクセサリーとしてグリップヒーター(1万9965円)を用意する。
60km/hフルスケールの指針式速度計に液晶画面を組み合わせたメーター。液晶画面はTOTAL=積算計とバーグラフ式の燃料計のみというシンプルさだ。右下には、原付一種の法定最高速度(30km/h)を超えると点滅する速度警告灯あり。
右側にアイドリングストップモードの切り替えスイッチあり。ウインカースイッチはプッシュキャンセル式だ。
Dio110に対して座面を15mm低く(760→745mm)設定したLite専用シート。これだけ座面は広いが法的には乗車定員:1名なので、タンデムしないようにご注意を。
シート下の収納スペースは、Dio110の約18Lに対し、Liteは専用シートの影響か、1L少ない約17Lを公称する。加えて少しでも容量を稼ぐためだろうか、車載工具を差し込む左隅のパーツが省略されている。
Dio110・ベーシックと共通のシャッター付きキーシリンダーを採用。シートオープナーやハンドルロック機構などが集約されているので、これでも十分に使い勝手良し。
ハンドルの左下にあるグローブボックスは施錠機構のないタイプなので、貴重品の取り扱いには十分注意を。このほかに便利なコンビニフックあり。
裏面に荷掛けフックのあるリヤキャリア。純正アクセサリーとしてDio110と共通のリヤキャリアベース(6050円)とトップボックス 35L(2万7500円)、キーシリンダーセット(3025円)を用意している。
ヘッドライトは35/35Wのハロゲン球。前後のウインカーはフィラメント球だ。
テール/ストップランプ、ナンバー灯もフィラメント球だ。

ディオ110 Lite(2026年モデル)主要諸元

車名・型式 ホンダ・8BH-JK46
全長(mm) 1,870
全幅(mm) 685
全高(mm) 1,100
軸距(mm) 1,255
最低地上高(mm) 150
シート高(mm) 745
車両重量(kg) 95
乗車定員(人) 1
燃料消費率(km/L) 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) 72.5(30)〈1名乗車時〉
          WMTCモード値 56.6(クラス 1)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m) 1.8
エンジン型式 JK46E
エンジン種類 空冷4ストロークOHC単気筒
総排気量(cm³) 109
内径×行程(mm) 47.0×63.1
圧縮比 10.0
最高出力(kW[PS]/rpm) 3.7[5.0]/5,250
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 7.6[0.77]/4,000
燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 4.9
変速機形式 無段変速式(Vマチック)
タイヤ 前 80/90-14M/C 40P
    後 90/90-14M/C 46P
ブレーキ形式 前 油圧式ディスク
       後 機械式リーディング・トレーリング
懸架方式 前 テレスコピック式
     後 ユニットスイング式
フレーム形式 アンダーボーン

製造国 ベトナム