先生(右):損 保太郎
某損保サービスセンターに勤務。事故対応の現場から揉めやすい事故の特徴を紹介するよ。
 
生徒(左):モン太
事故に遭うだけでもイヤなのにそのうえ揉めるなんて絶対イヤだモン! どうしたらいいの~?

小損害でも揉める! それが「駐車場内事故」と「離合事故」だ

モン太 駐車場での事故ってそんなにスピードが出てないだろうし、大きな事故になりにくいからすぐ解決しそうなイメージがあるモン。

損 保太郎(以下 保太郎)駐車場内の事故は比較的規模が小さく、当事者に怪我のない物損事故がほとんど。でも実はそこが揉めるポイントなんだ。

ノンフリート契約(一般ユーザー向けの等級がある自動車保険)ではこの形態の事故で保険を使ってしまうと3等級も下がってしまう(=保険料が上がる)。

そのため保険を使わず自腹でなんとかしたいという思いが働くから、当事者の過失割合へのコダワリ(できるだけ出費を抑えたい)を大きくしてしまうんだ。

ほかにも駐車場内の事故は道交法で規制された公道と違う過失割合が適用されたり、車両の動きも前進や後退など複雑な動きをすることが多く、正確な事故状況を交渉の窓口である保険会社へ伝えるのが難しいというのも要因だ。

また、判例の積み重ねが浅く、交渉に流動性があるのも理由の一つかもね。

意外だと思うかもしれないけど訴訟になることも多い形態だから、私も駐車場内で運転するときはより安全運転を心掛けるようにしているよ。

モン太 ひぇ~、そうなんだモンね。ところで「離合事故」って何だモンか?

保太郎 これはすれ違い時の事故。だいたい狭い道ですれ違う時にミラー同士がぶつかるって事が多い。こちらも事故の損害の程度は小さい形態で、揉めやすい理由は駐車場内の事故と似ている。どちらが寄ってきてぶつかったのか? 止まっていたのか、動いていたのか?が争点になるんだ。どちらの事故もドライブレコーダー映像がないと水掛け論が続くことが多い。

スムーズに事を進めるためにも事故が起きたらすぐにドライブレコーダー映像を保存しておくこと。また離合事故については狭い道で対向車が来た場合は無理して進行しないで、すれ違いができる幅員のある場所で待機することがトラブルを回避するコツだよ。

近年では二輪車もドライブレコーダーの装着が増えているから、検討してみるのも手だね。

バイク用ドライブレコーダーは、防水性防・耐振動性に優れているのもポイント。写真はデイトナ製バイク専用ドライブレコーダー「MiVue M802WD」

怪我がつきものの 「対自転車」「対バイク」の事故

保太郎 自転車やバイクとの事故は怪我がつきものだよね。どうしても怪我をしていると被害者意識が強くなってしまう。

モン太 たしかに痛い思いをしたらそういう気持ちになるのも分かるモン。

保太郎 一方加害者側がクルマだった場合は、過失割合に納得しにくいという面もあるんだ。

モン太 それはどういうことだモンか?

保太郎 同じような事故形態の場合、クルマ同士の事故と被害者がバイクの場合だとバイクのほうが「交通弱者」だよね。すると過失割合が加害者側に一~二割程度重くなってしまうんだ。

さらに被害者側が自転車の場合はさらに重い過失割合が加算されてしまう。つまり加害認識が薄い加害者と被害認識の大きい被害者の間で過失割合の認識に乖離が起きやすいんだよ。

モン太 どうしたら防げるモンか?

保太郎 バイクや自転車の事故が起きやすいのは、住宅街や交差点、道路外の施設に出入りする時に多いんだ。

見通しの悪い交差点では予期せぬ飛び出しがあった場合でも停止できるくらいの速度まで減速することや、交差点や道路外へ右左折で出る時は周囲の安全確認を徹底することでかなりリスクを軽減できるよ。

家族が感情的になりやすい 「子供や高齢者」との事故

保太郎 この場合、事故の状況を正確に表現出来なかったり、自身での交渉が難しい場合にご家族の方が窓口となって交渉をすることがある。家族が事故に遭ったとなれば、冷静でいられる人は少ないと思う。

時として、その感情が揉め事に発展してしまう場合があるんだ。

モン太 たしかに。家族が怪我させられたら腹立つモン。でもこの場合はどうしたらいいモンか?

保太郎 これは自転車や歩行者との事故で起こりやすいケースなんだ。未然に防ぐためには特に住宅街で慎重な運転をすること。でも万が一事故を起こしてしまった場合は、怪我のお見舞いやお詫びなど、人としての道義的な部分をおろそかにしないことが大切だよ。

※ここでは一般的な自動車保険について解説しています。各社の約款や個別の事情により内容が異なる場合があります。

※この記事は月刊モトチャンプ2025年4月号のものです