ホンダ クロスカブ110 Lite……40万1500円(2025年12月11日発売)




原付二種と同等の発進加速、どんな状況でも余裕あり

2025年10月末で生産終了となったクロスカブ50。その代替モデルにあたるのが、新基準原付の「クロスカブ110 Lite」だ。ベースとなっているのは原付二種モデルのクロスカブ110で、スーパーカブ110 Liteと同様に最高出力を8.0PSから4.8PSに制御。これにより、原付免許での公道走行を可能としている。

クロスカブ50のエンジンは49ccの空冷SOHC2バルブ単気筒で、最高出力は3.7PS/7500rpm、最大トルクは3.8Nm/5500rpmだ。つまり、新基準原付のクロスカブ110 Liteは、排気量が2倍以上であり、なおかつ抑制されているとはいえ、最高出力、最大トルクとも50を大きく上回っているのだ。

筆者はかつてクロスカブ110と50を比較試乗したことがある。50の方は、1速がローギアードのためすぐに吹けきってしまうほか、2速にシフトアップしたときの変速ショックが大きめなど、いくつか気になった部分はある。ただ、全域で非力さは否めないものの、牧歌的な加速フィール、そして柔らかな排気音と振動は50の持ち味であり、交通量の少ない道路であればこれで十分だと感じた。
この当時のイメージを思い出しつつクロスカブ110 Liteを走らせると、発進時から圧倒的にパワフルなことに驚かされる。原付一種の法定最高速度は30km/hだが、1速ですら無理に引っ張ろうと意識しなくてもそのスピードに達し、あとは2速ないし3速固定のまま走り続けられるほどだ。1速でせいぜい20km/h、その後は常に適切なギヤ選びが求められる50よりも明らかに余裕があり、特に急な登坂路ではその差が顕著だ。よって、110 Liteの方がビギナーに優しいと言えるだろう。
なお、クローズドエリアで最高速を試したところ、60km/hフルスケールのメーターを振り切った。点火を間引くタイプのスピードリミッターによって制御されているようで、トップの4速に入れずとも、つまり3速でその領域に到達する。たくさんの荷物(原付一種の法定最大積載量は30kg)を積んでも極端に加速が遅くなることはないはずで、これならキャンプツーリングも余裕で楽しめるだろう。
50とは別物、前後17インチホイールによる操安性が光る

クロスカブ50は、シート高が110の784mmに対して44mmも低く、足着き性が抜群に良かった。それと、14インチという小さなホイール径に合わせてキャスター角やトレール量も異なり、クイックなハンドリングが特徴となっていた。前後17インチホイールの110よりもギャップ通過時の突き上げ感は大きめではあったが、乗り心地としては決して悪くはなかった。
これに対してクロスカブ110 Liteは、原付二種モデル譲りの大らかな旋回性と、優れた安定性がポイントだ。難しい操縦を意識しなくてもスイッとイージーに向きを変えてくれるほか、多少のフラットダートであれば幅の広いハンドルで車体を自在にコントロールできる。ニーグリップこそできないが、スクーターがそうであるように、走っているうちに慣れてしまうだろう。

ブレーキシステムは、前後ともドラムの50に対し、110 Liteはフロントにシングルディスクを採用。しかもABSまで導入している。急制動が求められる状況(最近多いのは側道から自転車がノールックで左折してくるシーンだ)において、ディスクブレーキの制動力は実に頼もしい。それにリヤのドラムもコントロール性は高く、ブレーキに関してはエンジンと同様に不満がない。

装備については、メーターの機能に大きな差があることは見逃せない。50のメーターは非常にシンプルで、速度計と燃料計は指針式であり、あとはオドメーターのみ。これに対して110 Liteは、指針式の速度計こそ50と同様だが、その下には多機能な液晶画面があり、バーグラフ式の燃料計とギヤポジションインジケーターを常時表示するほか、時計/積算計/距離計/平均燃費の切り替え表示機能を持つ。通勤や通学など日常的な使用において、この差は圧倒的と言っていい。

現在販売されている新基準原付で、最もアクティブに楽しめるのがこのクロスカブ110 Liteだ。車両価格が40万円を超えるなど高額ではあるが、原付免許保有者にとっては、こうして選択肢を設けてくれたことはありがたく感じるだろう。
ライディングポジション&足着き性(175cm/68kg)
クロスカブ50は、110に対してシート高が44mm低いだけでなく、ハンドルも幅が狭くて低いなど、コンパクトなライディングポジションが特徴的だ。110 Liteは原付二種モデルと乗車姿勢は共通なので、50と比べればやや大柄と言えるだろう。
ディテール解説









ホンダ・クロスカブ110 Lite 主要諸元
車名・型式 ホンダ・8BH-JA79
全長(mm) 1,935
全幅(mm) 795
全高(mm) 1,110
軸距(mm) 1,230
最低地上高(mm) 163
シート高(mm) 784
車両重量(kg) 107
乗車定員(人) 1
燃料消費率(km/L) 国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) 103.0(30)〈1名乗車時〉
WMTCモード値 67.5(クラス 1)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m) 2.0
エンジン型式 JA76E
エンジン種類 空冷4ストロークOHC単気筒
総排気量(cm³) 109
内径×行程(mm) 47.0×63.1
圧縮比 10.0
最高出力(kW[PS]/rpm) 3.5[4.8]/6,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 6.9[0.70]/3,750
燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式 セルフ式(キック式併設)
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 4.1
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式4段リターン
変速比
1速 3.142
2速 1.833
3速 1.333
4速 1.071
減速比(1次/2次) 3.421/2.642
キャスター角(度) 26°30´
トレール量(mm) 73
タイヤ
前 80/90-17M/C 44P
後 80/90-17M/C 44P
ブレーキ形式
前 油圧式ディスク(ABS)
後 機械式リーディング・トレーリング
懸架方式
前 テレスコピック式
後 スイングアーム式
フレーム形式 バックボーン






