■TESTER PROFILE
中村友彦


【インカムを避け続けて十数年!】旅好きでありながら、便利アイテムへの関心はやや希薄なオッサンライダー。ただしヘルメットやジャケットといった装備は、しっかり最新モデルを愛用している。


B+COM SX-1とは?

ヘルメットにビルトインされたB+COM SX-1の操作部。このスッキリ感、やっぱり素敵だ。

B+COM SX-1は、SHOEI COMLINK対応の内蔵型インカム。ヘルメットと一体化する専用設計で外付けの出っ張りを抑え、見た目と空力を高次元で両立する。シリーズ内ではSB6XRと並ぶハイエンドに位置づけられ、性能は同等クラス。最大6人通話やB+LINK、音楽・ナビ共有に対応し、最大約20時間の連続使用が可能。内蔵型という新機軸で“最上位のもう一つの選択肢”を提示するモデルだ。

孤独感や非日常感を求める昭和生まれのオッサン

若い頃からツーリングが大好きで、プライベートと試乗仕事を合算すると、ここ最近の平均年間走行距離は約2万km。そんな僕が十数年前から旅先でそこはかとない疑問を抱いているのは、多くのライダーがヘルメットにインカムを装着していることだ。

アレを導入すれば、走行中に仲間と会話ができて、電話が普通に使えて、さらには音楽やラジオが楽しめるらしい。けれど、ツーリングに孤独感や非日常感を求める昭和生まれのオッサンライダーとしては、何かこう、腑に落ちない気持ちを抱いていたのである。

だから編集部から「XSR125のツーリング試乗と同時に、B+COM SX-1もテストしてください」と打診されたときは、かなりの抵抗を感じた。でも二輪メディアで仕事をする身としては、一度くらいはインカムを体験しておくべきという気持ちがなくはなかった。そこで意を決して依頼を了承。果たして、SX-1を装着して一泊二日の旅に出かけた僕が何を感じたかと言うと……。

……うーむ。ありきたりな表現で恐縮なのだが、目からウロコだった。僕がこれまで旅先で見かけてきたインカム装着ライダーは、こんなに便利で楽しい思いをしていたのか。

もっとも今回のツーリングの相方は、SB6XR付きヘッドセットを装着してカメラカーに同乗する編集部員。ゆえに、以下に述べる感想は少々特殊かもしれない。そのあたりを踏まえたうえで、昭和オヤジのインカム初体験記をお読みいただきたい。


今回のテストは……
通話相手が車の中!?

今回のテストはソロツーリング企画内で行われたため、通話相手はカメラカーの助手席に乗る編集担当。サイン・ハウスのご厚意により、イベントなどで使用しているSB6XR付きヘッドセットをお借りした。

重さなどの違和感は一切なし! 一度味わうと、ナシでは走れない!?

どこから語るべきか迷うものの、今回のテストで最もありがたかったのは、撮影に適していそうなシーンを発見した際、すぐに編集部員/カメラマンと相談できることだった。

普段のツーリング試乗では、良さげな場面を見つけても決定打に欠ける気がして通り過ぎたり、ここだと思って停車してもカメラカーが先に行ってしまったり、という事態に遭遇することが少なくない。だが今回はインカムでストップorスルーを即座に相談できたので、後悔や無駄が皆無だったのである。

加えて、見通しが悪い状況で走行写真を撮影した際も、インカムの有効性を実感した。四輪や自転車、歩行者がいないことを確認したうえでカメラマンがGOを出してくれるので、ライダーとしては安心して撮影ポイントに入っていけた。

さらに「もうちょっとスピードを抑えて」「今のラインより2本分イン側を走って」といった具体的な指示が受けられることも大きなメリット。逆に言えば、普段の走行写真撮影はカメラマンや編集部員のジェスチャーに依存する、かなり曖昧な感覚で行っていたのだと痛感した。

インカム同士の通話についても興味深い点が多い。接続や解除が簡単かつ瞬時にできること(解除を忘れなければ、独り言や密かに歌っている声が仲間に聞かれる心配はない)、車間距離が離れて一度接続が途切れても、近づけば自動で復帰すること。

既存のB+COMと比較するなら、装着時の出っ張りや違和感がほとんどないこと、ユニットが超小型ながらグローブをしたままでも操作しやすいこと、バッテリーがなかなか減らないこと、そして音質が良好なことがSX-1の美点と言えるだろう。

通話にずいぶん文字数を使ってしまったが、走行中に試した電話や音楽鑑賞もかなりの好感触だった。中でも感心したのは後者だ。YouTubeで音楽を再生した際、興味のない曲や広告をレバー操作でスキップできることには驚いた。

最近の僕は寄る年波のせいか、ツーリング後半で眠気と戦うのが通例になっている。だが今回の旅で、2日目の午後にカメラカーと別れて一人で走っている際は、音楽のおかげで睡魔に襲われることは一切なかった。

いずれにしても今回のテストを通して僕は、世の中の二輪メディアの全編集部にインカムを導入してほしいと本気で思った。撮影の選択肢やクオリティ、ライダーの安全性を考えれば、インカムは間違いなく有効だ。もちろん、ストップorスルーを即座に相談できることや、見通しの悪い状況で情報共有ができることは、一般的なツーリングでも大きなメリットになるはずである。

というわけで、2日間にわたってSX-1を使用した僕は、最新の二輪用インカムの性能に素直に感心した。自分自身はもちろん、周囲の友人知人、そして二輪メディアの全編集部がSX-1やSB6XRを導入したら、新しい世界が開けるような気がしている。

澄み渡る山岳路を走るXSR125。インカムを装着し、カメラカーとリアルタイムで連携しながらの撮影でも不安はなし。会話と安心感が、走りの余裕を生み出す。
ヘルメット後部のUSB Type-Cポートにケーブルを接続するだけで充電可能。旅先でも安心だ。
充電中は赤いランプが点灯する。ヘルメットを置いたまま充電できるのもありがたいポイントだ。

同社の各種デバイス用マウントシステムも試用。3分割ボディ+ボールジョイント構造により幅広い車両へ対応し、角度調整もスムーズに行える。振動対策のバイブレーションガードはオプション設定。

B+COM SX-1 詳細紹介

B+COM
SX-1
●4万8400円
B+COMシリーズの旗艦モデル「SB6XR」と同等の性能を持つハイエンドモデル。Bluetoothのバージョンは5.0で、スピーカーはφ40×D10.7mmのネオジムマグネットタイプを採用。充電完了までは約2時間、最大約20時間の連続使用が可能だ。対応ヘルメットはSHOEI製NEOTEC3とGT-Air3。

SHOEI COMLINK対応ヘルメットなら、内蔵できるので見た目もスッキリ。
3.7V・800mAhのリチウムイオンバッテリーをヘルメット後部に内蔵。後端のフラップを開くと、USB Type-Cの充電ポートが現れる。
対応ヘルメットの内部には、SX-1の装着を想定したスピーカー用のくぼみや配線用の溝があらかじめ設けられている。だから装着しても違和感はほとんどない。
マイクはヘルメットのチンガード部に埋め込む構造。こちらも装着を前提とした配線用の溝が設けられているため、すっきりと美しく収まる。

B+COM SX-1 他モデル比較

B+COMシリーズの性能比較一覧。SX-1はSB6XRと並ぶハイエンドに位置し、最大6人通話やB+LINK、音楽・ナビ共有など主要機能を網羅。SHOEI内蔵型という新機軸を持ちながら、性能面でも最上位クラスに立つモデルだ。

■取材協力:サイン・ハウスSHOEI


※こちらの記事はモトチャンプ2024年6月号に掲載されたものに加筆修正を加えたものです。