試乗したのはKN企画が製作した183ccスペシャル

KN企画が手掛けた183cc仕様のYZF-R125。フルコン制御とφ36mmビッグスロボ、HOTLAP製マフラーで武装し、足まわりはRCBとラジアルタイヤで強化。サーキットで本気の実力を見せつけた一台だ。

改造屋スピリット漲る、会心のニーゴーキラー

レーシングマシンのような迫力と乗り味。KN企画が手掛けたR125には、ポン付けカスタムとは別次元の、まさにチューニングのプロの仕事ぶりを見ることができる。マシンを製作したKN企画の佐々木さんご本人の話を交えて解説したい。

まず知りたいのは開発コンセプト。

「過激に見えるかもしれませんが、実は若者からベテランまで幅広い層に楽しんでもらえるよう扱いやすさを重視しています」と同氏。昔NSRやTZRなどを改造したりボアアップして遊んだりした“ノリ”を再現したかったという。たしかに昭和の頃は速いバイクを買うのではなく、マシンを改造して腕を磨きながら速くなったものだ。そんな懐かしい時代の香りがするマシンだ。

YZF-R125をベースに選んだ理由としては、単純に素材として優れているから。

「デルタボックスフレームに倒立フォークで元々シャーシがいいんですよ。エンジンもNMAX系なのでウチで開発してきたパーツも使いやすい」のだとか。

183ccまでボアアップされたエンジンも、たまたまアジア選手権で使っていた先代R15用のレース用パーツを流用している。ボアアップだけで60cc近く増量とは恐れ入るが、元々はR15(155cc)のエンジンボアダウン版がR125なので十分なキャパがあるそうだ。

排気量に合わせてスロットルボディも拡大。ノーマルのφ30mmからシグナスグリファス用にKN企画で開発したφ36mmを流用するなど、長年のスクーター&小排気量チューンで培ってきた豊富な経験・ノウハウが生かされている。

ここまでやると、さすがにECUもノーマルとはいかず、燃調や点火時期などを自在にセッティングできるフルコンを搭載。エキゾーストも「HOTLAP」のKN企画モデルに変更されている。

足まわりのアップグレードも抜かりない。フロントディスクはノーマル同径φ286mmのKN企画製で現在さらに強力なφ320mmを製作中。リヤショックをはじめ、ブレーキキャリパー&マスターシリンダー、レバーやステップ類なども含めマレーシアの人気ブランド「RCB」製を採用している。

「タイヤをラジアルに変えてグリップ性能が増した分、ブレーキもしっかり効かせたいですから。車体的にももっと攻められます!」と佐々木さん。ちなみにRCBは比較的安くて性能が良くアジアでは超人気。R125のシングルディスクと4ポットキャリパーとの相性も良いとのこと。ただ、ブレーキレバーを握ったときにタッチが若干スポンジーなのでホースはメッシュに変える予定だ。

R125で250ccスポーツをぶち抜くことも夢ではない

さて試乗した感想だが、とにかくエンジンがパワフルで加速力は優にR15を超えている。125だった片鱗は跡形もないほどの豹変ぶりだ。5000rpm辺りからあふれるトルクでぐいぐい加速していく。

最初はノーマル同様の7000rpm(インジケーターが光るタイミング)でシフトアップしていたが、高回転まで引っ張るより早め早めにギヤをかき上げてトルクの波に乗せていくほうが加速も伸びる。

メーターを見ると、ストレート速度が全然違う。サーキット秋ヶ瀬の短いストレートでノーマルは4速のところ、こちらは5速まで楽々入る。シフトがやや忙しいがフルコンにオプションのクイックシフターがまるでレーサーのようなスムーズさでカチカチとギヤを送り込んでくれる。

深くローレットが刻まれた剛性感のあるステップによって倒し込みの入力もしやすく、MOSの軽量鍛造ホイールが空気のような軽さでコーナーへとマシンを放り込んでいく。

コーナリングでの圧倒的な安心感はやはりラジアルタイヤの恩恵だろう。ダンロップ製α14タイヤのフロントの接地感は絶大で進入時のブレーキコントロールもしやすく、ワンサイズ太くなったリヤタイヤとRCB製リヤショックのしなやかな剛性感が立ち上がり加速でのトルクをしっかりと受け止めてくれた。

「ノーマルは低中速トルク寄りだけどビッグボアで圧縮が高くなればハイカムで抜くのがセオリー。ハイカムを入れて上振りにすれば高回転が伸びてさらに大化けすると思う」と目を細める佐々木さん。

となると、R125で250ccスポーツをぶち抜くことも夢ではないかも。2ストならまだしも4ストで2倍の排気量マシンを食うという、なんとも大胆不敵な構想だが、そこにロマンを感じるのはオレだけではないはずだ。

昭和にタイムスリップしたような改造屋魂にあっぱれである。今後のさらなる進化も楽しみにしてほしい。


■テスターはこの人!
ケニー佐川

昔はNK選手権や鈴鹿4耐などのレースに参戦。自らマシン製作やセッティングも手掛けるなど、こう見えてチューニングにも造詣が深い(笑)。


■話を聞いたのはこの人!
KN-YOKOHAMA
佐々木さん

KN企画の関東支部としてブランドを支える「KN-YOKOHAMA」の店長。スクーターからミッション車まで幅広いミニバイクのチューニングに精通し、その知識と実力は業界屈指。


パワーチェックでその実力が浮き彫りに!

パワーグラフを見れば一目瞭然。ノーマル(赤線)とKN企画(青線)はほとんど重ならないほど大きな差がある。パワーは約1.4倍、トルクは実に1.5倍以上。注目すべきは波形の美しさで、4000〜7000rpmの広い範囲でフラットに最大トルクをキープする。だから速くて扱いやすいのだ。

パワーチェックはここで実施!

M-Factory
埼玉県越谷市川柳町1-2-17

パワーチェックはMファクトリーが取り扱う「Dynostar」で計測(計測料金は4400円~※ミニバイク)。ノーマルとKN企画仕様を2台比較し、代表の三保田さんが驚くほどの違いが浮き彫りとなった。

パワーに直結するのはここ! チュー二ングのポイント

■ エンジン:183ccボアアップ仕様

KN企画製ボアアップキットによりシリンダー&ピストンを変更し、排気量を183ccまでアップ。ヘッド周りや腰下はノーマルのままだが、コンロッドやクランクなど腰下まで手を加えれば200cc超えも可能だとか。

■ ECU:aRacer RC SuperX

出力特性を制御するバイクの頭脳に当たるECUは、aRacer製RC SuperXのフルコンに換装。燃調や点火時期マップも細かく設定可能。VVAの作動タイミングも変更できる。

■ スロットルボディ:KN企画製のφ36mmに変更

パワーと最高速アップに直結するFIのスロットルボディは、KN企画製φ36mm大口径タイプを採用し純正比6%アップ。エアクリーナーもSTAGE6製で吸気強化も万全だ。

■ マフラー:HOTLAP製KN企画モデル

マフラーはHOTLAP製KN企画モデルで、ボアアップエンジン向けに開発された発売予定の試作品。見た目やサウンドも超レーシー。

その他の気になる装着パーツをチェック!

■ フロントブレーキ&タイヤ

ゴールドに輝くキャリパーはリニアな効きでコントロールしやすいRCB製4ポット。ダンロップ製α14は前後ワンサイズアップ(F110/70-17・R150/60-17)でラジアルに。

■ リヤショック

RCB製でイニシャル&減衰調整機能付きの本格派。ショック長265mm(ノーマル262.5mm)でリヤ上がりのスポーツ志向のハンドリングに。

■ マスターシリンダー

マスターシリンダーも前後にRCB製を採用。フロントはリニアなタッチで強力に効くラジアルポンプタイプ(ピストン径φ14mm)。

■ クラッチレバー

クラッチレバーもRCB製。レーシーなデザインの可倒式タイプで操作しやすく、万が一の転倒にも強い。ドレスアップにも最適だ。

■ ウインカー

KOSO製シーケンシャルLEDウインカー4(クリアレンズ左右セット)を採用。スリムなデザインと流れる発光がカッコいい。

■ バックステップ

RCB製バックステップはカチッとした剛性感と程良いアップ&バックがスポーツライドに最適。スムーズな反応のクイックシフター(フルコンのオプション)とセットで使いたい。


■取材協力:KN企画サーキット秋ヶ瀬M-Factory

※こちらの記事はモトチャンプ2024年5月号に掲載したものを加筆修正しています。