「オレマジ、ストマジ」スクーターとの合わせ技

イメージキャラクターに元TOKIOの長瀬智也氏を起用し、「オレマジ、ストマジ」のキャッチコピーが、今でも耳から離れないスズキ・ストリートマジック。

ツインチューブフレームにタンクを載せたネイキッドフォルムは〝普通のバイク〟に見えるが、スクーターと同じオートマ(無段階変速)の駆動系を採用してシフトチェンジいらず。その独創的な組み合わせから繰り出される乗り味は今なお多くのファンを魅了している。

デビュー間もなくしてオフロードルックのⅡ(ツー)が発売され、アウトドア感の強いこちらがいつのまにかメジャーになり、翌年の110ではⅡの方が先に発売されるという逆転現象も。いずれもハイパワーなエンジンを搭載し、高剛性フレームに倒立フロントフォーク+当時としては珍しい前後12インチホイールなど、車体周りも超豪華!

チューニングで発展させやすいということもあり、レジャーのみならずワンメイクレースも積極的に行われて原付遊びの幅を広げてくれた一台だ。

独特の乗り味と操作性!走るステージを選ばない

久しぶりにマジマジとストマジを見て感じたのが〝ガッシリしているけど華奢〟という印象だった。

車体サイズは同じ12インチ仕様のエイプやNSR50と同程度なのだが、シンプルというか軽快な雰囲気があり、何よりも本来あるべき箇所にエンジンがないというのが大きい。それでいて全体的にバランスが良いのが不思議なものでカッコイイとカワイイが混在しているのだ。スズキの自動車で例えるなら小型クロカンとオープンカーの要素が合体した「X-90」みたいな感じ?

さておき、普通のバイクのように跨って操るスクーターはインドホンダのNAVI110が記憶に新しく、2000年代当時もジレラのDNAシリーズがコアな層に支持されていたが、やはり〝ニーグリップを可能にしたスクーター〟というのはどの年代や国を見渡しても稀有な存在だ。

実際に走らせてみると意外にもトルクフル! 早い段階からクラッチミートしてビィ~ンッと加速していく。フルスロットルで発進すれば余裕でフロントが浮き上がる勢いだ。撮影車は一通り手が入れられており、オーナーが頑張ってセッティングしたおかげで、高回転まで回しても時速ピー♪(自主規制)までよどみなく伸びていくのが気持ちい~、ウハァ~!! と絶頂の最中に一つ問題が。

ストマジはアクセルを捻れば走り出し、ブレーキも左右レバーで効かせるというスクーター同様にいたってシンプルな操作方法だ。だけれどミッション車のように跨って乗車しているから、ついクセでシフトアップやブレーキペダルを操作しようとしてしまう。要は慣れなんだけど、試乗中は何度も両足のつま先が空を切ってしまった(笑)。


しかし、それ以上にニーグリップの恩恵はデカいな、とあらためて思えたのも収穫だ。ニーグリップで車体を安定させつつスロットルワーク&ブレーキだけで走れるから運転に集中でき、速度コントロールやライン取りがしやすいというメリットも。初心者がスポーツ走行するのに有効というのも頷けるし、なんならウイリーの練習にもいい。本誌では過去にストマジのエクストリーム集団も紹介してるしね(2005年7月号etc.)

楽しみ方を想像したくなる遊び心満点フォルムはバリエーションも豊富

2006年頃まで発売されたストマジはバリエーションも豊富で細かな違いがある。例えばストマジSはアンダーブラケット別体のオイルダンパー内蔵フォークとワイドなENKEI製アルミホイールを奢っていたり(リム幅が太いのでじつは通常版の鉄ホイールの方が軽いという……)、ストマジⅡならフレームに補強が入っていたり、シート素材が異なるなど多々あり、輸出モデルやカスタム手法まで話せばきりがない。

ともかく、言いたいのは〝ストリートマジックは気軽で楽しい〟ということだ! 吊るしの状態ではレーサーレプリカのNSR50やTZM50Rと互角とは言い難いけど、素性が良く乗り手や目的に応じていかようにも遊べる「包容力」が他車にはない魅力だと筆者は思うのだ。

軽さも強力な武器

身長179cm、体重65㎏、視力両目0.3のアラフォーが跨ってみた。足つきは良好で軽い車体は取り回しがラクチン! ホイールベースも1080mmとエイプやNSR50よりも短いから小回りも効く。

DETAIL CHECK

オド付きの丸形スピードメーターとオイル警告灯というシンプルな構成。モチーフは不明だがパネルデザインが凝っている! バーハンだからハンドル交換も行いやすい。

フロントブレーキはφ180mmディスクと1ポットキャリパーのコンビ。撮影車は前後ホイールをストマジⅡ用(リム幅2.5J →3.5J)に入れ替えてワイドに。

シート下にはバッテリーや2スト用のオイルタンクが収まっている。

リヤフェンダー裏側のキーシリンダーでシートを開閉可(ストマジⅡは車体左後方に移設)。

撮影車のカスタム箇所はココ

ストマジⅡのヘッドライトやホイール
に入れ替えてイメージチェンジ。

シルバーに輝くフロントフォークはストマジS 用だ。

タンク別体式リヤショックはセピアZZ 用(285mm)でアダプターを介してマウントする

純正リヤキャリアの追加で積載力も向上させている。

OWNER:ネコやんさん
大学の自動車部に所属するネコやんさんがバイクに目覚めたのは最近のこと。「ストマジはこの形でATというのに惹かれました。カスタムも奥が深くて今は駆動系を煮詰めている最中です」と夢中になっている様子。なお四輪の愛車はスズキのツインというミニマムカーでストマジ以上に珍車なのだ!

50cc/110cc スタイル&排気量が異なるストマジファミリー

ストリートマジック
1997年2月発売

一般的なバイクのスタイルにスクーターの無段階変速機構(AT)を取り入れた異色作! 2トエンジンはレッツ系を転用しており、自主規制値いっぱいの7.2㎰を発揮。

ストリートマジックS
1997年2月発売
通常版と同時発売された上級グレード。オイルダンパー式フロントフォークやENKEI 製アルミホイール、タンク別体リヤショックなどのスポーティな装備が自慢!

ストリートマジックⅡ
1997年6月発売
ガード付きの丸ライトやワイドリム&ブロックタイヤ、ディスクガード、アップフェンダー、スチール製ペグなどでオフロードテイストにアレンジ!

ストリートマジック110/110Ⅱ
1998年8月/6月発売
アドレス110用の2スト113㏄エンジンを採用し
た排気量アップ版! 50同様に角目ライトのSTDモデルとオフスタイルのⅡがリリース。

ストリートマジック110/110Ⅱ
1998年8月/6月発売
アドレス110用の2スト113㏄エンジンを採用し
た排気量アップ版! 50同様に角目ライトのSTDモデルとオフスタイルのⅡがリリース。

主要諸元

SPECIFICATIONS
▪型式:CA1LA

▪全長×全幅×全高:1635×710×965mm

▪ホイールベース:1080mm

▪最低地上高:120mm

▪シート高:710mm

▪車両重量:79kg(乾燥73kg)

▪総排気量:49cc

▪エンジン形式:空冷2スト単気筒

▪内径×行程:41×37.4mm

▪圧縮比:7.1 :1

▪最高出力:7.2㎰/6750rpm

▪最大トルク:0.82kgm /6000rpm
▪始動方法:セル/キック

▪燃料タンク容量:6.4ℓ

▪ブレーキ(前・後):ディスク・ドラム

▪タイヤサイズ(前・後):110/80-12・120/80-12

▪車体価格:17万9000円 
※スペックは1997年時のものです

筆者紹介

モルツ

元本誌編集部員で現在はバイク系およびアウトドア系で活躍するフリーライター。

さらなる情報は筆者のYouTubeチャン
ネル「20世紀バイク少年-モルツ」にて
(宣伝)。コミカルに紹介しておりま~す!

※この記事は月刊モトチャンプ2024年2月号を基に加筆修正をしています