昭和→平成の架け橋 カフェルックの粋なヤツ
1990年代の原付は「レトロブーム」が真っ先に思い当たる。メーカー主導なのか、ユーザーが求めたのかは不明だが、尖りすぎたレーサーレプリカ及びゼロハンスポーツの反動かもしれない。初心者でも乗りやすく、安くてオシャレなモデルが各社からこぞって発売され、MT車で先陣を切ったのはヤマハだった。
70年代から続くビジネスバイクの「YB50」をベースにクロームメッキを多用し、ハンドル位置を若干下げてシングルシートを装着するなど、さりげなく化粧直しを施して世に放ったのが「YB-1」だ。ヤマハによると〝ヤングニーズのマインドを具現化〟とのことで、ビジネスバイク特有の〝ニオイ〟を払拭して若者のすべてに訴求したのだ。
ヤマハSR風のタンクデザインや唯一無二のサブフレームも相まってその見た目はチョベリグ※で、ゴーグル付きのビンテージ風ヘルメットを被ってカフェレーサーになりきる原チャリ小僧が続出。間もなくしてスズキからコレダスポーツ、ホンダからはベンリィ50Sが立て続けに発売されたが、YB-1が話題に上がるのは先行者利益だけでなく、その完成度が高いからに他ならない。
※チョベリグ=超ベリー・グッド(very good)」の略。90年代後半に流行したギャル語。
YBシリーズは2ストエンジン車と4ストエンジン車がラインナップ

21世紀に復活
YB-1 Four
排ガス規制で2ストのYB-1が姿を消した1年後の2000年に4ストエンジン化してリバイバル! リターン式4速ミッションとなり、ドラムブレーキパネルが20mm拡大されている。
2ストビジバイの粘り強さにオシャレ&スポーティさが合体
YB-1とYB50との違いは外装程度しか変わらないが、この〝外装〟こそがYB-1たらしめるポイントだ。
とくにアンダーチューブはオリジナルのYB50にも、後のYB-1 Fourにも、他社ライバル勢(ドリーム50除く)にも存在しないアイデンティティになっており、筒型の大きなエアクリーナーボックスとの相乗効果で車体の〝スカスカ感〟をなくすことに成功している。
ステーなどを自作すれば4スト版(Four)にも装着できるが、エンジンマウントが水平なのでチューブからシリンダーヘッドがはみ出してしまう……。やはりこの完成したフォルムこそYB-1(2スト)の真骨頂であり、サブフレーム効果で剛性も0·01%位は高められているかもしれない。
そんなわけでYB50と外装程度しか変わらないため、走りの方は同じ2スト49㏄のTZR50などと比較することすらおこがましい。4スト版と比べても劇的に速いとは言い難い。しかし、ビジバイらしい粘りのあるトルク感と2スト特有の盛り上がっていく加速感が調和されていて気分を高めてくれる。昔ながらのロータリーディスクバルブも味わい深い!
試乗車は前後スプロケを変更(ハイギヤード化)しているため、中速域からの伸びは胸がすく思いだ。期待して乗ると残念なことになるけれど、スポーツ性を求めて乗る人も少ないはず。オシャレ気分に2ストのMT(ミッション)原付に乗りたいならぜひ一考してみてはいかがだろうか。
低めのハンドルがヤル気に!

YB-1のシート高は約745mm。身長179cm、体重65kg、両目視力0.3の中年が跨ると両足べったり! セミロングシートはクッション性も良く、ステップ位置も前気味だからポジションもきつくない。
2ストエンジン車ならではの装備もおしゃれに演出

車体右のサイドカバーを兼ねる2ストオイルタンク。ノブを回して位置をずらせばオイルが注入できる。これもエンジン仕様が異なる4ストとの大きな違いだ。
撮影車両は96年式のファインレッド。ビビッドなボディ色が映える!社外製ライトバイザーや純正リヤキャリアを追加している。
DETAIL CHECK





良い意味で野暮ったさが残るビジネスバイクのYB50と異なる点は、前後フェンダーなどのメッキのほか、アンダーチューブの有無。そしてハンドル位置は下げられてセミアップ形状に。メーターも角形ではなくオーバル型となっている。なお97年式から基盤が黒から白になり文字なども変更。右側に燃料計が追加された(試乗車は後期の速度計に入れ替え)。キャリアは外されてコブ付きのシングルシートに変更。ドットもハードな印象だ。さらに本来は全体を覆うチェーンカバーを一般的なハーフ形状にしてシルバー塗装されている。
同年代のライバル車たち!

オーナー紹介:ブラックベルさん
「昔からレトロな見た目が気に
なっていて、数年前にコレクショ
ンの一台として購入しました。
軽くてキビキビ走るからチョイ
乗りに重宝しています」。
ほかにR1-Z やYZF-R15(V2)、
ワルキューレなども所有するベ
テランライダーだからこそ、気
楽に乗れるYB-1の良さがわか
るところですね!
主要諸元

SPECIFICATIONS
▪型式:A-F6B
▪全長×全幅×全高:1760×665×960mm
▪ホイールベース:1165mm
▪最低地上高:120mm
▪シート高:745mm
▪車両重量:84kg
▪総排気量:49cc
▪エンジン形式:空冷2スト単気筒
▪内径×行程:40×39.7mm
▪圧縮比:7.1:1▪最高出力:4.6ps/6000rpm
▪最大トルク:0.56kgm /5500rpm
▪始動方法:キック
▪燃料タンク容量:8ℓ
▪タイヤサイズ(前・後):2.25-17・2.50-17
▪ブレーキ(前・後):ドラム・ドラム
▪車体価格:17万9000円
※スペックは1996年時のものです

著者紹介
モルツ
元本誌編集部員で現在はバイク系およびアウトドア系で活躍するフリーライター。
さらなる情報は筆者のYouTubeチャンネル
「20世紀バイク少年-モルツ」にて
コミカルに紹介しておりま~す!
※この記事は月刊モトチャンプ2024年3月号を基に加筆修正を行っています




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